「スピーディーで柔軟」英紙のチェルシー番記者が川崎を称賛!! 特に印象に残った選手は?

「スピーディーで柔軟」英紙のチェルシー番記者が川崎を称賛!! 特に印象に残った選手は?

2019.7.20 ・ Jリーグ

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 横浜にある日産スタジアムで、スリリングな展開の末に川崎がチェルシーを破る姿を目の当たりにしたことは望外の喜びで、愉快な夜だった。スタジアムにあふれる色彩、響き渡る歓声とパッション。それらすべてが、レアンドロ・ダミアンによる勝利を決定づけるゴールが決まった瞬間、最高潮に達し、勝利を祝福した。


 勝者にふさわしかったのは川崎だ。チェルシーは、蒸発したかのように勢いを失い、エネルギーが枯渇していた。L・ダミアンの決勝弾は、川崎のパフォーマンスに対するご褒美としては、少し物足りなかったくらいだ。


 この夜の勝利は、日本のフットボールが持つ力と、成長して実力をつけ続けているという事実を証明した。そして、新たな船出をしたばかりのチェルシーに対する大きな警告にもなった。


 もちろん、チェルシーにとっては不利な条件も重なっていた。新指揮官のフランク・ランパードは就任したばかりで、チームを率いてまだ2週間ほどだ。現在は、これから始まるヨーロッパサッカーの新シーズンに向け、休暇明けの選手たちがフィジカルコンディションを一生懸命に整えている最中。しかも、ロンドンでは経験することのない暑さと湿気のなかで、2部練習をこなしたばかりという状態だった。

 だが、試合前日の会見で、予兆はあった。ランパードとMFマテオ・コバチッチの隣に座っていた川崎の鬼木達監督は、この試合での勝利を真剣に考えていることが伝わってきた。彼の双眸はギラギラと輝いていた。そして、彼の率いる選手たちは、試合開始のホイッスルが鳴り響いた瞬間から、その意欲が本物であることを証明したのだ。


 川崎は常にハイテンポなチェイシングでチェルシーの選手たちを不快にさせ、落ち着いて自由にプレーする時間を与えなかった。


 この試合でのチェルシーの先発メンバーは、現時点でのファーストチョイスだったと思われるが、川崎はそれに負けず劣らずの資質を備えていることを証明した。勝利への意欲と意志の強さ、集中力は、世界も認める日本のチームの優秀な点だ。 序盤はチェルシーは有利に見えたが、川崎のカウンターのスピードは速かった。左サイドの齋藤学が自信を持って切り込んでいく姿を見せたことで、川崎の勢いは加速した。ゴール前でラストパスの精度がもう少し高ければ、もっと早く得点の瞬間が訪れていたのではないだろうか。前半終了間際、家長昭博のビッグチャンスはGKウィリー・カバジェロの素晴らしいセーブで弾かれたが、本人は決まったと思ったに違いないクオリティーだった。


 柔軟に対応するスタイルも評価に値する。試合開始後まもなく、チェルシーのMFメイソン・マウントが自由にプレーする兆候を見せるや否や、鬼木監督はすぐにポジションを調整して彼に自由を与えないよう指示した。


 ボランチでコンビを組んだ田中碧と下田北斗はやや深めに位置をとることで、不要なプレッシャーから逃れ、配球に自由を得た。前半は絶妙なバランスで試合を進めていたが、後半に多くの選手を入れ替えたことで、そのバランスを失ってしまったのは惜しまれる。


 最終ラインではDFジェジエウがFWミチ・バチュアイを抑え込み、絶好機をつぶすタックルも披露。ブラジル人DFはデュエルに強く、1対1の場面でも上回っていた。GKのチョン・ソンリョンは、絶好の位置からのオリビエ・ジルーの決定的な直接FKを防ぐ好プレーを見せた。

 一方、度重なるミス、ターゲットが明確でないクロス、愚かな状況判断が積み重なり、チェルシーは目には見えないプレッシャーを背負い込むことになった。もし、チェルシーがベストな状態で戦っていたとしたら、彼らは間違いなくゴールを決めて、歓喜の瞬間を迎えていただろう。だが、この日は川崎の組織的な守備の前に屈した。


 あらゆるプレッシャー、攻め続けられてピンチに晒されても、それを乗り越えるチームこそが白星を手にする。この試合で値するのは川崎だった。チェルシーはペースを握ったが、実際にゴールを決めて勝利するチームとは、とても思えなかった。 勝敗を分けたのは、ラスト20分だ。後半開始から投入された知念慶、L・ダミアンは非常に効果的だった。彼らのもたらした勢いと激しいプレーによって、スタミナが尽きて停滞ぎみだったチェルシーは一気に畳み掛けられ、最終ラインはズタズタにされた。


 そして最後の数分に、リーグ戦の激しい戦いに身を置く川崎との“差”が出てしまったのだ。チェルシーの疲労は明白だった。だが、それはJリーグ王者の素晴らしいパフォーマンスの価値を損なう理由にはならない。


 ゴールの瞬間を迎えるにあたり、川崎には、勝利を掴むための“心の拠り所”が存在していたことも印象的だ。ベテランの中村憲剛の存在がチームを鼓舞した。全員が決して諦めずにトライし続け、カバジェロを超えて、レアンドロがゴールを決めるまで、エネルギーを途切れされることはなかった。ゴールの瞬間、それは頂点に達していたように思う。

 私は、ランパードと彼の率いる選手たちは、川崎を過小評価していたわけではなかったと確信している。プレシーズンゆえに、結果への評価はシーズン中のそれと等しいとは言い難いが、彼らは横浜で勝ちたいと思っていたはず。この敗北は、彼らの胸に突き刺さるものだ。


 それだけに、川崎は日ごろの努力に対して、期待以上の結果に高い評価を与えることができる。鬼木監督や選手たちだけではなく、6万人以上のファンがドラムを響かせ、フラッグを振り、チャントを唄った。彼らは勝利を引き寄せ、そして手にした。これは確かに”チャンピオン”であることの表われだ。


取材・文●マット・バーロウ(イギリス『Daily Mail』紙記者)

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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