ドイツ遠征に臨むU-20代表。U-20W杯メンバー入りに向けた“サバイバル”を勝ち抜くのは誰だ!?

COLUMN川端暁彦のプレスバック第36回

ドイツ遠征に臨むU-20代表。U-20W杯メンバー入りに向けた“サバイバル”を勝ち抜くのは誰だ!?

By 川端 暁彦 ・ 2017.3.15

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3月7日から8日にかけてU-20日本代表が“1泊2日のミニ合宿”を催した。同代表が目指すのは、5月20日に開幕するU-20ワールドカップ。その準備のための機会であり、今年に入ってから初めての招集でもあった。


これから世界大会と言うのに、準備機会が少なすぎるのではないか。そんな声も聞かれるようになったが、日本サッカー協会関係者は「Jクラブの強化担当者の中にもそう言ってくる方がいるけれど、本当に呼ぶとなったら(選手を)貸してくれないでしょう。去年もずっとそうだったから」と苦笑いを浮かべる。実際、このミニ合宿にしてもリーグ戦を優先する考えからG大阪や柏、川崎Fの選手たちが不参加で、頻繁に招集となれば不満噴出となるのは確実である。


とはいえ、「リーグ戦で試合に出てもらって、そこで鍛えられていくのが本分」(同関係者)というのも正論だ。頻繁に代表へ呼ばれるとなると、逆にチームでレギュラーを取りづらくなるという一面もある。今季がスタートしてからこの世代の多くの選手が出場機会を得ているが、シーズン前に招集機会を設けず、じっくりキャンプからチームに帯同させた効果もあるだろう。もちろん代表で得られる国際経験は選手のキャリアにとってもスキルアップにとっても重要な意味があるから、なかなか正解の見えない問題である。


登録メンバー21名の狭き門


19日からチームはドイツ遠征を行うが、ここが登録リスト決定前にベストメンバーを選べる、最初で最後の機会となる可能性は高く、自ずと重要度は高くなる。予選終了後から1回しかベスト布陣が組めないというのはさすがに指揮官へ同情したくもなるが、決まっている以上は仕方ない。このドイツへの旅路はチーム作りの点ではもちろん、登録メンバー入りを争う“サバイバル”という点でも要注目となる。


世界大会の最終登録メンバーは21名とやや少なめだ。アジア予選は23名だったので、そこから最低でも2名が落選となる狭き門である。GKが3名、先発11名となると、フィールドプレイヤーの控えは7名。センターバック、サイドバック、ボランチ、サイドハーフ、フォワードに1枚ずつ選んでいくと、残るは2枠となる。攻撃のジョーカーとしてFWをもう1枚選ぶのは定石で、内山監督の過去の選考を思ってもFWは4枚構成だろう。となると、残る1人は複数ポジションをこなせるユーティリティープレーヤーになりそうだ。


内山監督は選考について「この段階で(構想が)固まってなかったら、逆にまずいでしょう」と語っていたが、確かに大筋の選考は先日の選考合宿で終わっているように見える。FWは軸となる小川航基(磐田)、予選で小川の相方として活躍し、またスーパーサブ起用でも“いける”岩崎悠人(京都)が有力。残る2名のうちの1名は15歳の久保建英(FC東京)と思われるが、今回の遠征で旗手怜央(順天堂大学)が初招集を受けたことからも分かるように、もう1枚は流動的。直前で調子の良い選手が滑り込んでくるような可能性もありそうだ。


所属クラブで主力として活躍する、頼もしき守備陣


一方、守りの要のセンターバックは予選時のコンビである中山雄太(柏)と冨安健洋(福岡)という所属クラブで主力として活躍する二人が当確。共にボランチもこなせることから、中盤での起用が模索された時期もあるが、センターバックに落ち着きそうだ。控えは190cmの長身DFで、フィジカル面のベースアップを遂げながら全体にプレーも良化している町田浩樹(鹿島)が有力。町田は所属の鹿島で左サイドバックを経験しているのも強み。次点が板倉滉(川崎F)となるが、こちらは選ぶとしたらボランチとの兼用というイメージになりそうだ。


サイドバックは両サイドを器用にこなせる初瀬亮(G大阪)、左のスペシャリストである舩木翔(C大阪)、右のスピードスター藤谷壮(神戸)というタイプの異なる関西トリオでほぼ決まりか。中盤を含めて多様なポジションをこなせる岩田智輝(大分)が次点候補で、彼のような選手はユーティリティー枠での選出もあり得る。左のスペシャリスト枠でもう1枚となれば、浦田樹(北九州)がいる。


アジア予選のメンバーでも安泰ではない、激戦区の中盤


そして最大の激戦区である中盤だが、ピッチ上の監督でもある主将の坂井大将(大分)は中盤の全ポジションに加えてサイドバックもこなせるマルチロールであり、当確だろう。進境著しい原輝綺(新潟)も、稀少な高さで競れるボランチとして有力。彼の成長は、中山と冨安の中盤起用が見送られた一因だろう。


予選MVPの堂安律(G大阪)も外せないタレントだ。一方、残りの枠については、今季ブレイクを遂げつつある森島司(広島)のような選手も出てくる中で、予選メンバーの神谷優太(湘南)や市丸瑞希(G大阪)ですら安泰ではない流れになってきている。


もちろん、ここからの2カ月で調子を崩す選手もいれば、(あまり考えたくないが)負傷者が出てくる可能性もあり、選考にはまだまだ「余白」がある。「世界大会に出たい」と切に願う東京五輪世代の選手たちによる激烈な競争は、彼らにとってまた一つ大きな経験となるはず。この競争が生まれていること自体に、十年ぶりに得た世界切符の価値があるという言い方もできるだろう。(文・川端暁彦)



【U-20日本代表ドイツ遠征メンバー】

GK

1 小島亨介(早稲田大)

12 波多野豪(FC東京)

21 大迫敬介(サンフレッチェ広島ユース)

23 山口瑠伊(FCロリアン)


DF

2 藤谷壮(ヴィッセル神戸)

3 中山雄太(柏レイソル)

4 町田浩樹(鹿島アントラーズ)

5 冨安健洋(アビスパ福岡)

6 初瀬亮(ガンバ大阪)

19 舩木翔(セレッソ大阪)

22 板倉滉(川崎フロンターレ)


MF

7 神谷優太(湘南ベルマーレ)

8 三好康児(川崎フロンターレ)

10 坂井大将(大分トリニータ)

11 森島司(サンフレッチェ広島)

15 堂安律(ガンバ大阪)

16 原輝綺(アルビレックス新潟)

17 市丸瑞希(ガンバ大阪)

18 遠藤渓太(横浜F・マリノス)


FW

9 小川航基(ジュビロ磐田)

13 旗手怜央(順天堂大)

14 高木彰人(ガンバ大阪)

20 岩崎悠人(京都サンガF.C.)

24 久保建英(FC東京U-18)

写真提供:getty images

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川端 暁彦

川端 暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカー批評』『サッカーマガジンZONE』『月刊ローソンチケット』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。2014年3月に『Jの新人』(東邦出版)を刊行

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