11月に招集する日本代表に、古橋亨梧(神戸)を推薦する理由

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第98回

11月に招集する日本代表に、古橋亨梧(神戸)を推薦する理由

By 清水 英斗 ・ 2019.10.30

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おそらく11月に招集される森保ジャパンは、いつも通りの『フルメンバー定食』になるだろう。代表の状況を踏まえれば、本格的なチームの入れ替えは11月のキルギス戦を終えた後に行うのが妥当だ。


まずは12月のE-1選手権で国内組がアピールし、それを経て、来年3月からのワールドカップ2次予選、2回り目の対戦で新しい選手を抜てきする。そこで休ませるべき主力は休ませる。この手順は総合的に見て、最もバランスがいい。その詳しい理由は、前回のコラムで書いた通りだ。


しかし、この11月もフルメンバーが予想されるとはいえ、W杯予選はキルギス戦の1試合のみ。もう1試合は、ベネズエラとの親善試合だ。10月のケースを振り返ると、モンゴル戦とタジキスタン戦で、伊東純也と堂安律に1試合ずつ割り振るなど、あらかじめ2試合を想定した中でのメンバーのやり繰りがあったが、次はキルギス戦の1試合しかない。少なくとも控え選手を、新戦力に1~3人ほど入れ替えて、ベネズエラ戦でテストを行う余裕はあるのではないか。


スピードのあるアタッカー古橋


そこで推したいのが、神戸の古橋亨梧だ。爆発的なスピードを誇り、ビジャやイニエスタとのプレーで磨かれた飛び出しは一級品。今季は9ゴール7アシストを記録し、すでに神戸に欠かせない選手になった。


10月に永井謙佑と浅野拓磨の両方を招集したように、森保監督はスピード派のアタッカーを好む傾向がある。アウェーで行われたタジキスタン戦では、後半に2-0で逃げ切りを図る展開になったとき、後半19分に中島翔哉に代え、浅野を左サイドハーフに投入し、裏へ飛び出す攻撃を繰り返した。


自由な中島よりも守備ブロックが安定し、カウンターも仕掛けやすいので、浅野の投入は理解できる。しかし、浅野を左サイドに置くと、ドリブルやワンツーで細かいスペースへ仕掛ける状況になったとき、プレーの質が物足りず、攻撃がワンパターンになるデメリットも見られた。


その点、元々が左ウイングの古橋ならば、スピードや飛び出しだけでなく、ドリブルやワンツーといった細かい仕掛けも長けている。彼は万能型だ。守備の献身性も高く、ポジションも左サイド、右サイド、最前線など多くのポジションを経験してきた。


基本的にドリブラーやスピードアタッカーは、一芸タイプが多いため、古橋のような万能型は、いそうでいない。古橋を表現するなら、足元で仕掛けられる浅野であり、守備のハードワークに長けた中島であり、スピードに長けた南野拓実や堂安律でもある。要するに、いそうでいない。


古橋が欧州でプレーするのも時間の問題


いちばん近いタイプで言えば、原口元気になるだろう。おそらくプレッシングやマーキングなど守備戦術については、原口のほうが上手だが、古橋は瞬発的な加速や、ドリブルの回転、思い切りの良いフィニッシュといった面で、原口以上の魅力がある。より攻撃面の期待感が大きい。


また、チャンピオンズリーグに出場するなど伸び盛りの伊東純也とは異なり、最近の原口は停滞気味だ。ブンデスリーガ2部のハノーファーでは途中出場が多く、昨季に移籍後、まだ1点も挙げていない。森保ジャパンでの出場機会もじわじわと減ってきた。ここで一度、古橋を抜てきし、代表での存在感が薄まりつつある原口をクラブに集中させる考え方もあるのではないか。


今夏、古橋はオランダのフローニンゲンとAZからの正式オファーを断り、神戸でプレーしてきた。古橋が欧州クラブでプレーするのは、もはや時間の問題であり、その点でも今後の伸びしろは大きい。いち早く、日本代表にもフィットさせたほうがいいのではないか。古橋がイニエスタによって輝きを増しているのは確かだが、日本代表にも柴崎岳や堂安など、優れたパッサーはいる。その連係を見てみたい。


森保監督はどう考えるだろうか。11月の基本線はフルメンバーとしても、前述したように2次予選は1試合だけ。メンバーに余裕が無いわけではない。小さなサプライズを期待している。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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