W杯2次予選メンバー発表。久保、堂安を含む、ベストメンバーを組んだ指揮官の狙いは?

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第94回

W杯2次予選メンバー発表。久保、堂安を含む、ベストメンバーを組んだ指揮官の狙いは?

By 清水 英斗 ・ 2019.8.31

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見紛うことのない、ベストメンバー。9月の親善試合パラグアイ戦と、ワールドカップ2次予選ミャンマー戦に向け、森保一監督が発表した23人は、いかにもベストメンバーを組みました、という風合いである。オランダの強豪、PSVへの移籍が決まった堂安律、マジョルカへローン移籍した久保建英など、クラブが変わったばかりでレギュラー争いの渦中にいる選手は何人かいるが、そうした事情に構わず招集した。


その判断に疑問を呈するのは当然だろう。過去には清武弘嗣や吉田麻也など、代表活動で強いられた長距離移動の疲労により、クラブでは当落線上にいた選手がポジションを失うことが頻繁に起きていたのだから。今後、堂安や久保に同じ苦難が襲いかからないとも限らない。


ただ、これはワールドカップ2次予選の初戦だ。格下のミャンマーが相手とはいえ、他グループの結果によらず、1位で最終予選行きを決めるためには、引き分けも許されない。4年前の2次予選はシンガポールとのスコアレスドローで始まったことで、「日本は大丈夫か!?」と危機感が煽られた。そのことも今一度、思い出すべきだろう。初戦でつまずくと後々に響く。今回の見紛うことなきベストメンバー、私は妥当だと思う。


久保、堂安の招集は当然


川島永嗣の招集も目を引いた。コパ・アメリカでは2戦目から、本人も驚くスタメン出場を果たし、好プレーを見せている。難しさのある初戦で、経験のある川島を欲したことについても、万全を期そうとする森保監督の意志が現れているのではないか。


もちろん、移籍したばかりの選手にとってタイミングが悪いのは確かだ。しかし、クラブでの立ち位置云々は、言い出すときりがない。選手個々の状況は様々であり、シーズン中にも勝負どころのタイミングは何度かやって来る。それも配慮し始めると、きりがない。チームなんか作れない。堂安はすでに森保ジャパンの主力に組み込まれているし、久保も異質のアクセントを付けられる選手。戦力として欲するのは当然だ。


現状のベストメンバーで勝ち点3を先取し、余裕が出てきたら入れ替えを行う。それでいいと思う。この順番は変えないほうがいいし、変えるわけがない。



1トップに2人を招集した理由


そんなわけで、ガチガチのベストメンバーとなった森保ジャパン。細かいところで少し気になったのは、永井謙佑と鈴木武蔵の2人が、共に招集されたことだ。


室屋成が負傷を抱えていたことも関係しているかもしれない。長友佑都と酒井宏樹の控え選手を、両サイドでプレーできる安西幸輝1人に任せ、サイドバックを1人削った。その分、1トップ候補は大迫勇也に加えて永井と鈴木と、手厚く3人を用意している。ここは気になった。


6月のキリンチャレンジカップでは、最初に鈴木を招集するも、鈴木が負傷辞退したため、永井を追加招集した。その永井がエルサルバドル戦で、2ゴールの大活躍。この経緯を踏まえて、どちらを選ぶのかと思ったら、両方がメンバー入りを果たしたわけだ。


彼らは大迫とは異なるスピード派。戦術に幅を与えるのはもちろんだが、今後、絶対的センターフォワードの大迫を招集できない試合があれば、彼らが1トップのスタメン最有力になる。


穿った見方をするなら、すでにブレーメンからは強烈なお断りを食らっているが、粘り強さで鳴る森保監督は、これっぽっちも大迫の東京五輪招集を諦めていないような気がする。今後、どこかのタイミングで大迫を招集回避させ、怒り心頭でJFAに対しても不満だらけのブレーメンを交渉の席につかせたい。その下準備として、大迫に代わる1トップを手厚く探しているのだとしたら……考えすぎだろうか。


それはさておき、今回はほぼ「これしかない」というメンバーだと思う。今後、勝ち点状況に応じて、どのようなやり繰りを行うのか。この代表チームの政治力、調整力が明らかになるのは、もう少し先になりそうだ。(文・清水英斗)



写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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