FIFAワールドカップのメンバー発表目前。誰を外すべきかではなく、誰を選ぶべきか。それが問題だ

COLUMN川端暁彦のプレスバック第59回

FIFAワールドカップのメンバー発表目前。誰を外すべきかではなく、誰を選ぶべきか。それが問題だ

By 川端 暁彦 ・ 2022.10.30

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誰を外すべきかではなく、誰を選ぶべきか。それが問題だ。


11月1日、FIFA ワールドカップ 2022に向けた、日本代表メンバーの発表が行われる。今大会から26名に「増員」されたことで予想はイージーになった……などということは全くなく、むしろ難しくなったと言えるだろう。


従来の23枠予想は言ってみればシンプルだった。GKが3枠で、他は各ポジションが正副2枠ずつの20人で、合計23名。これを基本線にしつつ、守備のユーティリティープレーヤーをバックアッパーにした上で、交代で流れを変える前線の選手を増やすかどうかという判断が出るくらいだったからだ。


今回は違う。23名までは確定しやすいが、「+3名」の考え方は色々ある。一つはオーソドックスに、各ポジションの控え選手を厚くすること。FWに1枚、MFに1枚、DFに1枚といった具合である。ただ、今大会に関してこの選択肢は微妙かもしれない。


なぜなら、今大会は登録が26枠に増えただけでなく、「5人交代制」が初めて採用される大会だからだ。ベンチメンバーを増やすなら、単なるバックアッパーではもったいない。状況に応じて投入できるジョーカーの数を確保しておきたい。これはストライカーに限らず、守備的な戦術変更に伴う「クローザー」という考え方もある。


当確は26人中17人


もう一つは将来への投資として、若手選手を育成枠のような形でメンバーに加える考え方だ。23枠だった時代も、ブラジルなどの伝統国が実践してきた方法論だが、26枠に拡がったことで、現実的に採用しやすくなったとも言える。「+3枠」にこうした選手を入れてくる国はあるはずだ。


それを踏まえ、26名を予想したい。まずは「当確」の選手を固めてしまおう。


GKは権田修一、シュミット・ダニエル、川島永嗣の3名で固いように思う。年齢構成を考えると、全員が30代のGKチームというのは先々を見据えて余り良いものではないとも思うが、6月からの起用法を思えば、権田とシュミットは外れないだろうし、経験豊富な川島のポジティブな影響力も捨てがたい。


DFは酒井宏樹、吉田麻也、冨安健洋、中山雄太が当確。バックアップは、左右をこなせて練習のムード作りもできる長友佑都は今さら外さないだろう。負傷離脱中の板倉滉も間に合う見込みで、メンバー入りは固い。板倉の状態次第では、中央を彼に任せて冨安をサイドに出す選択肢も出てくる。


中央のMFでは遠藤航と守田英正、そして鎌田大地が当確。バックアップでは、サイドもできて前回大会の経験もある原口元気の選出は固い。


悩ましいFWの人選


両翼では、本番想定の布陣だったと思われる9月のアメリカ戦で先発している伊東純也と久保建英は、所属チームでの状態を考えても当確だろう。他に比する選手のいないジョーカー役の三笘薫も当確。所属チームでの先発機会は少ないが、むしろスーパーサブ起用に慣れているのは好材料だ。


FWではプレスの鬼・前田大然が両翼こなせる点も魅力で、当確だろう。ただ、他に当確と断言できるほどの選手はいない。


GK:権田、シュミット、川島

DF:酒井、長友、吉田、冨安、板倉、中山

MF:遠藤、守田、鎌田、原口

FW:伊東、久保、三笘、前田


この17人までは固いと観る。


バックラインでは山根視来の扱いが悩ましい。グループステージで対戦するスペインとドイツを相手に、日本がボールを握るイメージは持ちづらいので、その意味でも山根の個性が活かしづらいという考え方もあるだろう。


センターバックと左サイドバックの双方をこなせて、3バックの採用時にはキーマンとなりそうな伊藤洋輝のことも合わせて考えると、長友は「右」のバックアップという見方もできる。


柴崎をどう捉えるか


同様に板倉復帰で5人目のCBとなる谷口彰悟も悩ましい。もともと出場停止のリスクが高いポジションであり、板倉が負傷明けとなると、センターバックを厚くしておきたいところではあるが、ここをどう考えるか。


中盤中央では田中碧と柴崎岳が次点の選手となるが、起用法を考えると田中のほうが序列は上だろう。あとは柴崎をどう捉えるか。


昔から強いチームを相手にしたときに輝くタイプであり、4年前の経験もある。さらに所属チームでも好調を維持している点も加味されるかもしれない。ここも出場停止が多いポジションであり、森保監督は交代枠をこの位置に対して使うことが多いということもある。


大迫の復帰はありそう


両翼には南野拓実と堂安律の名前が挙がる。堂安は伊東と毛色の違うタイプだけに、目線を変えるスーパーサブとしての起用は「あり」だが、三笘と比べてジョーカーとしての実績は乏しい。


伊東のバックアップという意味では、状態次第ながら浅野拓磨という手もある。また現在の状態は必ずしも良好ではないが、FWやトップ下でも考えられる南野は起用法に幅があり、バックアッパーとしての要素も込みで残るのではないか。


FWでは大迫勇也の復帰がありそうだ。近年は負傷がちでコンディション面を不安視されることが多かったが、Jリーグでのプレーぶりを観れば、復調していることは明らか。前田と明確にタイプの違うFWということもあり、先発はともかくメンバー入りは固いように思う。


これを踏まえて、22枠が埋まる。


GK:権田、シュミット、川島

DF:酒井、長友、吉田、冨安、板倉、谷口、中山、伊藤

MF:遠藤、守田、鎌田、原口、田中、柴崎

FW:伊東、久保、三笘、前田、大迫、南野


これで23名。後ろに各ポジションにバックアップを置いたので、残るはジョーカー役のセレクションである。山根もある種のジョーカーになれるタレントであり、実は別媒体の予想では彼をメンバーに加えているのだが、ここはやはり攻撃陣か。


上田綺世は有力候補


旗手怜央も多彩な役割をこなせる魅力的な選手だが、9月シリーズでの起用法を思うと、今回は難しいように思う。


となると、やはり前線だろう。


センターFWには、大学生のときに森保監督によってA代表に引き上げられるなど、そのポテンシャルを高く評価されてきた上田綺世。能力的にも、ジョーカーとしてシンプルに使いやすい。


もう一人は、やはりジョーカーとしての堂安ではないか。強いキャラクターの持ち主であり、国際舞台での経験値も豊富だ。


センターFWでは古橋亨梧も有力候補だが、所属チームでの活躍は申し分ないものの、森保監督のチームでは結果を残しているとは言いがたい。浅野は状態次第だが、板倉よりも復帰は遅れる見通しで、そうなると見送りとなるのではないか。


東京五輪では同様の状況だった上田と三笘をメンバーに入れたものの、二人とも状態は戻り切らなかった。その反省を踏まえての結論がありそうだ。


相馬のメンバー入りは?


では、最後の1枠は誰か。個人的には「若手枠」もあっていいとは思うが、森保監督はそうした選択をすることで外れる選手が出ることを「良し」としないように思う。もっとリアリスティックに勝率を上げるにはどうするかを考えるはずだ。


ここまで挙げてきた選手にはいないタイプは、「守備の期待できるウイング」だろう。スペインやドイツを相手に回す以上、森保監督は現実的な守勢のプランも持って行くはず。


5バックにも対応できて、トレーニングでの強度も期待できる。そういう選手がJリーグに一人いる。9月シリーズで抜擢され、好プレーを見せた相馬勇紀だ。彼のメンバー入りもあるのではないだろうか。


よって、私の最終的な26枠予想は、以下の通りだ。


GK:権田、シュミット、川島

DF:酒井、長友、吉田、冨安、板倉、谷口、中山、伊藤

MF:遠藤、守田、鎌田、原口、田中、柴崎

FW:伊東、久保、三笘、前田、大迫、南野、堂安、上田、相馬


実際に選んでみると、26枠を決めるのは相当に悩ましい。誰を選んでも正解に思えるし、誰を選んだところで勝てない気がしてくる。


もっとも、代表の活動も残っていないことを思えば、すべては今さらの話かもしれない。あとは、日本で一番悩み抜いているであろう人物の決断を待つのみである。(文・川端暁彦)


写真提供:getty images

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川端 暁彦

川端 暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカー批評』『サッカーマガジンZONE』『月刊ローソンチケット』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。2014年3月に『Jの新人』(東邦出版)を刊行

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