W杯の対戦国決定。コロンビア、セネガル、ポーランドに共通する、攻撃の特徴とは?

COLUMN河治良幸の真・代表論 第2回

W杯の対戦国決定。コロンビア、セネガル、ポーランドに共通する、攻撃の特徴とは?

By 河治良幸 ・ 2017.12.5

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W杯抽選会の結果、日本はH組でコロンビア、セネガル、ポーランドと対戦することが決まった。相手のレベルを考えれば、最良でも最悪でもない。もちろん全て“格上”の国だが、半年間かけた対策をぶつける相手と考えれば、ヴァイッッド・ハリルホジッチ監督にとっても、準備のイメージが浮かびやすい3カ国であることは間違いないだろう。


コロンビアは4年前のブラジルW杯グループリーグ第3戦で戦い、1−4で惨敗。攻めに行っていい様にカウンターを食らう形で敗れており、日本の課題を突きつけられた“因縁”の相手でもある。抽選会の直前には、偶然にもコロンビアの試合を観ていたというハリルホジッチ監督もブラジルW杯の試合を就任前からチェックしており、日本が世界と戦うために必要なものをイメージする格好の教材と言える。


4年前ほどの勢いはないが、強敵に変わりはない


ブラジルW杯でベスト8進出を果たし、開催国ブラジルとも接戦を演じたコロンビアはホセ・ペケルマンが引き続き指揮をとり、チームとしては成熟の段階にあると言える。この間にリオ五輪でも日本と対戦するなど若手の育成にも余念は無いが、実際のところ4年前のハメス・ロドリゲス(当時モナコ・現在バイエルン)の様な“超新星”は出てきていない。


リオ五輪のエースだったミゲル・ボルハ(パルメイラス)もファルカオ・ガルシア(モナコ)を筆頭とするFW陣の主力になり切れていない。若手では21歳のCBダビンソン・サンチェス(トッテナム)が唯一レギュラーを脅かしている状況だ。4年前はファルカオが怪我で出場辞退を強いられた一方で、ジャクソン・マルティネスやテオフィロ・グティエレスなど綺羅星のごとき前線にハメスが加わった。当時ほどの勢いが無いことは、南米予選で4位という成績にも表れている。


ただ、日本にとって非常に厄介な相手であることは間違いなく、特に守備から入り、状況や時間帯に応じて遅攻と速攻を使い分けてくる狡猾さは、ゲームコントロールに課題のある日本が注意していくべきポイントだ。もっとも半年間の準備が最もカギを握る初戦であるだけに、4年前の対戦とは違い、流れの中での相手の変化や交替カードも想定して臨むべきだろう。


長身揃いのセネガルの攻撃を抑えられるか?


セネガルは西アフリカ特有の身体能力に加え、ベスト8に躍進した02年にW杯でキャプテンをつとめたアリウ・シセ監督がタレント集団をまとめあげており、セリエA屈指のCBとして辛口のイタリア・メディアからも一目置かれる大型DFカリドゥ・クリバリ(ナポリ)、中盤もこなすキャプテンのシェイフー・クヤテ(ウェスト・ハム)が統率するディフェンスは最終予選6試合3失点の堅固さを誇る。


強固なディフェンスから、突破力と得点力を兼ね備える俊英のサディオ・マネ(リバプール)、昨季セリエAのラツィオで大ブレイクしたケイタ・バルデ(モナコ)など、シンプルに前線のタレント力を生かす攻撃のミックスは、日本に厳しい“デュエル(1対1)”を強いるはず。そこで負けないだけでなく、日本の強みである組織力、機動力を結集させなければ勝機は見出せないだろう。


セネガルはチームがまとまっているとは言え、欧州の強豪に比べれば攻守が切り替わる瞬間にはスペースを与えてくれやすいので、しっかりと突いてチャンスにつなげたい。


もっとも注意が必要なのは、ターゲットマンが全て180cmを超えるセットプレーだ。セネガルはFWの強さやCBの高さに加え、中盤にも196cmのサリフ・サネ(ハノーファー)や192cmのセイク・エンドイエ(バーミンガム)といった大型選手を揃えており、日本にとってかなりのミスマッチが生じる。アジア最終予選でも、アウェーのオーストラリア戦ではセットプレーの守備を意識した布陣を組んで乗り切ったが、オーストラリアをも凌駕する相手に対して、中盤のアンカーに長身選手を起用するなどの対策は必要になる。


ポーランド戦は総力戦になる


ポーランドはEURO2016でベスト8に躍進し、優勝したポルトガルをPK戦まで追い詰めた実績が示す通り、純粋なチーム力ではH組で最強だろう。ただ、70~80年代に黄金期を迎えてから近年まで長く低迷しており、優勝経験国に比べれば対策も立てやすい。準備したことがうまくはまれば、接戦に持ち込むことも不可能ではないだろう。


ただ、3戦目ということもあり、ここまでの2試合でどういう勝ち点になっているか、疲労状態や累積カードなども影響してくるので、初戦のコロンビアに比べると今から完全なゲームプランを組むことは難しい。場合によっては総力戦になってくる。そこでこそ、前回アルジェリアでグループリーグ突破を経験しているハリルホジッチ監督の手腕が試されるところだ。


各ポジションに役者を揃えるポーランドはオーソドックスなサイド攻撃からFWロベルト・レバントフスキ(バイエルン)の決定力を生かすスタイルで、予選28得点中、実に16得点をエースが叩き出している。アルカディウシュ・ミリク(ナポリ)という注目の長身FWもいるが、現在は膝の負傷で長期離脱中。アダム・ナバウカ監督が彼の復活をどこまで見越して準備していくか。レバントフスキとミリクを前線に並べる[4−4−2]、トップ下にパスセンスの高いピオトル・ジエリンスキ(ナポリ)を配置する[4−2−3−1]の両方を想定して対策を立てておきたい。


日本は左サイドの守備がポイント


3つの国に共通する特徴は、右サイドに強力なアタッカーを擁していること。コロンビアにはフアン・クアドラード(ユベントス)、セネガルにはマネ、ポーランドには“クバ”ことヤクブ・ブワシュチコフスキ(ヴォルフスブルク)がいる。3人の特徴は異なるが、高い突破力と決定的なチャンスを供給する能力という点では同じ。彼らと対面する左サイドバックの選手には、かなり厳しいデュエルが要求される。


コロンビア戦はクアドラードとの対戦経験も豊富な長友佑都が適任と考えられるが、より高さが求められるセネガル戦では槙野智章をサイドバックに回すプランも浮上する。あるいはE-1のメンバーに選出された、空中戦に強い山本脩斗という可能性も考えられる。


ポーランド戦は左右のサイドバックをこなせ、マーキングに定評のある室屋成などの抜擢も有効かもしれない。もちろん、左利きで最近の日本代表に継続的に招集されている車屋紳太郎も対人守備の素養はある。対戦相手をイメージしながらデュエルなどを向上させ、指揮官にアピールできるかが生き残りのカギになるだろう。


ここから半年間、ハリルホジッチ監督や協会スタッフは本大会での対戦相手を想定しながら、国内組で臨む12月のE-1サッカー選手権、さらに来年3月のマッチメイクをすることになる。3カ国との対戦を想定すれば、中盤に長身MFを加える必要があるだろうし、マーキングの強いサイドバックがより優先されるかもしれない。縦の突破力があるサイドアタッカーもオプションとして有効で、もちろん少ないチャンスに決められるストライカーは大きな武器になる。


ただ、現時点ではコンディションの善し悪しを含め、代表入りが約束されている選手はいない。最終的にエントリーされるのは23人だが、選手たちの向上心と競争心が熱となり、本大会での推進力になっていくはずだ。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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