W杯まであと半年。ハリルジャパンのマッチメークは大丈夫か?

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第57回

W杯まであと半年。ハリルジャパンのマッチメークは大丈夫か?

By 清水 英斗 ・ 2018.1.10

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ロシアワールドカップまで半年を切った。3月の国際Aマッチデーは、模擬テスト。本番と同じタイプの相手を探そうと、どの国も躍起になっている。


ハリルジャパンの対戦相手には、ルーマニアとアルジェリアが浮上したと、7日付けのスポーツ報知が伝えた。どちらも本戦出場を逃した国。ルーマニアは仮想ポーランド、アルジェリアは仮想セネガルの位置付けだろうか。


しかし、3月のアルジェリアはアフリカネーションズカップ予選が1試合。さらにモロッコと同組のイランと親善試合を行うと、アルジェリア協会側が発言している。もし、日本も対戦するなら、アルジェリアにとってはAマッチが3試合目だ。あれれ。単なる誤報か、試合をずらす手段があるのか。


イランとアルジェリアの親善試合は、パリで行う方向で調整しているらしい。ということは、フランスでの試合を望むハリルホジッチとも場所やタイミングが合う。アフリカネーションズカップ予選の1試合をずらすことが可能なら、真実味のある話だが。


ただし、場所やタイミングは良くても、本番の仮想相手としてアルジェリアは今イチ。地理的にセネガルに近いが、微妙にずれている。


アルジェリアを仮想セネガルにするのは無理がある


イランだけでなく同じB組のポルトガルも、大会直前の6月に仮想モロッコとして、アルジェリアとの試合を組んでいる。同じ北アフリカで、民族的にもアラブ人とベルベル人という同一構成。シミュレーションとしては適当だ。


ところが、セネガルはスーダン系の黒人の国。アルジェリアを仮想セネガルと考えるのは無理がある。ポーランドの場合は仮想セネガルとして、3月にナイジェリア戦を予定しているが、こちらのほうが的確なスパーリングだろう。先に取られてしまったのが惜しい。日本は大丈夫だろうか。そもそも対戦相手は年末にはアルゼンチンとも報道されていたが、マッチメーク交渉がうまく進んでいないのではと心配だ。


際立つ、韓国の交渉力


その点、相変わらずイランや韓国は政治慣れしているというか、動きが早い。昨年12月にグループリーグの抽選が行われてから、2~3週間後には親善試合の相手を決めてしまった。


興味を引かれるのは、韓国が3月にポーランドとの親善試合を組んだこと。ドイツと同組の韓国、日本と同組のポーランド。韓国にとっては仮想ドイツ、ポーランドにとっては仮想日本。お互いに望むスパーリングが実現した。ならば日本もドイツとマッチメークすれば……とも思ったが、すでにドイツはスペイン、ブラジルとの親善試合を3月に組んでいた。グループリーグの仮想相手など、お呼びでないようだ。


今回に限らず、マッチメークはいつも韓国に上回られる印象がある。


昨年10月もそう。各大陸予選が行われており、親善試合を組みにくいタイミングなので、日本がニュージーランド、ハイチを選んだことは、仕方がないとも言える。しかし、韓国は日本よりも後に本戦出場を決めたにもかかわらず、スケジュールが空いていた開催国ロシアとの試合をすばやく組んだ。


さらにロシアからスイスへ移動し、2戦目はモロッコ。当時モロッコはアフリカ予選が1試合組まれていたので、FIFAの規定に従うなら、大陸をまたぐ2試合のマッチメークは許されないが、モロッコ側がCAF(アフリカサッカー連盟)に許可を取り、飛行機で5時間以内の移動なら大陸をまたぐマッチメークもOKという例外規定を利用したそうだ。


必要な「仕方がない」では済まさない姿勢


抜け道のようにも思えるが、考えれば当たり前の話。法の条文には法の精神がある。選手の負担を軽減するためのルールなので、近距離の移動ならば、大陸をまたぐことに問題があるわけがない。たとえ例外規定がなかったとしても、交渉次第で認められる可能性はある。仕方がない、で済ませてしまうと、そういう当たり前に気づかない。


11月にリールで行った日本対ブラジルも例外的な開催だった。同日にパリでフランスが親善試合を行ったため、通常であれば、同日に同国でのAマッチ開催はルール違反。しかし、フランス協会側から、日本対ブラジルをビデオ判定の試験導入マッチとする提案があり、了解を得た。何にでも、交渉の余地はある。AFC関係者に聞いたところ、一般的にこのようなマッチメークは大陸連盟がOKを出せば、FIFAが拒否するケースはあまりないそうだ。


仕方がない、で済まさない。そこがスタート。


日本人は身体が小さいから……で済まさない。デュエルはサッカーに必要だ。日本人はフィジカルが弱いから……で済まさない。話は体脂肪率を下げてからだ。ハリルホジッチが指揮する今大会は、仕方がないでは済まされないワールドカップ。マッチメークにも期待している。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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