森保ジャパン11月2連戦。チームに革新をもたらす「守備修正」「山中亮輔」「3バック」

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第74回

森保ジャパン11月2連戦。チームに革新をもたらす「守備修正」「山中亮輔」「3バック」

By 清水 英斗 ・ 2018.11.15

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11月の2連戦、ベネズエラ戦とキルギス戦で、私が注目するポイントは3つ。『守備修正』、『山中亮輔』、『3バック』だ。


森保ジャパンは結成からコスタリカ、パナマ、ウルグアイと、中南米の実力国に3連勝したとはいえ、ウルグアイ戦で3失点を喫したことは修正しなければならない。


まずは、セットプレーの守備。ウルグアイ戦は、前半28分にフリーキックでクロスを折り返されて失点した。その場面に限らず、コーナーキックの守備でも劣勢だった。日本は大迫勇也をマンツーマン担当に回し、吉田麻也をストーンに置く守備を試していたが、これはほとんどうまくいかなかった。大迫は決して屈強な選手ではない。そもそもFWなので、マーキングにも慣れていない。後半は過去の例に習い、吉田をマンツーマン担当に戻していた。


何かを試したい気持ちは理解できる。森保ジャパンは2列目に中島翔哉、南野拓実、堂安律と小柄なアタッカーをそろえるため、セットプレーの高さが不足しがち。どうにか解決しようと、戦術的な最適解を探すのは当然の試みだろう。セットプレーの守備が、どのような改善を見るか。ベネズエラ戦とキルギス戦でも、注目ポイントの一つだ。


森保監督がサイドバックに求める要素


ウルグアイ戦の残りの2失点は、DF三浦弦太の個人的なミスが絡んでいた。一つは単純なバックパスのミスを犯した、後半12分の失点。もう一つは撤退時のディフェンスで、よりゴールに近づいた危険な選手を抑えることができなかった、後半30分の失点。この安い2失点を、今回の試合では無くしたい。


これらの守備修正がテーマに挙がる一方、新たな上積みとして期待したいポイントもある。それが『山中亮輔』だ。


森保ジャパンのサイドバックは、基本的に高い位置へ行かず、守備のバランスを意識したポジションを取っている。個人でガンガン仕掛ける2列目をシンプルにサポートし、深く押し込んだ場面以外で、オーバーラップを仕掛けることはない。長友佑都、酒井宏樹、佐々木翔、室屋成は、いずれも攻守のバランス、ハードワークに長けた選手。森保監督がサイドバックに求める要素が読み取れる。


だが、その点で言えば、山中は明らかな異端児だ。攻撃で持ち味を発揮するタイプ。サイドバックの新味登場である。守備に弱さはあるが、左利きならではのアーリークロス、強烈なミドルシュートなど、他の選手にはない特長を持っている。引いた相手を崩さなければならない、アジアカップでは起用をイメージしやすい。


怪我で招集辞退をした鈴木優磨にも言えることだが、この初招集の2人は、森保ジャパンの枠組みにハマっていないところが面白い。それは裏を返せば、固まりつつあるチームをかき回し、再びブレイクスルーさせる可能性を秘めている、ということ。だからこそ2つ目のキーワードに『山中』を挙げた。


3バックの導入は?


もちろん、いかに面白くても、守備に難があること自体は変わらない。森保ジャパンの枠組みに合わないのは確かである。では、どう起用するか?


そこで注目したいのが、『3バック』だ。


過去3戦では「日本代表で3バックをやるのか?」と期待させつつも、森保監督は導入を避けてきた。3バックのトライで選手の脳みそを握ることなく、素直に個人のプレーを発揮させてきた。そのマネージメントは中島、南野、堂安の新・三羽烏を出現させた要因の一つだろう。


だが、土台作りが終われば、いつかは試合を見据えた戦術として、3バックにも着手するはず。


森保監督は、コーチとして帯同したロシアワールドカップのベルギー戦で、2点リードした後半、植田直通を入れて3バックにする選択肢を西野朗監督に進言できなかったことを、後悔しているそうだ。『サッカーダイジェストNo.1422 10月25日号』に掲載された、岩本輝雄氏とのスペシャル対談で吐露していた。


3バックに変更すれば、植田、吉田、昌子源の3人を同時にそろえ、空中戦の対抗力は高まった。さらに、この布陣ならウイングハーフになった長友や酒井が、短いスライドで素早くクロッサーに寄せることも可能になる。たしかに、有効だったはずだ。


ベルギー戦と同様のシチュエーションが、アジアカップでも生じることは充分に考えられる。『対応力』を掲げる監督が、ロシアに後悔を残した監督が、このままのうのうとアジアカップに向かうはずがない。当然、準備をするだろう。


そして、この3バックは『山中』の出場も後押しできる。4バックのサイドに置くには、守備面で不安があった山中でも、3バックでサイドMFに移せば、守備の難が軽減される。逆に思い切って、攻撃の持ち味を出しやすい。


さらに冒頭に挙げた『守備修正』でも、3バック変更でセンターバックを1枚増やせば、セットプレーでも大迫に無理をさせる必要がなくなる。撤退しながらの守備局面でも、中央を固めやすい。相手を押し込む状況や、逆に押し込まれる状況で、3バックは有効な選択肢になる。


守備修正、山中亮輔、3バック。


これら3つのキーワードは絡み合って、チーム革新を起こす。と、思う。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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