2017年のハリルジャパンを占う。最初の勝負所は3月の2連戦

COLUMN清水英斗の世界基準のジャパン目線 第33回

2017年のハリルジャパンを占う。最初の勝負所は3月の2連戦

By 清水 英斗 ・ 2017.1.13

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2017年のハリルジャパンの目標は、もちろんロシアW杯最終予選を突破すること。


2016年11月のW杯アジア最終予選から4カ月も空き、最後に戦ったサウジアラビアにも勝っているので、何となく緊張感はなくなっているが、改めて順位テーブルを見ると、サウジアラビア(勝点10)、日本(同10)、オーストラリア(同9)、UAE(同9)が団子状態であることを思い出す。厳しい状況は何も変わっていない。そろそろ正月ボケから復活しよう。


気になるのは9月5日に行われる最終節、アウェーのサウジアラビア戦。できれば、この試合を迎える前にW杯の出場権を獲りたいところだ。


サウジアラビアの大観衆は、闘争心を持って自国を応援する。タイのようなフレンドリーな雰囲気を作らないだろう(個人的には好きだったが)。気候的にもかなり暑い時期。しかも日本は直前の8月31日にホームでオーストラリアと戦うため、欧州クラブに所属する選手は欧州から日本へ、日本から中東へと長距離移動を強いられる。この試合は本当にイヤ。最終節に持ち込まれると、世界有数の厳しいアウェーが待っている。


この試合を避けたいなら簡単だ。日本がUAE、タイ、イラク、オーストラリアと4連勝を果たせば、確実にサウジアラビア以外のチームに勝ち点4以上の差がつくため、最終節を待たずに突破を決めることができる。


うまく行くかはわからない。だが、まずは3月の2連勝だ。特に、23日に行われるアウェーのUAE戦は雪辱したい。2015年アジアカップと、昨年9月に喫したホーム敗戦の借りがある。近年の日本代表としては因縁の相手だ。


対戦相手によって戦略を変えるのが、ハリルジャパンの特徴


ハリルホジッチはどんな戦略を立てるだろうか。


この監督がホームとアウェー、あるいは対戦相手によって、戦い方を大きく変えるタイプであることは充分に認識された。昨年11月のサウジアラビア戦でみせたアグレッシブなプレッシングは相手に脅威を与え、なおかつ魅力的でもあったが、次も同じように戦うことはないだろう。あの試合はホームで、親善試合のオマーン戦という準備もあり、コンディションは万全。11月の走りやすい気候も奏功した。


しかし、次のUAE戦はアウェー。日程も詰まっている。週末のリーグ戦から中3日、4日で戦わなければならない。オーストラリア戦のように、相手にボールを持たせてカウンターで隙を突く戦略もあり得る。


そのようなカメレオン戦略を支えるのが、シンプルなシステムだ。当連載の中で、私は3バックを導入するべきと意見を書いたことがあるが、ハリルホジッチはそういう型を、複雑に使い分けるタイプではなかった。


ハリルホジッチが使うシステムは4-3-3。中盤を三角形にするか、逆三角形にするか、それだけだ。後半に4-4-2を使うこともあるが、いずれもシンプルな変化のみ。3バックなど全体を大きくいじることはない。


だが、それが競争を起こすためのポイントだ。チームの型、ベース戦術が複雑になると、新しい選手がフィットするのに苦労し、どんどん既存の選手を代えづらくなる。


ハリルホジッチの場合、型はシンプルで、そこにどんな個性の選手を入れて運用するかで、チーム戦術に幅を出す。また、すでに述べたように、試合ごとに戦い方が変わるので、レギュラーで出続けることの優位性も普通のチームよりは少ない。つまり、競争を促しやすいということだ。


当連載で提案した当時は長友佑都もケガから復帰の目処が立たず、サイドバック不足に陥っていたので、あの状況で3バックが適することは今も疑っていない。しかし、それをハリルジャパンに求めたのは、我ながら頓珍漢な提言だった。それをしないから、ハリルジャパンなのだ。


そんなわけで、2017年も結果と共に、個性の競争に注目していきたい。(文・清水英斗)


写真提供:getty images

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清水 英斗

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』、『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』、『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

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