ポジション争いが勃発する森保ジャパン。激戦区のシャドーでアピールするのは誰だ?

COLUMN河治良幸の真・代表論 第18回

ポジション争いが勃発する森保ジャパン。激戦区のシャドーでアピールするのは誰だ?

By 河治良幸 ・ 2018.9.6

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森保一監督が率いる新生・日本代表は9月7日のチリ戦、11日のコスタリカ戦に向けて準備を進めている。初日の練習には追加招集の守田英正(川崎フロンターレ)と天野純(横浜F・マリノス)を含む19人が参加し、4日に堂安律(フローニンゲン)、中島翔哉(ポルティモネンセ)、南野拓実(ザルツブルク)、植田直通(セルクル・ブルッヘ)が合流した。


公開練習は初日と2日目の2日間。その後は冒頭15分のみの公開で、チームの戦術的な部分も入れたトレーニングとなった。2日目の練習では上記の4人こそ軽めの調整で終えたものの、初日からのメンバーはサーキット形式で角度や距離感を意識したパス練習から始まり、攻守に別れてのパスゲーム、8対8にゴールを付けたミニゲーム、最後には両アウトサイドのクロスに飛び込んでいくシュート練習というインテンシティーの高い練習を行った。


各ポジションに競争の構図


全体像とは言わないまでも、3-4-2-1を想定した場合のポジション配分も見えて来た。各ポジションに2人という競争関係になるが、1トップの後ろに位置する2シャドーは浅野拓磨(ハノーファー)、伊藤達哉(ハンブルガー)、天野、中島、南野、堂安の6人が争う構図が予想される。


伊藤については左のアウトサイド(左ウィングバック)もオプションになるが、クロスからのシュート練習では左から車屋紳太郎(川崎フロンターレ)と佐々木翔(サンフレッチェ広島)がクロサー役を担っていた。佐々木はメンバー構成上、3バックの左ストッパーがメインになると考えられるが、マルチロールをベースとしながら左アウトサイドがメインになる可能性も出て来た。右はサイドバックが本職の室屋成(FC東京)と、サイドアタッカーが本職だが、守備のデュエルにも定評がある伊東純也(柏レイソル)による競争の構図がはっきりしている。


シャドー候補の6人は、クラブでの基本ポジションから浅野、堂安、南野が右シャドー。天野、中島、伊藤が左シャドーという分け方も可能だ。加えて、縦突破からのクロスを得意とする伊藤は左。左利きでカットインからのシュートを得意とする堂安は右という考え方もできるが、そもそも森保監督のスタイルはシャドーが流動的にポジションチェンジをするので、明確に分ける必要はないかもしれない。


森保式を経験済みの浅野


浅野はサンフレッチェ時代に森保監督のスタイルを経験しており、戦術理解の部分ではアドバンテージがある。代表でのスタイルは未知の部分があることを認識しつつも「監督は全力でやれる選手が好きだと思いますし、それを広島の時に見てもらって、今の自分があると強く感じている」と話し、「監督の考えていることを自分の力にできれば、次の試合もその次の試合もこのメンバーでもしっかり戦えると思います。4年後のW杯に向けて、ここから準備が必要だと、そのためのアピールの場だと思っている」と語る。


ロシアW杯の候補合宿に残りながらも、最終メンバーには入れず、欧州の直前合宿にサポートメンバーとして参加した浅野。それだけに、W杯には特別な思いを持っている。浅野にとってのライバルは今回のメンバーだけでなく、次回以降に招集されるであろう乾貴士、武藤嘉紀などのロシアW杯組との競争も視野に入っているに違いない。とはいえ、まずは目の前の試合で結果を出すこと。その意味でも、スタメンでの出場を狙っているはずだ。


背番号10を背負う中島


中島もロシアW杯メンバーの有力候補に挙げられながら、選考外となった選手の一人だ。W杯中の過ごし方については「ずっと休んでいて、家族と一緒にいられたので幸せでした(笑)」と中島らしい回答をしていたが、「代表に呼んでもらえたときは全力でプレーをして、その結果日本がW杯に出て、メンバーに選ばれれば頑張りたい」と前を向いている。


森保監督のサッカーについては「広島時代のイメージがありますが、それ以外はわからない」と話すにとどまるが、新たな発見があることを楽しみにしている様子だ。中島に与えられた背番号は10。否が応でも周囲の注目は集まるが、「みんなで協力して、初めて一緒にやる選手もいるので、お互いにいいプレーを出し合えればいい」とマイペースを崩すことなく、新たなチームに臨んでいくスタンスだ。


悔しさをバネにする南野


浅野や中島と同じリオ世代の南野は、2015年の10月カンボジア戦以来、約3年ぶりの招集。同世代では”スーパーエース”と認められ、A代表に選ばれた時期も早かったが、ザルツブルクでのパフォーマンスがなかなか評価されず、ハリルジャパンはもちろんロシアW杯を戦った西野朗前監督の構想にも入らなかった。


「W杯は見ていましたし、代表に対する思いはずっとありました。悔しい気持ちもありました」


そう振り返る南野は今回の招集について「自分としては、常に成長してきた自負はある。それをしっかりアピールできれば」と語り、アピール方法は明確に見えている。それは、点を取ることだ。そのためには森保監督のコンセプトを理解し、チームメイトと共通理解を深めていくことの必要性も認識している。


「4年後への気持ちはありますが、まだまだ先の話です。まずは今回もらったチャンスというか、試合に出たら自分のプレーをして、チームの勝利に貢献できれば」


落ち着いた表情の中にも野心を見せる南野。森保ジャパンでどう生き残っていくか。


野心を見せる堂安


ゴールという結果にこだわることに、並々ならぬ意欲を持つのが初選出の堂安。「世代交代といっても、若い選手が結果を残さないとそうはならない。自然に流れを待つんじゃなくて、自分たちからつかみに行けるように頑張りたい」と語るアタッカーは、勝負していく上で「年齢は関係ない」と強調する。


「僕は心の底からそう思っている。口に出すだけじゃなく、試合の中で表現して、あいつすげえなと思われるようなプレーができたらいい」


フローニンゲンでも、声やジェスチャーなどで自己主張する姿が目立つ堂安。ドリブルからの左足シュートを得意とするが、「前の選手なので数字にこだわることと、ゴール前に走り込む回数が増えてきたのでワンタッチゴール。それこそクリスティアーノ・ロナウドのようなゴールを増やそうと思っています」とコメント。


クラブでは右サイドハーフからゴール前に走り込むシーンが目立つが、「自分の特徴が出るポジションなんで、イメージというよりやってみたい、トライしたいポジションです」と意欲を見せる。


A代表初選出の伊藤


A代表は初選出の伊藤も「僕は(U-21代表の)パラグアイに行ったときにやらせてもらいましたが、3バックで独特のサッカーだと思う」と語る。伊藤は基本的に中島がライバルとなりそうだが、完全な競争というよりもキャラクターの違いによるバリエーションが出るメリットを意識しているようだ。


「僕のドリブルは1対1で抜き切るほうで、クロスなりチャンスメイクをするドリブラー。どちらかと言えば伊東純也君のほうが近いと思う。中島さんはゴールも取れるタイプの、そっちに直結する選手だと思っているので、違った良さが出ると思っていただけたらいい」


伊藤自身もシャドーと左アウトサイドの両方でのプレーを想定している。パラグアイ遠征でシャドーをやっていた経験も踏まえて「サイドのほうがわかりやすいですね。守って、1対1で仕掛けて、突破してクロスを上げる。シャドーはもっと細かい動きがある」と語る。


まずはチリ戦に向けてトライしていき、指揮官と相談をしながら複数のポジションができる中で、メインとオプションといった住み分けを明確にしていくと考えられる。


プレースキックも武器の天野


シャドーの候補の中では、もっともMF色が強い天野はボランチもこなせるが、「チームでどのポジションをやっているという話もしたので、シャドーでプレーできるんじゃないかと思う」という言葉どおり、森保ジャパンではシャドーがメインになりそうだ。


2日目のミニゲームでは、パス交換を起点にするすると抜けて、終了間際のゴールを決めた。「コンビネーションやフィニッシュのシーンは、自分の持ち味なのでうまく出せた」と手応えを語る。得意のプレースキックでもアピールチャンスを狙っており、定着すれば森保ジャパンの貴重な武器になりうる。


異なる持ち味を備えるシャドー候補6人の中で、生き残っていく選手は限られる。もちろん、複数のポジションでの起用を考えられる選手もいるが、まずはキリンチャレンジカップ2試合、180分の中でどれだけアピールをして次に繋げることができるか。非常に興味深い“サバイバル2”となる。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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