森保ジャパンの冒険は1章の第2話へ。さらに求められる競争と融合

COLUMN河治良幸の真・代表論 第19回

森保ジャパンの冒険は1章の第2話へ。さらに求められる競争と融合

By 河治良幸 ・ 2018.9.25

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森保一新監督が率いる日本代表は北海道で起きた大地震の余波により、予定されたチリ戦が中止となり、大阪でのコスタリカ戦1試合しか行えなかった。そこでチャンスをもらった選手が躍動的なプレーを披露し、3-0で勝利。相手の状態はさておき初陣としては上々で、その先を期待させるパフォーマンスだった。


来年1月のアジアカップを前に、残すはホーム4試合。10月12日に新潟でパナマ戦、16日に埼玉でウルグアイ戦が予定されている。森保監督はロシアW杯でベスト16進出に貢献したメンバーを招集することを明かしており、競争と融合の両面で興味深い2試合になる。


繰り広げられる、激しいポジション争い


指揮官は選手選考から、難しい選択を迫られそうだ。特に2列目はコスタリカ戦で中島翔哉、南野拓実、堂安律が存在感を見せ、途中出場の伊東純也がゴール。代表デビューを果たした天野純も、物怖じしないプレーとコーナーキックで惜しいシーンを演出した。多士済々のタイプでもあるだけに単純比較がしにくく、乾貴士、香川真司、原口元気らとのバランス構成も難しい。


と言うのも彼ら単体の能力だけでなく、2列目のコンビネーションは攻撃面で森保ジャパンの生命線になりうるからだ。コスタリカ戦の3人のセット(中島、南野、堂安)は推進力が高く、彼ら同士はもちろんのこと、1トップの小林悠やボランチの遠藤航、青山敏弘と近い距離で絡むなど、粗削りながらワクワクさせる攻撃が繰り広げられた。


ただ、相手が強くなればなるほど、攻守のオーガナイズも求められてくる。その意味で例えば乾、香川、原口のセットなら、バランス面でも安心感があるのは確かだ。そこに中島、南野、堂安といったタレントがどう絡んで行くのか。最終的にこの3人がそっくり主力として定着する道もありうるが、まずは実績と経験のある選手たちとの組み合わせをチェックして行く流れになるはずだ。また、9月はニュルンベルクへの移籍直後だった久保裕也もおり、ブンデスリーガで結果を出すことができれば、有力候補に入ってくる可能性が高い。


10月のシステムがアジアカップのベースに?


中島、南野、堂安よりサイドアタッカー色が強い伊東に関しては、コスタリカ戦の4-4-2(攻撃時は縦の2トップになることが多く、4-2-3-1とも言える)ではなく、森保監督の代名詞とも言える3-4-2-1を採用する場合は、アウトサイドがメインのポジションになることも考えられ、マルチロールとして若干ながらメンバー選考に有利な立場にはいる。


初陣で3-4-2-1ではなく4-4-2を採用した理由について、森保監督は「まずは選手たちの特徴を発揮してもらいたい」と語っており、そのままアジアカップに向けたベースのシステムになるとは限らない。指揮官は1つのシステムに固執しないチームを作って行きたいというビジョンを持っているが、採用するシステムがメンバー選考に影響する部分は小さくない。


アジアカップまでの時間を考えると、10月の試合で4-4-2を採用した場合、11月の2試合と直前キャンプだけで本番仕様の3-4-2-1を構築させるのは困難だろう。そうなると、10月の2試合で採用するシステムがアジアカップに向けたベースになることが濃厚で、その中での起用法やパフォーマンスが”本番”に影響するのは間違いない。最大の注目ポジションである2列目の他に、大迫勇也が加わると見られる1トップ、長友佑都や酒井宏樹がいる左右のサイドバック(あるいはウィングバック)も競争は必至だ。


柴崎岳の起用法は?


初陣となったコスタリカ戦では、1トップの小林、途中出場の浅野拓磨もゴールやアシストこそ無かったが、大迫とは違った特徴をアピールした。怪我で離脱した杉本健勇は9月22日の湘南戦で復帰したが、開始早々に右肩を負傷して次回の招集も微妙に。サイドバックはコスタリカ戦で右の室屋成と左の佐々木翔がアピールしており、現時点では絶対的とも言える酒井宏樹や長友に挑んでいく形になる。


チームの心臓となるボランチは、キャプテンに指名された青山とベルギーで新境地を開拓中の遠藤が中盤のオーガナイズ、攻撃の演出で持ち味を発揮した。とは言え、対戦相手のコスタリカが全体的にインテンシティーを欠いていただけに、10月の2試合もこのセットがメインになるなら、特に強豪ウルグアイとの試合は大きなテストになる。


もちろん三竿健斗、9月の合宿は怪我で辞退となった山口蛍、大島僚太にもチャンスはあるが、ロシアW杯でボランチとして大活躍したものの、ヘタフェで”不遇”が続き、前節も2列目で途中起用された柴崎岳を森保監督がどう考えているかもポイントだ。コスタリカ戦では右サイドバックで代表デビューした守田英正は左ハムストリングの負傷で全治4週間と診断され、残念ながら10月は選考の対象外となりそうだ。


見どころの多い、10月の2試合


センターバックには、ディフェンスリーダーとして君臨する吉田麻也の復帰が濃厚だ。とは言え、所属のサウサンプトンではベンチ暮らしが続いている。森保監督はメンバーに選んだとしても、試合感を取り戻させるために起用するようなことはしないだろう。コスタリカ戦に出場した槙野智章と三浦弦太はもちろん、その試合で出番が無かった植田直通、冨安健洋も改めて競争に挑む。3バック採用なら様相も違ってくるため、ここも森保監督の10月2試合の方針が気になるところだ。


GKはコスタリカ戦でゴールを守った東口順昭とW杯過去3大会の守護神ではあるものの、新加入のストラスブールで現状”第3キーパー”の川島永嗣による正GK争いが見込まれているが、前回選出の権田修一、シュミット・ダニエルはもちろん、Jリーグで常時出場している選手にも序列を覆すチャンスは十分にある。


10月の2試合もあくまでテストマッチにすぎないが、初陣のコスタリカ戦で上々のパフォーマンスを見せたことにより、周囲の期待値は高まっている。”ビギナーズラック”とは言わないまでも、初戦というのは未知の部分が良い方に出ることもあり、2試合目、3試合目は新チームの試金石になりうる。そこで森保監督が、コスタリカ戦で躍動したメンバーとロシアW杯の主力をどう融合させて結果を求めて行くのか、注目だ。(文・河治良幸)



写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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