スイスは攻守のバランスがとれた好チーム。この試合がW杯の試金石に

COLUMN河治良幸の真・代表論 第13回

スイスは攻守のバランスがとれた好チーム。この試合がW杯の試金石に

By 河治良幸 ・ 2018.6.7

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日本時間8日深夜、オーストリアのゼーフェルトで合宿を行っていた日本代表は、スイス代表と親善試合を行う。W杯までラスト2試合の1つになるが「(FIFA)ランキングが高いし、質のいいチームであることは間違いない。自分たちがやっていることをトライするには、非常にいい相手」と吉田麻也が語る様に、オーソドックスに攻守のバランスがとれた好チームで、グループステージ3戦目で対戦するポーランドと同じ欧州勢というだけでなく、本大会の試金石として格好の相手だ。


何と言っても、試合会場がスイスのホームであることが大きい。6月4日にはスペインとアウェーで1−1と引き分けており、司令塔ジャカを怪我で欠くなかでボール保持率は35%だったが、スペインの攻撃にプレッシャーをかけながら、自陣に押し込まれても守護神ゾマーを中心にセンターバックのシェアとアカンジがジエゴ・コスタのポストプレーやイニエスタの仕掛けを封じた。


攻撃の起点は両サイド


スイスの武器は右サイドのシャキリとリヒトシュタイナーのコンビで、吉田も「右は経験のある選手と質の高い選手が、コンビネーションと個で打開してくる。シャキリは何度もやっているので特に分かりますけど、非常にいいボールを配球してくるし、自分でも打開できる」と警戒する。


左サイドのツバーも縦の仕掛けからのクロスを得意としており、右サイドに注意を引き付けられていると一気にやられる危険性がある。その背後から攻め上がるリカルド・ロドリゲスのロングクロスも脅威で、前線に張るFWがセフェロビッチをはじめ、決定力に乏しいのはスイスの積年の課題となっているが、日本のディフェンス相手に強さを前面に押し出して、ゴール前でボールに合わせてくれば簡単には防げない。


強度の高い中盤トリオ


スイスの攻撃はサイドが起点となるが、攻守をベースアップさせているのは強度の高い中盤トリオだ。フランス代表のポグバに匹敵するポテンシャルを持つと言われる191cmのザカリアはボランチをベースに、センターバックや攻撃的MFも務める超万能型で、デュエルの強さは驚異的。日本が前からプレスではめようとしても、彼のところでボールを奪えず縦にパスを付けられてしまえば、後手の対応を強いられることになる。


ボランチのファーストセットはこのザカリアと司令塔のジャカ。ジャカは引き続き欠場の可能性もあるが、運動量と戦術眼に優れるベテランのベーラミがおり、守備面でかかるプレッシャーはジャカを上回る。2006年のドイツW杯から4大会連続のW杯出場であり、精神的にもチームを支える存在だ。


そして攻撃に味付けをおこなうのが、トリノに所属するジェマイリ。ベーラミとともに2006年のドイツW杯を経験しており、コンビネーションでの崩しを好むタイプのチャンスメーカーでありながら、守備に切り替わると鋭い出足でボールを奪いに行くプレスマシーンでもある。


W杯に向けて確認したい、守備のオーガナイズ


吉田が「チームとして、すごくオーガナイズされている印象を受けました。無闇にロングボールを蹴ったり、変な失い方をするよりは、ビジョンを持ってつなぐサッカーをしてくるチーム」と評価するスイスは、スペイン戦を欠場していたジャカがボランチに入った場合はチームが一変する。


多くのボールがジャカを経由する様になり、中央をワンツーで崩して、左足のミドルシュートなどもオプションとして加わる。ベーラミより守備能力は落ちるが、スイスがボールを保持する時間は確実に長くなるだろう。


普通に考えれば、スイスがゲームをコントロールして、日本が押し込まれる時間が長くなるが、そうならない様にできる限りチャレンジしながら、現実的な落としどころを探りたい。[4−2−3−1]のトップ下での先発が濃厚な本田圭佑も、攻撃面はもちろん守備のテストもしたいと考えている様だ。


「守備が良ければ、しっかりと攻撃の特徴は出る。もちろん逆もしかりなんですけど、スイス戦に限って言えば、守備でいくつか試したいパターンがある。(前から)はめられたパターン、はめられない場面でのプレス。大きく言えばその2つ。しっかりとポジションを確認しながらやりたい」


言い換えれば、それらが機能しなければ、自陣に引いてブロックを作るしかなくなり、攻撃もロングカウンターや1つのチャンスにかける流れになり得る。


W杯出場国の中でも、スイスほどオーソドックスに攻守のバランスがとれたチームも少ない。ここで日本がどういう戦いをできるかで、次のパラグアイ戦はもちろん、W杯初戦のコロンビア戦に大きく影響するだろう。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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