宇佐美貴史と中島翔哉はハリルジャパンの新たなオプションになり得るか?

COLUMN河治良幸の真・代表論 第7回

宇佐美貴史と中島翔哉はハリルジャパンの新たなオプションになり得るか?

By 河治良幸 ・ 2018.3.21

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ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が率いる日本代表は23日にマリ、27日にウクライナと対戦する。“仮想セネガル”のマリ、“仮想ポーランド”のウクライナを相手に注目するポイントは多いが、攻撃のオプションを見極める貴重な機会でもある。


ポルトガルで9得点7アシストの中島翔哉(ポルティモネンセ)が初選出、ドイツ2部で4試合連続ゴールを記録した宇佐美貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)が昨年6月のシリア戦以来の招集となり、本大会に向けた強力なオプションを加える存在として期待される。


二人とも左ウィングが基本ポジションではあるが特徴が異なり、2列目の異なるポジションでも起用が可能であることから、状況や時間帯によっては同時に起用されるケースもあるかもしれない。能力の高さは現時点でも分かっているため、指揮官としては味方との連携面の可能性に加え、アフリカのマリと欧州のウクライナのディフェンスとの相性なども探りたいところだろう。


ハリルが評価する、中島のスピード


「中島は爆発的なスピードを持っているので、1対1で相手を抜けるかもしれない。このようなプレーはなかなか日本人には出せないので、大事な選手になる」


ハリルホジッチ監督の評価について中島は「スピードというのは日本にいた時から意識していましたし、そこを見てくれたのは嬉しい」と語る。ポルトガルでも基本的なスタイルは変えていないというが、縦に仕掛ける意識はより高まっている。


得意のドリブルで相手ディフェンスを突破することはもちろん、合流直前のヴィトリア戦で見せた様にタイミングよく縦に飛び出し、クロスで味方のゴールをアシストするプレーも引き出しに加えていることは大きい。


リオ五輪世代で中島と長く攻撃のコンビを組んだMF大島僚太は「翔哉はどちらかというと足元でもらうのが好きだと思いますし、その方が特徴も出ると思うので、早めに付けてあげてサポートするとか(のイメージ)はあります」と語る。彼の得意なドリブルを引き出すパスにプラスして、ポルトガルでさらに身に付けた部分をアップデートさせて、新たなコンビネーションを生み出していけるかどうかにも期待だ。


ドイツで好調を維持する宇佐美


宇佐美もドイツで縦の仕掛けからのフィニッシュに磨きをかけており、マリやウクライナを相手にあらためて打開力と得点力を示すことができれば、貴重な攻撃オプションとして最終メンバーの有力候補になりうる。食事などの体質改善をはかったことも最近の活躍につながっているという宇佐美だが、クラブに日本代表の原口元気が加入したことで、「より技術的な、ボールを触ってのプレーを出しやすくなった」という。


そうした意味でも日本代表の選手たちとコンビネーションを意識することで、そこから良い形でのフィニッシュにつなげやすくなるはずだ。これまでは“ハリルジャパン”でもジョーカー的な位置付けだったが、「90分通して守備のタスクとかもこなしながら、仕事もしながら、最後もサイドからゴールを狙っていく」というクラブでのアプローチを代表指揮官に評価されていれば、スタメン出場を同僚の原口と競う構図も、良い意味で出てくる。もっとも宇佐美はフォルトゥナ・デュッセルドルフでは主に右サイドでプレーしており、左の原口とは共存も可能だ。


「2列目ならどこでもできる自信がホントにあります。何となくのイメージではなくて、2列目で高いパフォーマンスを発揮できるっていう自信はありますし、(以前は)左と真ん中寄りでしたけど、右でも今はしっかりと戦える自信があるので、そのポリバレント性も今は自信の1つになっています」


そう語る宇佐美をハリルホジッチ監督がどう起用していくのか。右サイドには約半年ぶりに復帰した本田圭佑もいるが、様々なバリエーションを見出せるほど、本大会を想定したメンバー構成が立てやすくなる。


気鋭のアタッカーをどう組み込むか?


その宇佐美はアフリカ人DFとの対戦について、ブンデスリーガでの経験から「リーチも長いし、速い。しつこく、かしこく対応する選手は多くはないんじゃないかと思う」とイメージしている。チームとしての戦術をベースに、そうした個人の工夫も合わせることで、より効果的な仕掛けのビジョンが生まれてくるはずだ。


これまでの日本にあまりいなかったタイプの中島翔哉と持ち前の高度な技術をベースにバージョンアップを遂げた宇佐美。今回は怪我の香川真司に加え、乾貴士、岡崎慎司、武藤嘉紀など実力者が招集されていないが、彼ら気鋭のアタッカーをどう生かして攻撃のメカニズムを組み上げるかが、本大会に向けた最終的なメンバー選考に大きく影響していきそうだ。(文・河治良幸)

写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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