楽観ムード、谷間の試合、相手の特徴。嫌な材料が揃う、ニュージーランドの攻略法

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第139回

楽観ムード、谷間の試合、相手の特徴。嫌な材料が揃う、ニュージーランドの攻略法

By 清水 英斗 ・ 2021.7.30

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準々決勝の相手はニュージーランドに決まった。正直、嫌な予感しかしない。


日本はメキシコやフランスに連勝し、準決勝と決勝はスペインやブラジルとの対戦が予想される。そんな中、この準々決勝ニュージーランド戦は、強豪対戦の谷間だ。どうしたって侮られがちな相手ではあるし、日本はフランスに4-0と理想的なゲームで大勝した後だけに、フッと気が緩みそうで怖い。


2019年アジアカップも、準決勝でアジア最強と目されたイランに3-0で完勝した後、決勝のカタール戦にフワッと入って惨敗した。このタイミングで、この相手は怖い。


しかも、ニュージーランドは盾型チームだ。[5-4-1]でガチガチに守り、徹底してゴール前を固めてくる。


グループステージのホンジュラス戦こそ、前半早々にキャプテンの2番、オーバーエイジのセンターバックであるウィンストン・リードが膝の負傷で交代し、大混乱に陥って3失点を喫したが、韓国戦とルーマニア戦は無失点で切り抜けた。


守備は非常に堅く、ゴール前のシュートブロックにはなりふり構わず身体を投げ出す。厄介な相手だ。


4バックか、5バックか


思い返せば、日本がグループステージで一番苦戦したのは、5バックを敷かれた南アフリカ戦だった。ガチガチに固められた相手のゴールを、どうやってこじ開けるか。日本にスーパーゴールが出なければ、ニュージーランド戦は延長やPK戦も充分にあり得る。


ただし、ニュージーランドはウィンストン・リードの状態が悪く、ホンジュラス戦では負傷退場したリードに代わって、14番のジョージ・スタンガーがセンターバックの中央に入った。


彼とGKマイケル・ウートの間で連係ミスが多発し、失点を重ねる原因になった。リードを欠く中、次のルーマニア戦では4バックに変えて無失点で切り抜けたが、日本戦でもリードが欠場なら、4バックで挑んでくる可能性はある。


日本にとっては5バックで待ち構えられるより、スペースへ向かって攻撃のスピードを上げやすく、多少与し易くなるだろう。


攻撃はロングボールに警戒


ニュージーランドの攻撃面では、やはりロングボールが脅威だ。191cmの長身1トップ、バーンリー所属のクリス・ウッドを目がけて蹴り込み、頭で周りに落とす。このパターンで起点を作る精度が、異常に高い。


日本はせっかく押し込んでも、ハイプレスをかけても、ロングボール一発で回避されてしまい、自陣に押し下げられて体力を消耗する展開になることは充分に予想できる。


ニュージーランドは日本陣内まで攻め込めば、2列目の選手も仕掛けてくるし、クロスやセットプレーは脅威の一言だ。


吉田麻也らDF陣にとっては消耗が激しい試合になりそう。高くて重いフィジカルモンスターのウッドとの競り合いで、ハイジャンプや接触を繰り返せば、身体的には相当な疲労が溜まる。冨安健洋が万全でないなら、板倉滉が先発するべきかもしれない。


おそらく板倉や吉田であっても、ウッドに空中戦で競り勝つのは相当難しい。そうなると『セカンドボール』がキーワードになってくる。


中盤をどう組むか。場合によっては板倉をボランチに置き、ウッドとの競り合いを板倉に任せ、センターバックのところに穴を作らないのも、一つの考え方だ。その方がサイドバックも積極的なポジションを取りやすくなる。この辺り、森保監督はどう考えるだろうか。


1トップは上田?


前線の組み方も気になるところだ。


1トップは林大地か、上田綺世か。林の方が久保建英、堂安律とのコンビネーションは輝きやすいが、対ニュージーランドではどうか。


特に相手が5バックなら、中央の攻撃は行き詰まりがち。南アフリカ戦のように久保を外に出して、仕掛けさせる展開になるかもしれない。


そうなると、中央はポスト役の林より、裏抜けタイプの上田のほうが面白い。押し込み切る前に、上田が中央のセンターバックの裏を突き、一発で飛び出す。ニュージーランドは人への意識が強いので、左右センターバックを堂安らが引きつければ、ビッグチャンスは作れそうだ。


フランス戦では後半、中山雄太の絶妙なボールに上田が飛び出し、三好康児のゴールのきっかけを作った。深く押し込むとニュージーランドはガチガチに固くなるので、押し込み切る前に、アーリー気味に狙うのは有効だ。となると、1トップは上田か。


仮に後半や延長戦まで長引くと、ニュージーランドは割り切って下がる傾向が強くなるはず。その状況で上田を途中出場させても、裏抜けの効果は得られない。上田を使うなら先発だろう。


嫌な予感が漂う


楽観ムード、谷間の試合、相手の特徴。嫌な予感をさせる材料がやたらと揃っているニュージーランド戦だけに、前半のうちに点を決めて楽になりたい。


それができるとしたら、上田のアーリー飛び出しか、久保のスーパーゴールか、あるいは堂安や田中碧辺りのミドルシュートが飛び出すか。PKゲットも意識したい。


チームとしては焦れないことが大事だが、見る側としては、とにかく早く安心したい。試合はそうなってくれるのだろうか。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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