原口元気はハリルホジッチが考える“選手の序列”に、割って入ることができるか?

COLUMN清水英斗の「世界基準のジャパン目線」第26回

原口元気はハリルホジッチが考える“選手の序列”に、割って入ることができるか?

By 清水 英斗 ・ 2016.9.30

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9月のタイ戦、原口元気は左ウイングで先発すると先制ゴールを記録。大きなインパクトを残した。ヘルタ・ベルリンでも主力として試合に出続けており、原口に期待する声は一気に高まった。


しかし、過去の傾向を踏まえると、原口が10月6日のイラク戦に、スタメン出場する可能性は低い。


世界の多くの監督がそうであるように、ハリルホジッチも、ホームとアウェーでは明確に起用法を変えている。どんな相手、どんな環境にも同じメンバーを並べて勝てるのは、バルセロナくらいだ。普通のチームは、そんなことをやらない。


原口の出場記録を見ると、2次予選は全8試合に出場した。その内訳を見ると、ホームではスタメンが1試合、途中出場が3試合。そのほとんどがボランチ起用だ。ただし、通常のボランチとは違う。ディープ・アタッカーという表現が、個人的にはしっくりくる。


全般的にホームでの原口は、ジョーカーとして起用されている。ちなみにスタメンの1試合は、2次予選突破がほぼ確実になった今年3月のアフガニスタン戦(5-0勝利)。原口は4-4-2のダイヤモンド型の右サイドハーフに入り、テストの意味合いが強い試合だった。


一方、アウェーではスタメンが3試合、途中出場が1試合となっている。ポジションはウイングだ。左ウイングが多いが、右にも入った。逆に、ディープ・アタッカーでの起用はない。


こうやって振り返ると、原口はホームとアウェーにより、起用の序列も、ポジションも、明確に異なることがわかる。


ホームの場合、日本のきれいな芝でプレーすることができる。パスをグラウンダーでつなぎやすい。日常生活にも不便はなく、スタジアムに行くと、親しみのあるいつもの声援に包まれる。このようなホームでは、清武弘嗣、宇佐美貴史、大島僚太など、攻撃的な選手を起用しやすいので、原口はあえてジョーカーに置く。


ところが、アウェーは粘度の高い地面や芝、凸凹など、ピッチ面での障害がある。さらにスタジアムは、その地域ならではの雰囲気をまとう。アウェーでは相手が攻勢に出やすく、日本らしい戦い方が出来ない可能性が高いので、球際でハードワークできる原口をサイドで起用する。


チームの中核を担うのが、本田、香川、長谷部、吉田


最終予選でも、この傾向は変わらなかった。9月に行われたホームのUAE戦、原口は途中出場で、後半30分からディープ・アタッカーに入った。続くアウェーのタイ戦では、左ウイングで先発出場。やはり、ホームとアウェーでは明確に違う。


このような傾向は、山口蛍にも言えた。2次予選はアウェーで3試合にフル出場する一方で、ホームでは1試合にフル出場、もう1試合は途中でベンチに下がった。最終予選も、ホームのUAE戦は出番がなく、アウェーのタイ戦でフル出場。やはり、起用の傾向は明らかだ。


となれば、ホームでのイラク戦、アウェーでのオーストラリア戦で、ハリルホジッチがどんなメンバーのやり繰りを考えるのか。ある程度は想像がつく。


ハリルジャパンのチーム構成は、中核と彩りに分けられる。


吉田麻也、長谷部誠、香川真司、本田圭佑は、チームの中核だ。彼らは対戦相手が誰でも、ホームでもアウェーでも、関係なく起用されてきた。国際経験があり、多少の波はあったとしても、プレーの次元そのものが、他の選手より一段上と考えられている。


一方、原口や山口、清武や宇佐美らは、チームの彩りだ。対戦相手や状況によって起用法を変え、彼らの長所がチームの戦術に彩りを加えている。


今までの傾向を踏襲するなら、イラク戦の原口はジョーカーとしてベンチスタート。そして、続くアウェーのオーストラリア戦では、ウイングとして先発出場するのが妥当な予想だろう。


逆に、そのセオリーが崩れて、原口がホームのイラク戦でスタメンを飾ることになれば、それはチームの序列に変化が起きた、とも考えられる。原口が中核メンバーへ近づく、大きなサプライズだ。


記者会見でハリルホジッチは、試合にほとんど出ていない宇佐美を「ジョーカー」と表現した。ゲーム体力がなくても、15分くらいなら違いを見せられる、と。この発言も気になる。宇佐美をジョーカーに指名するなら、原口をベンチに置く意味が薄まるからだ。


イラク戦のスタメンが楽しみである。アウェー要員の“あの選手”が、どんっとスタメンに名を連ねれば、それはチームに何らかの変化が起きたことになる。(文・清水英斗)


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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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