「手で入れることは分かっていた」元イングランド代表守護神がマラドーナの“神の手”を回想「少し迷っていた…」

「手で入れることは分かっていた」元イングランド代表守護神がマラドーナの“神の手”を回想「少し迷っていた…」

2020.11.27 ・ 海外サッカー

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 現地時間11月25日に元アルゼンチン代表FWディエゴ・マラドーナが急逝した。


 先月30日に60歳を迎えたばかりだった英雄は、ブエノスアイレス郊外の自宅で心停止を起こし、帰らぬ人となったのである。


 サッカー界にいまなお語り継がれる数々の伝説を残してきた世紀のスーパースターを語るうえで欠かせないのが、1986年のメキシコ・ワールドカップの準々決勝、イングランド戦での「神の手」だろう。


 マラドーナがイングランド代表GKピーター・シルトンと競り合った際に、わずかに反応が遅れた相手守護神の目の前で左手を突き出し、ゴールへと流し込んだ一撃である。


 生前、マラドーナは、アルゼンチン・サッカー協会の動画メディア『AFA Play』のインタビューで、「8万人もの人々があの瞬間、私が手を使ったことに気づかなかった。わかるか? 間違えたのは主審だけじゃないんだ」とコメントしていたが、この伝説的なゴールにやり切れない想いを抱えているのがシルトンだ。


 かつての“憎きライバル”の訃報を聞き、英衛星放送『Sky Sports』の取材に応じたシルトンは、「彼は史上最高の選手の一人だったのは間違いない。ワールドカップを勝ち取ったんだからね」と答えたうえで、複雑な面持ちで“あのゴール”を振り返った。

 「私と一部のチームメイトは、彼があまりにスポーツマンシップのかけらもなかったことに不満を抱いていた。彼は手を挙げて、先に進んだが、あれは私たちの国の哲学ではありえないものだった。いつも思い出すと苦々しかったが、いま、私たちは彼の偉大さを祝うべきだ」


 マラドーナの“伝説”となったゴールへの想いを打ち明けたシルトンは、その時のプレーを鮮明に記憶している。「私はあの時、一瞬の決断を迫られていた」と回想したレジェンドGKは、こう続けた。


「少し迷ったんだ。世界最高の選手にゴールまで10ヤードの位置でチャンスを与えるべきか、それとも飛び込んでなんとか一か八かで止めるかをね。ただ、最終的には本能で後者を選んでいた。競り合った時、私は少しフラットに飛んだ。彼が手で入れるしかないことは分かっていた。けど、ゴールは決まったんだ。気づいた時には、彼はゴールを祝うためにその場から消えていた」


 さらに「マラドーナは非常に賢かった。手と同時に頭を突き出して誤魔化したんだ。あの回転の速いフットボールIQは素晴らしいものだった」と語ったシルトンは、インタビューの最後にこう言い残している。


「彼はあの時に自分が何をすべきかを理解していた。あれが彼の凄さでもある。ただ、許せない部分はある。もちろん僕らは、その場で彼が主審に『ハンドです』と言うわけがないと思っていたが、試合後に『神の手だ』と言われて、本当に謝罪がなかったことには驚いた」


 最後までマラドーナとの和解を果たせなかったシルトン。「イングランド代表にとって傷に塩を塗られたような気持ちになった」と語る彼の想いがいずれ晴れる日は訪れるのだろうか。


構成●サッカーダイジェストWeb編集部

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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