オーストラリア戦でも痛恨のPK献上。日本代表を襲う『PKもったいない問題』

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第28回

オーストラリア戦でも痛恨のPK献上。日本代表を襲う『PKもったいない問題』

By 清水 英斗 ・ 2016.10.12

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そろそろ日本代表に、もったいないオバケが出そうな気がしてならない。


UAE戦で香川真司と大島僚太が不用意に足を出し、引っかけてしまったPKといい、今回のオーストラリア戦で原口元気が後ろから押し倒したPKといい、ただちに失点を喫する状況ではないだけに、もったいない。


後半6分、ゴール右の角度のない場所へ、左利きのFWユリッチがボールを持ち出した。体重は外へ流れているので、強いシュートが飛んでくる可能性は低い。仮にそれが利き足で、強いシュートが飛んで来るとしても、日本のDFは何人もいるし、GK西川周作も立っている。ブロックしたり、セーブしたり、防ぐ機会はたくさんあった。


原口は正当なショルダーチャージであることを主張したが、『不用意に、無謀に、過剰な力で犯したとき』というルール上のファウルの文言に照らし合わせるなら、後ろからチャージした状況は、たとえ肩の接触であっても、PKが吹かれることはやむを得ない。


原口に関しては、6月のブルガリア戦で、相手のフリーキックから縦パスが出たところにタックルし、与えてしまったPKの教訓が生きていなかった。少し前の話で言えば、ブラジルワールドカップのコロンビア戦で、外へ逃げて行くアドリアン・ラモスを今野泰幸が引っかけて与えたPKも同じ。いずれの機会も、ゴールへの角度がない場所であり、リスクを負ったタックルに行くべき場面ではなかった。


サウジアラビア戦は勝利が絶対条件


日本は学ばなければならない。なぜ、この計算通りの試合運びで、勝ち点3を逃したのかを。このような勝ち点の逃し方は、ポゼッションだろうが、カウンターだろうが、どんなチーム戦術を選んでも、起こり得るものだ。


「攻撃の選手だから」「持ち味が違うから」とシャッターを下ろしてしまえば、それまでだ。しかし、私は原口のストイックな成長意欲を信じる。


これまで二次予選と最終予選の全試合に出場したが、ホームではボランチの途中出場が多く、不遇のときもあった。しかし、彼は腐らずに前を向き、むしろ好奇心と共に新しいポジションに取り組んだ。加えて、ボランチに慣れてからも、本来のポジションに戻る野心を失っていない。この1~2年で、誰よりも大きな成長を果たしたのが原口であることは全会一致の見方だろう。


もちろん、原口だけでなく、この『PKもったいない問題』は、全員で共有するべきだ。次戦にホームで戦うサウジアラビアも、ペナルティーエリアで意外性を伴う切り返しや、ドリブルを仕掛けてくる。これまでの数試合で、いくつかの対戦相手は不用意に引っかけ、PKを与えていた。日本も注意しなければならない。


オーストラリア戦の引き分けを“及第点”と出来るか否かは、次のサウジアラビア戦にかかっている。勝てば、1位あるいは2位と勝ち点10で並ぶが、負けると、下手をすれば4位以下に転落する。


これまでとは異なり、試合をする状況はいい。サウジアラビア戦の前に親善試合のオマーン戦があり、今回はコンディションを整える時間がある。しかも、サウジアラビアはホームでめっぽう強いが、アウェーでは、人が変わったように弱い。ここは絶対に叩くべき。


ホームでサウジアラビアに負けたら、ハリルホジッチ解任は現実的だ。最終予選の折り返し地点としても、次戦に注目したい。(文・清水英斗)

写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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