ハリルジャパンはブンデスリーガに倣い、3バックを導入すべき!?

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第29回

ハリルジャパンはブンデスリーガに倣い、3バックを導入すべき!?

By 清水 英斗 ・ 2016.11.9

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このところ、ブンデスリーガで3バックを頻繁に目にする。


ホッフェンハイム、シャルケ、フランクフルト、ボルシアMGのほか、ケルンも第9節ハンブルガー戦で3バックにトライした。ドルトムントも以前から対戦相手に応じて4バックと3バックを使い分けている。


なぜ、3バックなのだろうか? 


シャルケのように選手の負傷がきっかけで、現有戦力に向くシステムを模索したケースもあるが、もう一つの側面は、対戦相手とのかみ合わせだろう。


ブンデスリーガには4-4-2や4-1-4-1で守備ブロックを作って相手にボールを持たせ、カウンターをねらうチームが多い。下位クラブでも、そのハードワークと縦の速さは侮れず、しばしば対戦相手を困らせる。


そのため中位より上のクラブは、彼らのカウンターを防ぎつつ、いかにポゼッションからゴールを陥れるか。遅攻の完成度が、勝ち点の積み上げに大きく関わる。


そこで3バックだ。2枚のセンターバックではなく、3枚で最後尾を形成する。ビルドアップ時にカウンターの備えを作ることができ、さらに相手2トップにハイプレスをかけられた際にも、両幅を使って3枚でボールを動かしやすい。攻守のバランスを見出し、試合を安定的にコントロールできる利点がある。


そうやって後ろの支えを得て、両ウイングハーフを高い位置へ上げると、両サイドの幅を使った攻撃が可能になる。引いた相手の4バックを崩すには、ワイドに振り回す選択肢が必須だ。その上で、中央にも1トップ2シャドー、2トップ+トップ下と厚みを作れるのが3バックの特長でもある。


上記のねらいが奏功し、先制に成功すれば、逃げ切りを図る時間帯には、そのまま両ウイングハーフを下げて3バックから5バックに移行し、相手にボールを持たせるなど、戦術を柔軟に使い分けられる。攻めること、守ること。3バックはメリハリの効いた試合運びをしやすい。ホッフェンハイム、シャルケ、フランクフルトなどは、これらの利点をうまく生かしてサッカーを展開している。


近年のドイツは、若くて有能な指導者が、選手経験を問われることなく、トップクラブの監督として活躍中だ。そうやって名を挙げた監督が、ブンデスリーガの戦術レベルを引き上げている。


引いて守るサウジアラビアに、3バックがハマる可能性


この3バックの仕組みを、ハリルジャパンが生かせないものか。


アジアのチームも、4-4-2や4-1-4-1で守備ブロックを下げるチームが多い。日本代表にとっては、いかにカウンターを防ぎつつ、ワイドポジションを生かして崩すか。それがポイントだ。そして、今のところはうまく行っていない。


ハリルジャパンはアウェーに強い。守備のハードワークから、縦の速さを生かしたカウンターの特長が出る。ところがホームでは、相手の守備意識が強いため、同じようにはいかない。ボールを持ち、ポゼッションから崩さなければいけない。


大一番となる11月15日のサウジアラビア戦も、おそらく相手が引く時間は長くなるのではないか。先月に対戦したイラクは、結果が出ていない状況もあり、また、チームスタイルもフィジカルを生かしたハードワークが特長だったため、アグレッシブにプレスをかけてきた。


しかし、首位サウジアラビアの場合は、無理に高い位置からプレスをかけて来ず、引くと予想する。日本のポゼッション時間がより長くなるとすれば、遅攻からいかに崩すか。ハリルジャパンは、この課題をクリアしなければならない。


そのために、親善試合のオマーン戦をどう活用するか。


大迫勇也、久保裕也、井手口陽介など、有望な新戦力をフィットさせる場として活用するのは間違いないが、それ以外にも戦術のテストと考えられる。3バックはアイデアの一つだが、ハリルホジッチは何か準備をするのだろうか。


ホームに弱いハリルジャパン。その汚名を返上する兆しを、オマーン戦で感じたいものだ。(文・清水英斗)



写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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