いよいよW杯アジア2次予選開幕。東京五輪のためにも不可欠な“アウェー先勝”

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第93回

いよいよW杯アジア2次予選開幕。東京五輪のためにも不可欠な“アウェー先勝”

By 清水 英斗 ・ 2019.8.16

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シーズン中にもかかわらず、活発すぎるほど活発だったJリーグの移籍市場。さらに湘南ベルマーレ・曺貴裁監督のパワハラ調査など、2019年の夏は重大なニュースが相次いだ。そんな中、すっかり影は薄くなったが、来月からカタールワールドカップの2次予選が始まる。


初戦は9月10日。日本代表は5日に国内でパラグアイと親善試合を行った後、アウェーへ移動し、ミャンマーと戦う予定だ。他の東南アジア諸国と同じく、ミャンマーもまた、サッカーは熱狂を生むスポーツであり、人々の愛国心も強い。日本は圧倒的なアウェー感と共に、初戦を迎えることになるだろう。


今回の2次予選だが、前半戦はアウェーでの試合が多く組まれている。今年11月までの2次予選4試合のうち、3試合がアウェーだ。


6月9日に行われたキリンチャレンジカップのエルサルバドル戦では、原口元気と伊東純也を両ウイングハーフに置く攻撃的な3バックにトライした。格下の対戦相手ばかりの2次予選では、使用価値が高くなりそうな戦術だ。


しかし、格下とはいえアウェーでは、相手が大声援を得て、前に出てくる展開も予想できる。高温多湿のミャンマーで攻撃的3バックを敷き、ハイプレスをかけてオープンな戦いに巻き込まれるのは、あまり賢いことではない。4-4-2をベースにボールを持たせ、相手を自陣から釣り出し、ミドルプレスからショートカウンターをねらうほうが、アウェーでは得策ではないか。


大切な初戦の入り方


別のアイデアとしては、ミャンマーとの体格差を踏まえ、あえて3バックでセンターバックを1枚増やし、セットプレーで優位を取る方法も考えられる。センターバック3枚+酒井宏樹+大迫勇也と計5枚を並べれば、ゴール前で大きなミスマッチが生じる可能性は高い。3バックにせよ、4バックにせよ、そのメリットをどう試合戦略に落とし込むか。そこがポイントだ。


この辺り、初戦の入り方を森保監督がどう組み立てるか。4年前はハリルホジッチがホームで行われたシンガポール戦で失敗し、一気に逆風を浴びてしまった。そして、本人もその試合のイメージを引きずり、事あるごとに記者会見でシンガポール戦の話を持ち出すことになった。


今回、アウェーで始まるのは幸運かもしれない。まだ2次予選なので仕方ないが、日本ホームは、どうしてもふわっとした雰囲気になりがち。この2次予選に興奮と緊張をもたらしてくれるアウェーのほうが、ピリッと戦えるのではないか。


2次予選終盤は東京五輪直前に実施


そして、このミャンマー戦を皮切りに、前半戦は多くのアウェーマッチをこなすことになる。その半面、後半戦はホームが増える。2次予選の最後となる来年6月は、2試合共にホームで行われる。


来年の6月と言えば、東京五輪を目前に控えた時期でもある。冨安健洋、堂安律、久保建英、あるいは柴崎岳らのオーバーエイジなど何人かの主力は、A代表と五輪代表を兼ねることになりそうだ。その時期にアウェーで戦う負担がなく、ずっと日本に留まり、そのままの東京五輪を迎えられるのは大きなメリット。これは選手だけでなく、監督以下のスタッフにとっても同様だろう。


理想を言えば、2次予選の開幕から勝ち点3を取り続け、6月より前に2次予選突破を決めるのがベスト。そうすれば五輪候補の欧州組を6月のA代表から招集外とし、7月23日に開幕する東京五輪・男子サッカーに向けた休養、コンディショニングを早期に始めることも可能だ。また、6月のA代表活動に参加しないことにすれば、所属クラブとの交渉材料も増える。


もし、6月になっても予選突破が決まらなければ、冨安らをA代表から外して五輪に専念させることに、少し勇気が要るだろう。それでもホームでの2試合なので、両方招集しても大きな負担にはならないが、休養を充分に取れなくなるなど、コンディショニングの問題もある。


勝ち点3+αの獲得。万全の東京五輪を迎えるために。今年残りは「アウェー先勝」がテーマだ。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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