「これほどシメオネの指示に逆らった選手はいない」もがき苦しむJ・フェリックスが引き起こした“造反事件”【現地発】

「これほどシメオネの指示に逆らった選手はいない」もがき苦しむJ・フェリックスが引き起こした“造反事件”【現地発】

2020.1.21 ・ 海外サッカー

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 約4週間の怪我による離脱を経てラ・リーガ第14節のグラナダ戦に復帰して2か月余りが経過するが、ジョアン・フェリックスの状態が一向に上がらない。試合中に垣間見せる厳しい表情は、獲得のために支払われた1億2700万ユーロ(約159億円)の高額の移籍金に象徴されるクラブ内外からの期待と重圧に苦しんでいることを伺わせる。


 宿敵レアル・マドリーとの顔合わせとなったスーペルコパの決勝でも、ドリブルに持ち前の鋭さと思い切りの良さが見られず、重要な場面でのシュートミスも目立った。


 この20歳の不調になるにつれて、取り巻く環境も騒がしくなっている。開幕以来、ディエゴ・シメオネ監督は右サイドをメインに起用していたが、この指揮官の判断に対し、代理人を務めるあのジョルジュ・メンデスが不満を表明。それも影響したのだろう。前述のグラナダ戦では、右サイドに戻るよう再三にわたり命じるシメオネを無視し、セカンドトップのポジションでプレーし続けた。


 シメオネ政権が誕生してから8年間、これほどあからさまに指揮官の指示に逆らった選手はいなかった。しかしアルバロ・モラタとともに2トップの一角を担っていたジエゴ・コスタが怪我で戦線を離脱する中、シメオネはその後、スーペルコパの決勝やバルセロナとの準決勝での一部の時間帯を除いてJ・フェリックスを右サイドで起用することはなくなっている。

  この数週間、チームメイトとの間にも少なからず緊張が走った。決勝トーナメント進出をかけたチャンピオンズ・リーグのグループステージ最終節・ロコモティフ・モスクワ戦、開始直後にキーラン・トリッピアーが外したのに続いて迎えた2度目のPKの場面で、自らキッカーを買って出たJ・フェリックスは見事に成功させチームは先制。価値ある勝利(2-0)の立役者となった。


 だが、これは事前にアシスタントコーチのヘルマン・ブルゴスの下で決められていたキッカーの順番を無視したものだった。


 この行動は責任感の表われとも取れるが、チームメイトの中には必ずしもポジティブに受け止めなかった者もいた。試合後、チームリーダーのひとりであるサウール・ニゲスは、「今日は誰か特定の選手をクローズアップすべきではない。強いていえば、マリオ(エルモソ)とフェリペがよくやっていた。トリッピアーと(レナン)ロディもね」とわざわざJ・フェリックスを除いた今シーズンの新戦力組の名前を挙げて、そのパフォーマンスを褒め称えた。


 一方のシメオネは、「ジョアンは成長を見せている」と一定の評価を与えながらも、「まだまだ貢献できることはたくさんある。とくに前線とのコンビネーションプレーをさらに磨いてもらいたい。そうすればもっと早い時間帯で試合の勝敗を決めることができるはずだ」と注文を付けることも忘れなかった。

  このロコモティフ戦でのPKキッカーを巡るエピソードは、J・フェリックスにとっても一つの転機になった。開幕以来、ボールに絡む頻度の少なさを指摘されていたが、この一戦を境にして1試合当たりのシュート数が増加したのだ。繰り返しになるが、中心選手としての自覚がそうさせている部分はもちろんあるだろう。


 しかしスーペルコパのバルサ戦では、80分にアトレティコがPKで2-2のタイスコアに持ち込んだ場面でロコモティフ戦と同様にキッカーを買って出ようとしたポルトガル代表FWを制したモラタがそのまま蹴り得点を決めている(試合はアトレティコが3-2で勝利)。


 ヒエラルキーを飛び越えてでも現状を打破すべく悪戦苦闘するJ・フェリックスと、このニューカマーに対し、アトレティコの“鉄の掟”に従わせようとするシメオネ監督や重鎮選手たちとの間の心理戦が続いている。


文●ラディスラオ・ハビエル・モニーノ(エル・パイス紙アトレティコ番)

翻訳●下村正幸


※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。

 

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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