途中出場で流れを変えた“追加の川又”。ロシアW杯のメンバー入りもある?

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第56回

途中出場で流れを変えた“追加の川又”。ロシアW杯のメンバー入りもある?

By 清水 英斗 ・ 2017.12.15

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「どうも、追加の川又ですー」と、軽やかなツカミで日本代表に合流した川又堅碁。なかなかどうして。途中出場だが『EAFF E-1サッカー選手権2017』に2試合連続で起用されている。


「追加は追加やけど、来たからには、そんなん関係ないですからね。呼ばれたら代表やし」


中国戦も後半30分に出番が回ってきた。川又はハリルホジッチ監督の指示を受け、さっそくピッチ内にも伝達。すると、日本のシステムは川又と小林悠が2トップを組む[4-4-2]へ。


……しかし、何だか様子がおかしい。すぐに次の場面で[4-3-3]に戻り、小林は右サイドへ移って行く。どういうことだ?


「(指示は2トップだった?)いや、最初ね。間違えたんや。中に伝えたことと、その…いろいろ…やめとこ(笑)。(中の選手が間違えたってこと?)いや、そうじゃない、そうじゃない。俺が間違えた。(これって怒られるやつ?)いやいや。もうやめよ。こういうデリケートな話はせんとこ(笑)」


ミックスゾーンは川又劇場。笑いが増えるたび、あっという間にお客さんが集まってきた。記者陣と川又の掛け合いが面白い。


川又の最初のボールタッチは1分後だった。今野泰幸からの縦パスを受け、土居聖真へ落とす。しかし、その間で相手にカットされてしまった。間合いの余裕はあったので、落とさず、前を向くことも可能だったかもしれない。


「ファーストプレーやからね。大事に行こうとしすぎたところがあったから。俺の中では…チッ、聖真がもうちょい入って来りゃよかったのに…(笑)」


川又の登場で流れが一変


それはともかく、川又が入った辺りから流れが変わったのは確かだ。後半は中国にペースを握られていたが、逆に日本が押し込むことになった。


「違いって言うか、俺が前に入ったことで、(小林)悠君だったり、(倉田)秋君だったり、足も速いし、技術もあるし、それをどうやって生かすか。俺が前で引っ張って、ボールを落として、後ろで背負っとけば、その人はフリーで仕掛けることができるから。そういうのは意識してプレーしています。悠君がどうとかじゃなくて、いかに周りの選手を使えるようにするか。その選手がめっちゃいい仕事するから。だって、できるもん。うめーから。俺の100倍うめえ(笑)。ほんと、ほんと」


ファーストプレーは失敗したが、その後の川又のポストプレーは効果的だった。先制ゴールの起点は、今野からのロングパスを川又が引き出し、ワンタッチで落としたところから。北朝鮮戦でも、サイドに流れて縦パスを引き出し、クロスからチャンスを作った。


「周りが見えている感覚はあるよ。余裕を持ってできてるし、意外に胸トラップから右足のパスもうまかったでしょ」


2年前の東アジアカップでは相手を背負ったり、ボール収めたりするプレーが課題だったが、川又は見違えるように仕事の幅を広げつつある。


「(2年前は収まってなかったけど)いや、もう過去なんて、そんなおれ、覚えてねーよ。…いや、覚えてるよ。過去なんてそんな。過去は過去だから。まあ、2年前はそういうのがあったかも。そりゃあだって、2年経ったんだから。ワンピースと一緒だよ。おれ、覇王色の覇気まとってきたから。いや、そういうの書かなくていいから(笑)」


いや、あなたの成長は覇王色というより見聞色だろう。と、僕も書かなくていいことを書いてしまった。(ワンピースを知らない人はスルーしてください)


「やべ、今日話しすぎた。これなんか明日変なこと書かれてるから。川又、覇王色の覇気まとったとか」


そう言いながら、川又は立ち去った。


ピッチ外の良い雰囲気がプレーに直結


北朝鮮戦から中国戦まで、あまり時間がない中で、ハリルジャパンは内容が格段に向上した。縦パスを入れて、落として、そこからもう一度、もう二度、裏を取って行く。フリックが増えたのは象徴的な現象だ。


ハリルジャパンのトレーニングは、入れて、落として、裏を取っていくボールの動かし方が、パス&コントロールのウォーミングアップから取り入れられている。同じことをやり続けている。その根幹とも言うべき攻撃のやり方が、中国戦ではかなり多く見られた。


なぜ、短期間でこれほど変わったのか。


この国内組限定のハリルジャパンは、想像していたよりも、ずっとチームの雰囲気が良い。東口順昭も「チームとして、優勝を目指して一丸になっています。誰が出ようと、まずは勝つことだけを考えてやっていければと思う。コンビネーションの流れもすごく増えてるし、何より食事会場での会話も、仲良くやっている一体感はすごく感じます。(川又)堅碁が結構しゃべってて」


川又はミックスゾーンだけでなく、食事会場やお風呂でも、人一倍しゃべり倒しているらしい。もちろん、サッカーの話も。そうやって細かい部分を突き詰め、全員がポジティブに取り組んでいる。短期間のパフォーマンス向上は、どうやらピッチ外の影響が大きかったようだ。


追加の川又。追加して大正解。このまま23人にも追加できればいい。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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