負傷者の多さに悩まされる森保ジャパン。主力不在の穴をどう埋める?

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第154回

負傷者の多さに悩まされる森保ジャパン。主力不在の穴をどう埋める?

By 清水 英斗 ・ 2022.1.26

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カタールワールドカップ・アジア最終予選も、あと4試合だ。「ついに」「いよいよ」という感じはない。今回はコロナ禍の影響で、予選日程をギュッと半年に縮めて行われているので、「もう」あと4試合か、と感じる。早いものだ。


JFA(日本サッカー協会)は1月27日の中国戦、2月1日のサウジアラビア戦に向けてメンバーを発表した。


リストを見て驚いたのは、鎌田大地の名前が無いことだ。代わりに久保建英が入っている。


昨年10月のオーストラリア戦でシステムを[4-3-3]に変更して以来、ポジションが消えたトップ下の鎌田は、直近3試合で出番無しだった。鎌田の存在感が薄れる中、怪我から復帰した久保がクラブで好調のため、2人を入れ替えた……のもありそうだが、おそらく理由はそれだけではない。


今、日本代表は負傷者の多さに悩まされている。


吉田麻也と冨安健洋の大看板2人に加え、古橋亨梧や三笘薫、室屋成も、怪我のため招集出来ない。彼らの穴をどう埋めるかが、喫緊の課題だ。


センターバックの陣容を厚く


室屋の右サイドバックは問題ないだろう。復帰した酒井宏樹と、11月の2試合を堂々とプレーした山根視来で計算が立つ。また、1トップの控えである古橋の代わりには、似たスピード派の前田大然を充てた。ここまではOKとしても……。


今回、最も頭を悩ませるのは、吉田と冨安の不在だ。CB(センターバック)候補には板倉滉、谷口彰悟、植田直通、中谷進之介の4人が名を連ねた。23人のメンバーなので、彼ら4人はそのままベンチ入りすることが予想される。


昨年11月のベトナム戦とオマーン戦は、ベンチ入りしたCBが3人(控え1人)で、その分は攻撃陣を1枚増やした。しかし、今回は主力CBが不在、さらに2戦目の相手が攻撃的なサウジアラビアということもあり、CBの陣容を厚くしたと思われる。


その影響で11月よりも攻撃陣が1枚減るため、今のバランスのまま、古橋の代役に前田を確保するなら、三笘の代役は呼べない。


久保の復帰


とはいえ、同点やビハインドなど相手ゴールをこじ開けたい状況で、三笘のような破壊的アタッカーをどれほど重宝するかは、11月のオマーン戦で思い知ったところだ。どうにか「組織の破壊者」は確保したい。特に相手の守備固めが予想される、中国戦では大事だ。


そこで、鎌田→久保なのだろう。


ベースは[4-3-3]で考えつつも、システム変更の際にトップ下に入る選手を確保しつつ、さらに三笘のように相手が組織を固めた状態で、それをぶち壊し、混乱に陥らせる選手がほしい。


つまり、久保だ。直近では東京五輪の南アフリカ戦で相手ゴールをこじ開け、1-0とする決勝点を挙げたことが、森保監督の脳裏には強く刻み込まれているはず。


久保の好調は大きな要因だが、おそらくシンプルな久保>鎌田の不等式ではなく、三笘欠場を含めた全体のバランスの中で、この23人に行き着いたのだろう。


ただ、こう思う人もいるはずだ。


そんな面倒臭いことしなくても、クラブで調子が上がらない「あの選手を外せば?」「代わりにあの選手を呼べば?」と。


ところが特に今回、森保監督の招集メンバーは、「極力変えない」が前提のようだ。負傷者が多くて苦しい状況だが、あまり変更ポイントを増やしたくない。


ビハインド、逃げ切り、ハイプレス、ロングカウンターなど、状況別に使い分ける選手のバランスを、既存のままキープしたい。負傷者に関しても、最低限の入れ替えで穴を埋めたい。奥川雅也のような新しい選手も呼ばない。


正直に言えば退屈だが、今はそれが最善なのだろう。日本代表はオーストラリア戦以来、3連勝中だ。負傷以外でチームを変える必然性がない。


新しい選手や戦術を取り入れようにも、全体練習は1戦目の前に1日だけ、2戦目に向けても2~3日しかない。さらに最終予選は選手が口々に「別物」と語るプレッシャーがある。このタイミングでチームを大きく変える招集に踏み切るほうがおかしい。


2連勝で2位をキープしたい


今回はギュッと期間が縮まった最終予選だ。半年強で10試合を戦うため、活動の周期が短く、同じメンバーで積み上げる効果を見込みやすい。チームを変えないのも当然か。血の入れ替えは、最終予選を突破した後、期待している。


最終予選の最中でも、27人くらい招集できれば新戦力を慣らすことは可能だが、今はコロナ禍がそれを許さない。また、「呼んだなら使え」のプレッシャーも強いので、最終予選の最中は特に難しい。試せない、慣らせない。じゃあ、呼ばない、変えない、と帰結するのもやむ無しか。


まずは予選突破だ。


今は窮地を脱して2位につける日本だが、油断は出来ない。今回の2試合で勝ち点を落とせば、オーストラリアに再び逆転される恐れがある。そうなると、3月に行われるオーストラリアとの直接対決は勝ち点3が不可欠だ。


オーストラリアは最終戦にサウジアラビアとの対決を残しているが、サウジアラビアにとっては消化試合になる可能性が高く、日本にとってはきつい。


まるで4年前の最終予選の立場をひっくり返したかのように、当時のオーストラリアの立場に日本が追い込まれる可能性がある。変なフラグ、立ててしまったか。


それを防ぐには、今回ホームで中国とサウジアラビアにきっちり2勝し、2位をキープすることだ。ホームらしい、アグレッシブな試合を期待。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『日本サッカーを強くする観戦力』、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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