”森保ジャパン”アジアカップへの最終テスト。11月の2試合で見極めたい4つのポイント

COLUMN河治良幸の真・代表論 第22回

”森保ジャパン”アジアカップへの最終テスト。11月の2試合で見極めたい4つのポイント

By 河治良幸 ・ 2018.11.13

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森保一監督が率いる日本代表は11月16日に大分でベネズエラと、20日に豊田でキルギスと対戦する。7日に発表されたメンバーにとっては、来年1月に開催されるアジアカップに向けた最終テストとなる。初選出はDFの山中亮輔(横浜F・マリノス)とFW鈴木優磨(鹿島アントラーズ)の2名。残る21人のメンバーは、前回追加招集だったFW北川航也(清水エスパルス)も含めて、変わってはいない。


主力である長友佑都(ガラタサライ)が気胸の手術で離脱中、FWの有力候補である浅野拓磨(ハノーファー)と小林悠(川崎フロンターレ)も選考前のケガで対象からは外れたと見られる。また青山敏弘(サンフレッチェ広島)のケガによる辞退が合宿初日に発表され、代わりに守田英正(川崎フロンターレ)が追加招集された。


青山の不在について、森保監督は「勝負にこだわって泥臭くプレーしてくれる選手ですので、彼がいなくなるのは痛いところではありますが、新たな選手が可能性を見せてくれると思います」と語る。


ケガ人などのやむを得ない事情はあるが”森保ジャパン”最初の本番であるアジアカップに向けて、陣容が固まりつつあることを表すメンバー構成となった。


16日に対戦するベネズエラは南米の強豪で、過去の親善試合では日本代表と好勝負を演じてきた。20日の相手キルギスは、中央アジアの旧ソ連圏の国でサイズが大きく、近年の成長は著しいものの、チーム力としてはベネズエラよりも”格下”になる。


10月シリーズではパナマからのウルグアイと、順を追って強豪との試合となったが、今回は逆になる。そのため、10月シリーズとは違ったプランニングになるはずだ。そこで、11月の2連戦における選手起用の注目ポイントを紹介したい。


1:キャプテン吉田麻也のパートナーは?


現時点でレギュラーが確定しているポジションはないとは言え、ディフェンスリーダーがキャプテンに任命された吉田麻也(サウサンプトン)であることは揺るがない。国際経験豊富で状況判断に優れた30歳の吉田を軸に、23歳の三浦弦太(ガンバ大阪)、19歳の冨安健洋(シントトロイデン)、31歳の槙野智章(浦和レッズ)が争う形だ。


経験を重視するなら、長くセンターバックでコンビを組んできた吉田と槙野のセットは安心度が高い。とはいえ、アジアカップは真剣勝負の場であると同時に、先を見据えた選手起用も大事になる。吉田も優勝を飾った”ザックジャパン”の2011年大会でレギュラーに抜擢され、そこから大きく成長していった。


スピード対応に優れた三浦、長身ながら中盤もこなす運動量がある冨安は、吉田の機動力の不安を補完する存在としても有効だ。槙野も年齢から来るスピードの衰えは感じさせないが、過密日程の中で、守備のインテンシティーを高いレベルで持続していく意味では、伸びしろへの期待も加味して、三浦か冨安をファーストチョイスにするプランはある。


基本的に、センターバックは90分通して起用されると考えられ、まずはベネズエラ戦で森保監督がどういうチョイスをするか、気になるところだ。また、考えたくはないが、吉田にアクシデントがあった場合の備えも必要。今回はクラブで復帰間もない25歳の昌子源(鹿島アントラーズ)が招集されていないため、センターバックに入れ替わりがあるとすれば、ロシアW杯の主力でもあった昌子が復帰する形になるだろう。


さらに変化があるとすれば、森保監督の代名詞だった3バックを導入する場合だ。4バックか3バックかにこだわらない采配を掲げる森保監督だが、短期的に結果が求められるアジアカップでは、これまで通り4バックがベースになる可能性が高い。


とはいえ、様々な状況を想定したオプションは大会を戦い抜くカギになるため、キルギス戦でテストするかもしれない。その場合、東京五輪を目指すU-21代表で3バックの中央も経験している冨安が重要な存在になるだろう。また、MF枠で選ばれている遠藤航(シントトロイデン)が、このポジションで起用される可能性もある。


2:ボランチのファーストセットは?


”チームの心臓”とも言われるボランチは、過去の日本代表でも重要なポジションであり、一度メンバーが固まると継続的に起用されることが多かった。一方で消耗も激しく、アジアカップのような大会を戦い抜くには3番手、4番手に信頼できる存在が必要だ。9月シリーズでキャプテンをつとめた青山敏弘(サンフレッチェ広島)はケガで辞退となったが、遠藤、三竿健斗(鹿島アントラーズ)は続けて選出されており、ロシアW杯主力組の柴崎岳(ヘタフェ)は、10月に続く招集となっている。


本来、日本代表の主軸になるべき柴崎は、所属クラブで出場機会が得られず、10月の試合ではらしくないボールロストやデュエルで劣勢になるシーンも多かった。それでも、セカンドボールを拾う意識を高めるなど、攻撃陣を支えるために意識改革を進めており、11月1日のスペイン国王杯で約1ヶ月ぶりの公式戦に出場するなど、光が射し込んできている。森保監督がこの状況で引き続き招集を決断したのも、”森保ジャパン”の主力の一人として期待していることに加え、アジアカップで頼りになると見込んでいるからだろう。


ボランチ4人の中で、レギュラーに最も近いのが遠藤航。ベルギーのシントトロイデンで継続的に中盤で起用され、充実の一途をたどっている。遠藤とコンビを組むのは誰になるのか。柴崎と三竿ではタイプは異なるが、ACLで鹿島の優勝に貢献した22歳の三竿は攻守のバランス感覚に優れ、高さもある。遠藤と三竿の組み合わせは9月のコスタリカ戦での終盤、数分間のみ。ともにアジアカップのメンバーに選ばれることを想定すれば、コンビを試しておきたいが、イランから17時間かけて帰国し、代表合宿2日目から合流ということもあり、16日のベネズエラ戦は様子見で、20日のキルギス戦に照準を合わせるプランも考えられる。


また、青山の辞退により「同じポジションの選手で、Jリーグの中でパフォーマンスがいい選手」と森保監督が評価する守田が呼ばれた。守田は9月にも大島僚太(川崎フロンターレ)のケガで追加招集されている。9月の試合では、終盤に右サイドバックで起用された守田。いよいよ本職のボランチで起用されるかに注目が集まる。ボール奪取力が高く、シンプルで正確なボールさばきから、タイミングよく前のスペースに出ていくこともできる選手で、ポテンシャルは高いが、当然ながら遠藤、柴崎、三竿のいずれとも試合で組んだ経験がないだけに、限られた時間でどういう形でテストされるか、気になるところだ。


3:長友の代役は?


現在のチームで最も不安視されるのは、長友が気胸の手術で離脱した左サイドバックだ。9月のコスタリカ戦、10月のパナマ戦に出場した29歳の佐々木翔(サンフレッチェ広島)が評価を高めているものの、長友が健在ならアジアカップで主力を張っていたことは間違いない。攻守に渡る奮闘はもちろん、精神的にもチームの支柱だった長友の不在を誰が埋めるのか。もちろん佐々木が1番手だが、初招集となる山中には佐々木を脅かすほどのアピールが求められる。


森保監督は山中について「パフォーマンスに波のある選手ですが、特徴にスペシャルなものを持っている」と語っており、25歳のレフティーが持ち前の攻撃能力を存分に発揮すれば、これまでのチームにない左サイドからのクオリティをもたらすはずだ。守備と攻撃のサポート能力に定評のある佐々木と山中ではタイプも異なるため、純粋なレギュラーとサブというより、用途に応じた使い分けも可能になるだろう。9月のメンバーだった26歳の車屋紳太郎(川崎フロンターレ)もケガで離脱しているが、アジアカップには間に合うと見られ、森保監督も選択肢として残しているはずだ。


4:前線のオプションやジョーカーは?


攻撃陣の主力は9月、10月シリーズである程度見えてきた部分がある。前線にはロシアW杯の主力でもある28歳の大迫勇也(ブレーメン)が君臨し、2列目は24歳の中島翔哉(ポルティモネンセ)、23歳の南野拓実(ザルツブルク)、20歳の堂安律(フローニンゲン)が好調。南野は大迫と縦の2トップの関係ではあるが、中島、南野、堂安のトリオがセットで語られることも多くなっている。それぞれが個人で仕掛ける能力がありながら、鮮やかなコンビネーションを織り交ぜ、決定力も備える。ロシアW杯の主力だった27歳の原口元気(ハノーファー)ですら、現時点ではオプションと言わざるを得ない。


ただ、そのオプションこそ、アジアカップを勝ち抜く上で重要になる。試合内容としては、日本が相手陣内で攻撃を進める展開が予想される中、グループリーグで対戦するウズベキスタンはMFのフィジカルコンタクトが強く、優勝のためにはオーストラリア、イラン、韓国など、日本に引けを取らない中盤のインテンシティーを誇るライバルを倒す必要がある。そこで改めて、原口のような存在の重要性がクローズアップされる可能性は高く、森保監督も想定しているはずだ。


また、終盤の勝負どころで頼りになる“ジョーカー”は、現時点で定まっているとは言い難い。その意味ではコスタリカ戦、パナマ戦と2試合連続でゴールをあげた25歳の伊東純也(柏レイソル)、10月は追加招集だったものの、引き続き招集された22歳の北川航也が、どれだけ存在価値を証明できるか注目される。初招集となる22歳の鈴木優磨は日本人離れしたポストプレーのセンスが大迫を彷彿とさせるが、得点力の部分でもしっかりとアピールし、アジアカップのメンバー入りを勝ち取りたい。


FWは前回招集されながら怪我で辞退となった31歳の小林悠と23歳の浅野拓磨が一度は復帰したものの、別の怪我で選考外となっており、北川や鈴木には大きなチャンスだ。さらには、11月シリーズでの森保監督の評価次第では小林や浅野、10月に追加招集され、パナマ戦でオウンゴールを誘発する活躍を見せた29歳の川又堅碁(ジュビロ磐田)にもチャンスが巡ってくるかもしれない。(文・河治良幸)



写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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