U-19代表、正念場のカタール戦。どこよりも詳しい4つの攻略ポイント

COLUMN川端暁彦のプレスバック第26回

U-19代表、正念場のカタール戦。どこよりも詳しい4つの攻略ポイント

By 川端 暁彦 ・ 2016.10.20

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正念場ではあるが、予想されていなかった事態でもない。AFC・U-19選手権に臨んでいるU-19日本代表はそんな状態にある。内山篤監督の言葉を借りるなら、「そういうグループだと思っていた」ということだ。


2試合を終えて日本の戦績は1勝1分。次のカタール戦で勝てば文句なしのグループ首位突破が決まるのだが、引き分けると裏カード次第の厳しい状況だ。裏のイランとイエメンの試合をイラン勝ちと見るならば、日本は0-0の引き分けではアウト。つまり最低でも「1点」はマストの試合という言い方もできる。そのためには、4つのポイントがありそうだ(※)。


(1)パスでリスクを取る意識


この試合で初先発となりそうなMF市丸瑞希(G大阪)は過去2戦の印象として「カウンターは怖いかもしれないけれど、もっとリスクを取るべき」という見解を示している。どうしても横方向や後ろへの安全第一のパスが多かったが(それが一概に悪いというわけではない)、もう少し縦へのパスをボランチやCBから配球できれば理想的だろう。


二人のCBを含めて、技術的にそれをできない選手たちというわけでもない。場合によってはイエメン戦前半の立ち上がりに見せたような、シンプルなロングフォワードパスを入れていく時間帯や場面があってもいい。


(2)基本のサイドアタックを狙う


過去2戦の印象からは離れてしまうと思うのだが、このチームはサイドバックのオーバーラップを使いながら、シンプルにクロスから仕留める攻めを継続的に練習してきたチームである。ただ、ここまでの試合でその形が出たシーンは数えるほど。19日の練習では、あらためてサイドバック(あるいはサイドハーフ)のクロスから、2トップと逆サイドのハーフが飛び込んでいく基本の形を繰り返して意識付けを行った。縦突破のスピードが自慢のDF藤谷壮(神戸)が初先発となりそうなのも、その狙いからだろう。


カタールが3バックのチームで、その脇を狙うのがセオリーということもある。「相手がどこを守っているか」(内山監督)ということを思えば、シンプルに外を使っていく攻めはもっとあっていい。その上で、堂安律(G大阪)や三好康児(川崎F)が得意のドリブルとワンツーからの崩しを狙えば、より効果的なはずだ。


(3)ミドルシュートはどこへ消えた?


この2試合、サイドハーフのカットインからのミドルシュートは何度かあったものの、ボランチからのミドルシュートというケースはまれだった。そもそも打てそうな場面自体が少なかったのだが、「(ボランチが)バイタルエリアに入る数が少なかった」(坂井)こと自体が問題だ。


これはサイドハーフが中に入る頻度が高すぎること、サイドアタックが少なくなっている問題ともリンクしている。練習ではサイドアタックからのこぼれ球をボランチが拾ってミドルシュートを狙うという意識付けもあらためて行った。前に出て行くプレーに強みのある市丸が起用されることで、その狙いはより明確になったとも言える。カタールが想定どおり「引いて固めてくる」(内山監督)のならば、ミドルシュートはなおさら重要なポイントになってくる。


(4)スペイン流をカウンターで仕留めろ!


スペイン人指揮官が率いるカタールは、3-4-3システムで後方からビルドアップしてくるスタイル。浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督が好んで使っているような、後ろを3枚で作りながら、相手の4バックに5枚の選手(3トップと両ウイングバック)をぶつけてくる形もある。リベロからロングフィード一本でスピードのある攻撃陣を活かす形もあり、ここは要注意となる。


もっとも、前に人を掛けながら後ろから繋いでくるプレーにはリスクもある。「それほど組織的な連動はない。前からハメ込めれば」と坂井が力を込めたように、高い位置でのボール奪取からカウンターで得点を奪うことができれば、理想的な流れに持って行けるだろう。スピードのある岩崎悠人(京都橘高)が先発になりそうなのは、まさにこの狙いがあるからだ。


もう一つ、こうした試合における鉄板のポイントとしてセットプレーがあるが、これは説明するまでもないだろう。カタール戦は心理的な強さを求められる試合になるのは間違いないが、まず戦術的な工夫と練習の成果をしっかり出すことが肝心だ。絶対に得点が必要なゲームにおいて、東京五輪世代の選手たちが積み上げてきたものを見せてくれること。それをあらためて期待している。(文・川端暁彦)



【※今大会の勝ち上がりについて】

日本が勝利した場合は日本が単独首位に立つため、日本の決勝トーナメント進出は無条件で確定する。また、日本対カタールの結果に関わらず、イランがイエメンに負ければ日本の決勝トーナメント進出は決定となる。


ただし、日本対カタールが引き分けに終わり、イランがイエメンに勝利した場合は勝点数では3チームがならぶ。その場合は当該国の結果(3つの引き分け)を重視して優劣をつける。


イラン 1ー1 カタール

日本  0ー0 イラン

日本  引き分 カタール


6つのパターンが想定される。


①日本0ー0カタール

イランとカタールはそれぞれ1得点しているが、日本は無得点なため日本敗退。


②日本1ー1カタール イランがイエメンに2点差以内の勝利

カタールは当該国同士の試合での総得点が2点になるため1位通過、日本とイランは1得点ずつで並ぶが、イエメン戦を含めた得失点差で上回り日本が2位通過。


③日本1ー1カタール イランがイエメンに4得点以上、3点差以上勝利

カタールは当該国同士の試合での総得点が2点になるため1位通過、日本とイランは1得点ずつで並び、イエメン戦を含めた得失点差でも並ぶが、総得点でイランが日本を上回り、日本敗退。


④日本1ー1カタール イランがイエメンに3−0勝利

カタールは当該国同士の試合での総得点が2点になるため1位通過、日本とイランは1得点ずつで並び、イエメン戦を含めた得失点差、総得点数でも並ぶため、被イエローカード、レッドカードの総数が少ない方が勝ち上がる。


⑤日本1ー1カタール イランがイエメンに4点差以上の勝利

カタールは当該国同士の試合で2得点になるため1位通過、日本とイランは1得点ずつで並ぶが、イエメン戦を含めた得失点差でイランが上回るため、日本敗退。


⑥日本対カタールの試合がそれぞれ2点以上得点する引き分け

カタールは当該国同士の試合で得点数で日本とイランを上回るため1位通過、日本は得点数でイランを上回るため、2位通過が確定する。

写真提供:川端暁彦

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川端 暁彦

川端 暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカー批評』『サッカーマガジンZONE』『月刊ローソンチケット』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。2014年3月に『Jの新人』(東邦出版)を刊行

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