【特別対談】東京五輪が1年後に延期。18人のメンバーに入るのは誰だ?

COLUMN河治良幸×清水英斗 世界基準の真・日本代表論⑥

【特別対談】東京五輪が1年後に延期。18人のメンバーに入るのは誰だ?

By 清水 英斗 ・ 2020.6.15

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新型コロナウイルスの影響で、東京五輪が2021年7月に延期されることが決まった。1年、後ろにずれたことで、出場メンバーはどうなるのだろうか? A代表との兼ね合い、オーバーエイジはどうなる? レジェンドスタジアムで連載コラムを執筆する、河治良幸、清水英斗の両名に展望を語ってもらった。


清水:今回は1年後に延期された東京五輪サッカー男子、日本代表18人のメンバーをお互いに予想してみましょう。


河治:いいですね。


清水:ポジション別にいきましょうか。まずはGK。僕は大迫敬介(広島)と小島亨介(大分)。大迫はこの若さでJ1の経験が多く、チームの堅守もあり、失点が非常に少ないです。GKとして自信を深めているはず。一方、小島は昨シーズン大分で試合に出られなかったけど、新潟では出場機会が得られそうなので、プレーの安定感でいえば、サブは小島かなと。普通の予想ですけど(笑)。


河治:ただ、小島は怪我で手術したんですよね。(※5月末に左脛骨疲労骨折で手術し、全治3か月と発表)。代表活動は間に合うと思うけど、そういう事情もあるので、第2GK候補として、僕は小久保玲央ブライアン(ベンフィカU-23)を推します。ベンフィカで練習パートナーとして、トップチームに昇格するという報道もありますし、メンタル面もかなり変わったと聞いています。練習を見ても存在感がある。公式戦を生で見てはいませんが、だいぶやりそうだなと。ブライアンのスケール感は大迫を上回るものがあります。今後のU-20日本代表の活動で、秋に開催予定のAFC U-19選手権がどうなるかわからないとか、そもそもチームに合流できるかとか、そのあたりの不透明な事情は置いておいて、ポテンシャルでブライアンを挙げておきます。


清水:第3GKならポテンシャル選出でいいけど、第2GKとなるとどうですかね? まあでも、193センチの大型GKで、相当期待される選手ですよね。次はディフェンスラインです。とりあえず3バック前提ですが、僕はレギュラー格に冨安健洋(ボローニャ)、吉田麻也(サンプドリア)、板倉滉(フローニンゲン)。オーバエイジとして吉田が呼べるかどうかは、状況も変わると思うので、今は考慮せず。控えは中山雄太(ズウォレ)と、もう1枚は立田悠悟(清水)か岡崎慎(清水)で。


河治:CBに5枚?


清水:中山はボランチの控えを兼ねてですね。『ポジションを兼ねる』という発想が、五輪18人のメンバー編成では基本になります。僕の布陣では板倉と中山は、CBとボランチの兼任です。


河治:なるほど。僕は橋岡大樹(浦和)、冨安、岡崎、渡辺剛(FC東京)、板倉ですね。ボランチを兼ねる意味では、岡崎には清水でのパフォーマンスを期待しています。あとはウイングバックを兼ねる形でどう入れるか。杉岡大暉(鹿島)はコンディションが戻ったと聞きました。杉岡に期待しつつ、古賀太陽(柏)、町田浩樹(鹿島)もサイドを兼ねる候補として悩みどころ。


清水:僕との大きな違いは、吉田麻也を入れたかどうかですね。


河治:オーバーエイジでね。


清水:このチームの場合、統率力のあるDFをオーバーエイジ選出するプライオリティは高いと、今の段階では思っています。五輪の試合を見ると、特に攻め込まれたシーン、崩しに掛かられたシーンで、対応があやふやになるのが気になります。リトリートした後、いつ行くか、誰が行くか、ポジション間を横切られたら、ついて行くのか、行かないのか。あるいは、どのケースでついて行くのか。細かい対応を今のメンバーで整理できるのか不安があります。吉田が欲しいと思った理由はそこですね。


河治:なるほどね。個人的には板倉、冨安、橋岡なら、それなりにいいのかなと感じます。そもそもオーバーエイジを使うのか、難しいですけどね。新型コロナウイルスの影響で、A代表含めて状況が複雑になった中で、無理に3人使う必要があるのか。


清水:今まで招集できそうだった選手も、五輪が1年伸びたことで、所属クラブあるいは移籍先クラブが派遣するかどうか、分からないですしね。あとでオーバーエイジの件はまとめて話すとして、次は中盤にいきましょう。


河治:はい。


清水:僕はボランチのレギュラー格は柴崎岳(デポルティーボ)と、もう1人は田中駿汰(札幌)。彼は縦パスのうまさ、サイズ感共に、面白い選手だなと思って入れています。ただ、札幌で試合に出られなかったら、外さざるを得ない。控えでメンバーに入れたいのは齊藤未月(湘南)。リードして逃げ切りを図る状況で彼を入れると、プレス強度が一気に高まります。状況によっては久保建英(マジョルカ)を下げ、シャドーに齊藤未月を入れる状況はあると思う。有効なカードなので、18人に入れたいですね。僕の布陣ではボランチは3人ですが、CBにボランチを兼ねる選手がいるので、これで充分かなと。


河治:清水くんは以前、松本泰志(広島)を推していましたよね?


清水:松本については、柴崎を招集できない場合の候補と考えました。つまり予備登録です。柴崎を呼べるなら、18人登録なので、松本まで入れる余裕が無かったです。東京五輪は暑さや過密日程、森保監督の嗜好を含めて、後ろで落ち着いてボールを持つと思います。そこに絶対の自信を持つ柴崎は外したくないし、もし呼べないなら、その役割を任せるために、ゲームを作るセンスに長けた松本が欲しいですね。


河治:僕は岡崎がボランチを兼ねることを想定しつつ、柴崎と田中碧(川崎)にしました。もう1人のボランチは松本が成長してくるのか、もしくは齊藤未月を含めて難しいけど、安部柊斗(FC東京)にしておきます。安部はシャドーを兼ねるとか、そういう含みもあります。


清水:そう来ましたか。安部はこの1年に期待ですね。サイドはどうしました?


河治:まず、左は相馬勇紀(名古屋)が鉄板として、右は橋岡と、ウイングバック寄りで岩田智輝(大分)。この2人を使い分ける感じですね。基本は橋岡が3バックの一角で、岩田がウイングバックですが、場合によってはカバーできる関係です。もう1枚は遠藤渓太(横浜FM)。マリノスでは無双状態ですが、結局、五輪代表に入れたときにどうなるか。


清水:僕はタイプ的に、相馬と遠藤はどちらか1人と考えます。


河治:そうですね。ただ、自分は杉岡をDFで入れなかったので、もう一枚、左ウィングバックを加える必要があって、シャドーもできるということで遠藤を入れます。


清水:僕の布陣のサイドは、杉岡と橋岡が基本です。攻撃的なウイングとしては相馬と三笘薫(川崎)を。三笘はシャドーの控え、スーパーサブとしても考えています。もう一つ、仮に吉田や柴崎が呼べないなど、オーバーエイジが一つ空く状況になったら、伊東純也(ゲンク)も有力な選択肢です。ボールのオンオフを問わず、スピードで縦に行ける選手って、今そんなに多くないんですよね。伊東はウイングハーフのほか、シャドーで起用して、速攻をねらっても面白い。


河治:確かに。


清水:A代表でも堂安律(PSV)の代わりに右サイドに置いたら、内容の違う試合を作ったし、有効な選択肢だと思います。1トップ2シャドーも大迫勇也(ブレーメン)、久保建英、堂安と並べるよりは、大迫、久保、伊東のほうが、特徴がバラけて相手は捕まえづらいと思う。


河治:なるほど。


清水:ただ、大迫、吉田、柴崎、伊東とオーバーエイジは4人呼べないので、相対的にU-23で不足が大きいポジションを見極めることになると思います。伊東を呼ぶなら、相馬あたりが漏れることになるし、ボーダーラインは相対的な要因が絡みますね。僕の中盤はこんな感じで、最後は前線ですね。シャドーはどうですか?


河治:三好康児(アントワープ)と久保建英、それから前田大然(マリティモ)はトップと兼ねる形で入ると思います。


清水:前田は重要ですよね。


河治:絶対的に必要なんじゃないですか? 食野亮太郎(ハーツ)を入れたら飛び道具としては面白いけど、18人という限られたメンバー編成で考えると、前田の方がより必要かなと。三好は汎用性が高く、久保とも組めて、互いの良さを消し合わない。今のところは三好、久保、前田ですかね。それで僕は残り2枚になるんですけど、1枚は小川航基(磐田)、もう1枚は難しいけど鎌田大地(フランクフルト)にしておこうかな。


清水:鎌田はオーバーエイジですね。河治さんは大迫を入れていない。


河治:大迫はチーム内での状況を考えると、クラブに専念したほうが良いと思っています。直近の試合でゴールしましたが、あまり良い状況とは言えませんよね。それと、五輪のオーバーエイジを選ぶときは、『経験が大事』と言われますが、モチベーションも大事だと思う。ロンドン五輪の吉田じゃないけど、鎌田は国際舞台に向けたモチベーションも高いと思いますし、ヨーロッパで今、一番結果を出しています。ただ、鎌田の起用法をポストプレーに限定するのは違うと思いますが。


清水:僕は大迫が呼べない場合の対案として、空いたオーバーエイジ1枠に鎌田を考えています。前田がワントップで相手のラインを引っ張り、その下に鎌田と久保を置く。鎌田は元々、ライン間で受けるのが上手い司令塔タイプでしたが、ゴール前のスペースに飛び込むタイミングが磨かれているので、前田、久保と組み合わせると面白い。前田がスペースを作り、久保が奇術を使い、鎌田が飄々と飛び込む。相手は捕まえづらいと思うし、大迫がいない場合はこっちの並びがファーストチョイスになると思います。


河治:大迫と鎌田のチョイスもそうだけど、難しいのはオーバーエイジをどう使うかです。フルに3枚使い切る必要があるのか。新型コロナの影響で、状況はかなり複雑になってきたと思います。


清水:そうですね。東京五輪が1年延期されたことで、オーバーエイジの方針は大きく変わるかもしれない。


河治:だから僕の布陣は、ベストメンバー志向みたいな感じではなくなったんですよ。今夏の五輪でメンバーを考えるのとはマインドが違う。(後編に続く)


【2020年6月時点での東京五輪メンバー予想】


システム:1-3-4-2-1


・河治

GK:大迫敬介(広島)、小久保玲央ブライアン(ベンフィカU-23)

3バック:冨安健洋(ボローニャ)、板倉滉(フローニンゲン)、橋岡大樹(浦和)、岡﨑慎(清水)、渡辺剛(FC東京)

ボランチ:柴崎岳(デポルティーボ)、田中碧(川崎)、安部修斗(FC東京)

ウイングバック:相馬勇紀(名古屋)、岩田智輝(大分)、遠藤渓太(横浜FM)

シャドー:三好康児(アントワープ)、久保建英(マジョルカ)、前田大然(マリティモ)

FW:小川航基(磐田)、鎌田大地(フランクフルト)


システム:1-3-4-2-1


・清水

GK:大迫敬介(広島)、小島亨介(大分)

3バック:吉田麻也(サンプドリア)、冨安健洋(ボローニャ)、板倉滉(フローニンゲン)、中山雄太(ズウォレ)、立田悠悟(清水)

ボランチ:柴崎岳(デポルティーボ)、田中駿太(札幌)、齊藤未月(湘南)、

ウイングバック:杉岡大暉(鹿島)、橋岡大樹(浦和)、三好康児(アントワープ)、相馬勇紀(名古屋)

シャドー:久保建英(マジョルカ)、前田大然(マリティモ)、三笘薫(川崎)

FW:大迫勇也(ブレーメン)



写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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