沖縄から東北へ移動して感じた、秋春制移行のポイント。DAZN資金はハードへの投資へ!

COLUMN川端暁彦のプレスバック第33 回

沖縄から東北へ移動して感じた、秋春制移行のポイント。DAZN資金はハードへの投資へ!

By 川端 暁彦 ・ 2017.1.31

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バカンス――ではなく、Jリーグのキャンプを観るために沖縄へ赴き1週間。そこから福島県相馬市へと移動。東北高校サッカー新人大会を取材してきた。


寒暖の差によって病に倒れることすら覚悟していたのだが、意外にもこのタイミングの福島は温暖だったので、そこまでには至らず。ただ、寒風が吹いてきたときのしびれる感覚は、沖縄で絶対に味わえないものだったのも確かだった。


あらためて、日本という国土が抱える気候的な多様性を実感させられる旅でもあった。この時期の沖縄はまさにサッカー日和。暑すぎず寒からず、天然芝のピッチの上でじっくり調整するにも、厳しく鍛錬に励むにも絶好のコンディションである。


沖縄の感覚からすれば、「この時期にサッカーをやらないなんてもったいない」ということになるのも当然だ。一方、東北に行ってみれば、この時期のサッカーはなかなか難しい。単純に寒いので、「娯楽としての観戦」はかなり厳しいだろう。興行として成立するとは思えない。


特に日本海側(山形、秋田、青森)は深い雪の中にあり、サッカーを楽しむどころではない。先の高校サッカー選手権と高円宮杯U-18を制した青森山田高校も敗北していたが、雪に閉ざされたこの時期、彼らのコンディションが上がらないのは仕方ない面もある。


実は昨年の優勝チームも、この大会は勝てていなかった(もちろん、「雪を言い訳にしない」が絶対的モットーの青森山田なので、敗戦した彼らは言い訳抜きに猛省していたのだが)。


地域によって異なる“絶好のサッカーシーズン”


沖縄キャンプで取材する機会の多かったコンサドーレ札幌も、この時期は“旅人”である。長い沖縄での1次キャンプを経て、短いオフを挟んで熊本での2次キャンプというスケジュールだが、2月25日の開幕戦以降もそのまま熊本を拠点にしながら、各地へ遠征に出る見通しだと言う。


雪国ならではの苦労と言うほかないが、チーム関係者は「分かっていることですから」と、こちらも「言い訳にしない」という構えを貫いていたのが印象的だったが、別に思うところがないという話でもない。


沖縄ならば絶好のサッカーシーズン、観戦日和となる時期が、北国では真逆の環境になる。これは夏についても言えることで、夏に北海道帯広市で開催される日本クラブユース選手権(U-15)の取材に行くと、この世の天国を実感できる。まさにサッカー観戦日和を満喫できるのだ。反対に、47都道府県持ち回りで開催されている夏のインターハイ(全国高等学校体育大会)が南国開催だったときなどは……。


秋春制移行へ向けて、気候の差こそが最大の壁


日本サッカー協会は『JFA/Jリーグ将来構想委員会』(委員長は田嶋幸三会長)などにおいて秋春制移行に向けての議論を進めているのだが、やはりこの気候格差こそが最大の壁となるはずだ(もちろん、壁はそれだけではないが)。


全体主義的な発想でいけば雪国を切り捨てることになるわけだが、善くも悪くも47都道府県をファミリーとしてやって来た日本サッカー協会にその選択はあるまい。ここは当然、雪国の被る不利益をいかにして他地域にカバーリングさせた上で、いかにしてやり切るかという話になる。


当然ながら、ハード面への投資も不可欠。寒い中で試合を観たいという奇特な人も少ないだろうから、観戦環境改善への投資の必要性は雪国に限った話ではなく、大げさではなくJリーグの将来を左右する可能性すらある。


しばしば天皇杯決勝や高校サッカー選手権の客入りの良さをもって「寒くても客は来る」と楽観する向きがあるが、あれらは“お祭り”であり、「その日しか味わえないものがある」という幻想を共有できる非日常の舞台だからこそ。


連続的な日常としての興行であるリーグ戦が「寒くても客が来る」「満足して帰ってもらえる」かは別の問題だ。秋春制への移行を目指すのであれば、客席をホットにする工夫へ長期計画で投資していく施策は、ぜひ忘れないでもらいたい。個人的には、DAZN到来で得た資金は「人件費」ではなく、こうしたハード面にこそ費やしてもらいたいと思うのだが、いかがだろうか。(文・川端暁彦)


写真提供:getty images

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川端 暁彦

川端 暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカー批評』『サッカーマガジンZONE』『月刊ローソンチケット』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。2014年3月に『Jの新人』(東邦出版)を刊行

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