7つのチームが活動中。A代表の底上げを図る、年代別代表チームの現状とは?

COLUMN川端暁彦のプレスバック第41回

7つのチームが活動中。A代表の底上げを図る、年代別代表チームの現状とは?

By 川端 暁彦 ・ 2017.5.31

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日本の男子サッカーでは現在、7つの日本代表が活動している。


一つは言うまでもなくハリルホジッチ監督が率いるA代表だ。これに加えて6つの代表チームがあるのだが、非常にややこしいために報道関係者の間でも混乱している人がいたので、ここで整理しておこうと思う。


昨年、10年ぶりにU-17、U-20ワールドカップへの兄弟出場が決まり、それぞれのチーム(U-17日本代表とU-20日本代表)が活動を継続している。これがまず二つ。そして今年に入ってからは2年後の次回U-17、20ワールドカップを目指すチーム、つまり現在はU-15とU-18の代表チームも立ち上がった。つまり二つの世界大会に出るチームと、次期世界大会を狙う二つのチーム、合わせて四つの年代別代表チームが継続的に活動していることになる。


さらに日本サッカー協会は欧州のやり方を見習う形で“狭間の年代の代表チーム”の活動に注力している。これはFIFAの国際大会が2年に1度のペースで開催されるために、その年齢制限に合致する上の年代の選手が選ばれやすくなってしまう弊害を軽減するために実施されている施策だ。


狭間の代表で活躍し、世界大会のチームに引き上げられた例も


たとえば、今回のU-20日本代表は1997年1月1日生まれ以降の選手が対象となり、この年の選手が自然と選ばれやすい。ただ、1998年生まれの中にも現時点での競争に勝つ力はなくとも、将来性を持った選手はいる。そうした選手に国際経験を積ませ、チャンスを与えるために“狭間の年代の代表チーム”が編成されている。


年代別代表担当ダイレクターである木村浩吉氏の言葉を借りれば「五輪になれば(身体的成長が追い付いて)下の年代の選手が増えてくるし、A代表になれば関係なくなる」という意図から活動を実施している。上の年代の代表でやれるかどうかを占うテストの場としても活用されており、今回のU-20ワールドカップメンバーでも、岩崎悠人(京都)や舩木翔(C大阪)といった選手は、まず狭間の代表に呼ばれた上で、世界大会を目指すチームに引き上げられる形で招集された。そうした“ステップ”としても活用されているわけだ。


U-19代表はトゥーロン国際大会に参戦中


現在、この“狭間代表”は二つのチームが活動している。一つはU-19日本代表で、5月29日に開幕したトゥーロン国際大会に出場中。U-20日本代表の選考から漏れた、あるいは大枠の候補には入りながら招集の機会を持てなかった選手たちに、下の年代の選手たちを加える形で編成されている。


U-20ワールドカップの代表チームは大会終了をもって解散となるが、この年代の代表チームはそのまま東京五輪を目指すチームへと移行する。7月には早くもAFC U-23選手権予選が予定されているのだが、同大会にはJリーグに出場している選手の出場は難しくなっており、このU-19代表はそのステージも意識した、バックアップチームという意味合いがある。


東京五輪を目指す新生U-20代表チームは、ここで活躍した選手たちをミックスする形でAFC U-23選手権予選を戦うこととなる。もう一つの狭間代表はU-16チーム。4月にフランスで行われたモンテギュー国際ユース大会に出場し、6月には仙台で行われるJFAインターナショナルドリームカップに出場する。こちらはU-17日本代表のバックアップチームを兼ねることになる。


年代別代表チームの状況


整理すると、こんな感じだ。


日本代表(A代表)

監督:ハリルホジッチ

最終目的大会:18年ロシアW杯


U-20日本代表

監督:内山篤

最終目的大会:17年U-20ワールドカップ→20年東京五輪

年齢制限:1997年1月1日以降


U-19日本代表

監督:影山雅永

最終目的大会:なし(狭間代表)

年齢制限:1998年1月1日以降


U-18日本代表

監督:影山雅永

最終目的大会:19年U-20ワールドカップ

年齢制限:1999年1月1日以降


U-17日本代表

監督:森山佳郎

最終目的大会:17年U-17ワールドカップ

年齢制限:2000年1月1日以降


U-16日本代表

監督:森山佳郎

最終目的大会:なし(狭間代表)→ただし、ゆくゆくは21年U-20ワールドカップ

年齢制限:2001年1月1日以降


U-15日本代表

監督:有馬賢二

最終目的大会:19年U-17ワールドカップ

年齢制限:2002年1月1日以降


細かい刻みの代表チームを通じて選手を幅広く発掘し、国際経験を積ませながら、最終的に開花した選手たちで五輪とW杯を戦っていく構想である。



8つ目の代表チームの存在


なお、7月のAFC・U-23選手権予選までは内山監督がU-20代表の指揮を執ることとなっているが、以降の予定は白紙。監督は改めて選任され、(予選を突破していれば)来年1月のAFC・U-23選手権本大会から東京五輪監督の指揮下で戦うこととなる。


ちなみに、このAFC・U-23選手権は2年に1度開催されるアジアのU-23年代王者を決める大会(五輪当年に行われる大会はその予選を兼ねる)なのだが、日本はU-23カテゴリーの大会に下のカテゴリーに当たる五輪年代のチームで参戦し、経験を積ませる方針だ。


ちなみに、この7つの代表チームに加え、8つ目の代表チームと言うべきチームもある。8月に台湾で行われる『ユニバーシアード競技大会』に臨む、ユニバーシアード日本代表だ。この大会は大学を卒業した選手たちやプロ選手も出場可能だが、日本は実質的に全日本大学選抜のチームを送り込んできており、今回もそうした編成で大会に臨む。このチームを含めた各代表チームが積み上げた国際経験を糧に、少しでもタフで戦えるA代表や東京五輪代表が出てくることを期待したい。(文・川端暁彦)

写真提供:getty images

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川端 暁彦

川端 暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカー批評』『サッカーマガジンZONE』『月刊ローソンチケット』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。2014年3月に『Jの新人』(東邦出版)を刊行

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