日本代表の10月2連戦で試すべきは若手選手。東京五輪世代の抜擢を!

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第72回

日本代表の10月2連戦で試すべきは若手選手。東京五輪世代の抜擢を!

By 清水 英斗 ・ 2018.10.1

シェアする

“ドナドーニ・ショック”を乗り越えた森保監督に起用してほしい、秋のおすすめ銘柄をご紹介。10月の日本代表シリーズ(12日パナマ戦、16日ウルグアイ戦)に、誰が招集されるのだろうか?


前提として、今回もロシアワールドカップの主力メンバーは、大半を招集外としたほうが良さそうだ。呼ぶとしたら、大迫勇也、酒井宏樹、長友佑都の3人くらい。


火事場のクソ力を発揮したワールドカップを戦い抜き、出場した選手の中には燃え尽き症候群に陥り、新シーズンに出遅れた選手が何人かいる。移籍した選手も多いため、出場機会が安定しているのは前述の3人ほど。かなり厳しい状況に置かれた選手もいる。よって今回も、ワールドカップメンバーの大半は招集見送りとし、クラブに専念してもらうほうがベターだ。


もちろん、来年1月のアジアカップを見据えて、A代表の主力メンバーに森保式3バックを本格導入したい云々の課題はある。しかし、それは11月か、あるいは大会直前の合宿から始めても充分。


何もアジアカップの初戦から、最高のパフォーマンスを出す必要はない。ザックジャパンが優勝した2011年アジアカップ、U-21森保ジャパンが準優勝した8月のアジア大会を振り返っても、長丁場の大会は尻上がりに成長していくチームが強い。たとえば今回のアジアカップは、グループリーグのトルクメニスタン戦、オマーン戦、ウズベキスタン戦で3バックを導入し始め、多少うまくいかなくても、一戦一戦、課題を見つけながらクリアして行く。そのほうが戦術の浸透が早く、限られた時間の使い方としても効率的だろう。


A代表の本格始動は11月で十分


幸いなことに、今回からアジアカップは参加国が24に増えた。グループリーグは3位でも突破の可能性が残される。早期敗退のリスクは極めて小さい。本格的なチーム作りは、ぎりぎりから始めても構わない。


9月のマッチメイクは、チリとコスタリカだった。10月はパナマとウルグアイと、ワールドカップ出場レベルの国が続く。そして11月はベネズエラ、キルギスとの試合が決まっている。この親善試合の組み方を踏まえるなら、アジアカップを想定したA代表が本格始動するのは11月で充分。選手の状態、大会規定、マッチメイクなど、状況はそれがベストアンサーであることを示している。


10月シリーズでは若手の抜擢を


では、今回の10月シリーズでは何をするべきか。ひとつは東京五輪を見据えた、97年生まれ以降の若手のトライアル。この世代を引っ張る選手に、レベルの高いサッカーを経験させたい。


また、海外クラブに所属する堂安律や冨安健洋、伊藤達哉のような選手は、A代表でなければ招集に強制力がないため、この機を逃すと、しばらくチャンスが無いかもしれない。堂安はアジアカップのメンバーにも入る可能性が高そうだが、A代表ボーダーラインの冨安、伊藤には出場機会を与えたいところだ。


特に冨安は見たい。ベルギーのシント=トロイデンで全試合フル出場を続けるセンターバックは、アフリカ系のFWが多いベルギーリーグで、オーバメヤンの卵のようなモンスターたちと、日々ガチンコの競り合いを続けている。日本代表は、日本人とは戦わない。国際経験が豊かなDFは、東京五輪にもA代表にも、必要不可欠な存在だ。ぜひ、ウルグアイ戦で試してほしい選手である。


ドリブラー伊藤も、9月の時点では怪我の影響もあり、コンディションの悪さがドイツ紙でも指摘されていた。それ以降、状態は上がっている様子なので、ここでトライさせてほしいところ。


アジア大会で結果を残した若手にもチャンス


ロシアワールドカップメンバーをもう一度招集外とする場合、東京五輪世代をさらに増やす余裕もありそうだ。アジア大会でインパクトを残した立田悠悟、板倉滉、杉岡大暉、松本泰志らの招集を期待したいところ。


逆に大きなミスを犯して印象を悪くした神谷優太、あるいは消化不良感のあった三好康児も、今後を考えるなら必要な戦力だ。神谷はビルドアップに難はあるが、球際の強さとカウンターに出る推進力、そしてキック力を持っている。キックはミドルシュートに限らず、インサイドキックで展開するパススピードも、日本人離れした良いモノがある。


神谷は愛媛ではFWでプレーしているが、五輪代表では前寄りのパワフルなボランチとして、つまりコスタリカ戦で言うところの“遠藤航ロール”を期待したい。アジア大会で見られた松本と渡辺皓太の組み合わせは良かったが、正直、対世界では想像しづらい。神谷のような強さを備えたタイプは、アジアから外に出たときこそ必要性が増す。ビルドアップのうまい松本のようなボランチと組めば、良い化学反応が起きるのではないか。そんなわけで招集に期待している。


とはいえ、立田、板倉、杉岡らの招集とは意味合いが違う。神谷は2部リーグのJ2でプレーする選手であり、松本は広島でのプレー機会がほとんどない。そんなことにも関係なく、この10月は思い切ってA代表初招集に踏み切り、東京五輪を見据えた親善試合にしても良いのではないか。


彼らを大量に加え、東京五輪チームの3バックを採用すれば、中島翔哉や南野拓実など次世代のA代表主力に、森保式の3-4-2-1を経験させる機会にもなる。メンバーを融合し、戦術も融合。そこでアピールに成功すれば、アジアカップのメンバー選考の基準にもなる。良いステップではないだろうか。


そんなわけで、私が希望する招集リストは以下の通り。


GK

東口順昭

権田修一

シュミット・ダニエル

小島亨介


DF

長友佑都

室屋成

車屋紳太郎

佐々木翔

三浦弦太

槙野智章

冨安健洋

立田悠悟

板倉滉

杉岡大暉


MF

青山敏弘

遠藤航

三竿健斗

神谷優太

松本泰志

伊東純也

南野拓実

中島翔哉

伊藤達哉

堂安律


FW

小林悠

大迫勇也


いかがでしょう。成長戦略は十人十色。意外と、ワールドカップのメンバー予想よりも面白かった。(文・清水英斗)

写真提供:getty images

シェアする
清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

このコラムの他の記事