五輪延期によりシビアになった、森保監督の進退。二次予選で求められる、内容と結果の両立

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第108回

五輪延期によりシビアになった、森保監督の進退。二次予選で求められる、内容と結果の両立

By 清水 英斗 ・ 2020.3.30

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東京五輪の延期が決定した。しかし、時期はまだ流動的で、2021年に行われる『東京五輪2020』は、そのまま夏にスライドされるのか、あるいは春や秋に変更されるのか、現時点ではわからない。アメリカの放送局が嫌う秋は無さそうだが、春はあるかもしれない。

(※この原稿執筆後、2021年7月23日開幕に決定)


もしも春や秋になったら、男子サッカーは壊滅的だ。オフシーズンの夏でさえ、欧州クラブは選手の派遣を渋りまくるのに、シーズン中となれば激渋である。いったい何人の選手を集められるのか。特に日本の五輪世代は、この1~2年で多くの選手が欧州クラブへ移籍した。春や秋の開催なら壊滅的打撃を受ける。


もっとも、そうした競技固有のアレヤコレヤが、他競技を含む五輪に過度な影響を与えるべきではないし、春や秋の開催になってもやむを得ない。ただ、男子サッカーにとって大きな問題であるのは確かだ。


もう一つは年齢のカテゴリも、U-23がそのままU-24と捉えられるのか、現時点ではわからない。ただし、IOCは2020年五輪に内定済みのアスリートは、自動的に2021年の出場資格を得られると方針を打ち出した。その考えを踏襲するなら、準備していた選手が資格を喪失することなく、U-24+オーバーエイジ3名で編成されるのが妥当だろう。


そうなれば、23歳以下で出場するはずだった大会に、24歳でも出られる。遅咲きの選手、あるいはこれから伸び盛りを迎える21歳くらいの選手にとっては朗報かもしれない。


森保監督の兼任が解かれる?


一方、監督は森保一の兼務が解かれ、横内昭展の専任になるのではないか。延期でスケジュールがずれ、東京五輪のチーム強化と、A代表の最終予選がバッティングする可能性が高まったからだ。


シミュレーションしてみよう。延期された今年3月と6月のワールドカップ二次予選、4試合分をどこで消化するか。現在は未定だが、仮に今年9月と10月に消化したとする。その場合、最終予選は早々と11月からスタートになる。あるいは9月を空け、10月と11月に二次予選を消化した場合は、2021年3月から最終予選スタートだ。


抽選にかかる時間と、各チームの準備期間、更に新型コロナ拡大のリスク管理を考えれば、2021年3月の最終予選スタートが取り敢えずは現実的だろう。「取り敢えず」と言うしかない。状況は日々変わるのだから。


その場合、最終予選のホーム&アウェー10試合は、2021年3月、6月、9月、10月、11月の5期分で消化することになる。前回予選は、前半戦の5試合と後半戦の5試合にそれぞれ親善試合を1試合付け、6期分で開催したが、今回はその余裕はないだろう。


その後、ワールドカップ本大会の抽選は2022年4月なので、大陸間プレーオフは2022年3月に行うしかない。そして抽選が済んだ後は、2022年6月に4試合、9月に2試合のフレンドリーマッチを行い、2022年11月の本大会へ臨む。


ただ、そうなると4次予選(最終予選プレーオフ)を行う日がないので、そこは3位同士の勝ち点差で決めるように規定を変更するか。あるいは二次予選を今年9月、10月に消化し、11月から早々と最終予選をスタートできれば、ギリギリ日程に収まる。


逆に上記のどちらも困難なほど、新型コロナウィルスの拡大が深刻になれば、直前の6試合分のフレンドリーマッチを潰し、本大会ぎりぎりまで予選をずれ込ませることも、どうにか可能だ。最近の世界の様子を見ると、この可能性も高い。カタールワールドカップは冬開催なので、日程に半年の余分があるのは幸運だった。


森保監督はA代表に専念すべき


トータルで言えば、どうにか日程の帳尻は合いそう。ところが、五輪とA代表でスケジュールの噛み合わせが悪くなったことだけは、どうしようもない。


最終予選が今年11月か、あるいは2021年3月にスタートすれば、五輪のチーム強化とは確実に重なる。監督はもちろん、選手の招集もバッティングする。たとえば久保建英や堂安律は、最終予選に呼ぶのか、それとも仕上げの調整に臨む五輪代表に呼ぶのか。二次予選のプライオリティとは訳が違う。普通に考えれば、最終予選優先だが。


いずれにせよ、二兎は追えない状況。スケジュールの噛み合わせが悪くなれば兼任は不可能だ。この状況なら、A代表専念一択だろう。


もっとも兼任解除ではなく、森保監督を解任しろと、ファンの期待はそっちかもしれない。実際、その可能性も少し高まったと思う。まず兼任を解除すれば、解任に際して2チーム分の事情を考える必要がない。


二次予選にかかるプレッシャー


また、延期によって二次予選と最終予選の切れ間がJリーグのオフシーズンに近くなる可能性が高く、残りの二次予選次第で新監督を迎えやすいタイミングだ。


さらに技術委員長は関塚隆氏から反町康治氏に変わり、関塚氏は任命責任を負わされるがごとく、かつて技術委員長を務め、ハリルホジッチらの招聘を担った霜田正浩氏と同じ、ナショナルチームダイレクターに就任した。解任のシナリオを描くように、じわじわと外堀が埋められている。ジャパンズウェイ、怖い。


元々、東京五輪の結果次第で、最終予選を前に森保監督の進退が決まる可能性は高かった。しかし、その解任マッチの五輪が延期された以上、残る二次予選にプレッシャーが増すのは必須。単なる予選突破ではなく、納得のいく試合内容を見せなければ、最終予選前の監督交代もあり得ると思う。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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