アジアカップにコパ・アメリカ参戦。森保ジャパンが2019年にすべきこと

COLUMN河治良幸の真・代表論 第24回

アジアカップにコパ・アメリカ参戦。森保ジャパンが2019年にすべきこと

By 河治良幸 ・ 2018.12.11

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2018年は男子サッカー日本代表にとって、色々なことがあった。ハリルホジッチ氏の電撃解任から西野朗氏が引き継ぎ、短い期間でチームをまとめてロシアW杯でベスト16に進出した。ハリルジャパン”のベースを残しながら、コンビネーションとコレクティブな守備を駆使したスタイルで世界にそれなりのインパクトを残した一方で、メンバーをガラリと変えたポーランド戦では、グループリーグ敗退が決まっていた相手に力負け。ベルギー戦では2点のリードから追いつかれ、逆転された大会唯一の国となった。ベスト16の壁を破り、その先に進むためには、全体的なレベルアップに加えて、ゲームコントロールや状況に応じた選択肢といった実戦力を高めていく必要がある。


8月から日本代表を率いる森保一監督は2020年の東京五輪を目指すU-21代表(来年はU-22)を兼任し、”世代の融合”をはかることで、2022年のカタールW杯に向けた強化に着手している。ここまで5試合のキリンチャレンジ杯で4勝1分の成績を残し、2列目ではロシアW杯の最終メンバーから外れた中島翔哉をはじめ、南野拓実、堂安律が台頭し、ボランチではロシアW杯で出番の無かった遠藤航が主力定着にアピールするなど、ポジティブな成果も出ている。


一方で、ベネズエラ戦のように接近した力のある相手に、日本をリスペクトした形で組織的に守備を固められると崩し切れず、主力とサブの差も明確になるなど、ゲームコントロールや崩しのバリエーション、選手層といった本番仕様の課題が山積していることが露呈した。アジアカップはそうした部分の良いテストではあるが、同時にタイトルも求められる真剣勝負であり、森保ジャパンにとって難しい大会になることは間違いない。


1月にはアジアカップが開幕


アジアカップは今大会から24カ国の参加となり、1ヶ月に渡って最大7試合を戦う。W杯とほぼ変わらない負荷がかかる大会だ。F組に入った日本は1月9日にトルクメニスタン、13日にオマーン、17日にウズベキスタンと対戦する。6グループのうち、上位2チームが無条件で決勝トーナメント進出。3位でも全体で上位4チームに入れば、次のステージに進むことができるレギュレーションのため、ここを突破できないことは問題外だが、その後の戦いを有利にするためには、1位突破を狙って行きたいところだ。


ただ、1位の場合はラウンド16でE組(サウジアラビア、カタール、レバノン、北朝鮮)の2位、2位の場合はB組(オーストラリア、シリア、パレスチナ、ヨルダン)の1位と対戦することになる。どちらにしても簡単な相手ではないが、オーストラリアか中東の難敵しかいないB組の1位と戦うよりは、首位突破でE組の2位と対戦した方がベターだ。B組は2日進行が早いため、ラウンド16では日本の方が2日間休養が少ないという事情もある。


アジアカップは貴重な経験を積む場とはいえ、優勝候補のオーストラリアや地の利のある中東の難敵と、日程的に厳しい状態で早期に当たるのは避けたいところだ。準々決勝から先は韓国やイラン、前回大会でPK戦の末、敗退に追い込まれたUAEなどが相手になるだろう。簡単な試合になるはずはないが、日本もそれまでの試合を通じて成長しているはずで、どういった姿を見せてくれるのか、楽しみでもある。


日本サッカー協会の田嶋幸三会長や関塚隆技術委員長は、アジアカップの明確な目標を設定してはいないが、目指すはもちろん優勝であり、最低でも前回大会を上回る結果(ベスト8以上)がノルマになるだろう。この大会を通じて出た成果や課題が6、7月に参戦するコパ・アメリカ(ブラジル)や、9月からスタートするW杯アジア予選の選考、強化に影響することは間違いない。


コパ・アメリカのメンバー構成は?


2019年3月には2試合のキリンチャレンジ杯(対戦国は未定)があり、コパ・アメリカの直前にも2試合が予定されている。森保監督はコパ・アメリカについて「本気の南米を相手に経験値を高める」と語り、関塚技術委員長は「(コパ・アメリカは)しっかりとしたA代表を作って出ていきたい」と話している。


ただし、同年開催の2つの大陸選手権(アジアカップ、コパ・アメリカ)の両方で、代表チームが選手を拘束できない事情もあり、アジアカップとは違ったメンバーが多く含まれる可能性が高い。大会期間中にJリーグもあるため、同じクラブから複数の選手を招集できないなどの制限が課される可能性もある。


また、6月にはポーランドでU-20W杯があり、東京五輪を目指す主要メンバーが参加予定のU-22代表も、5月末から6月にかけてフランス遠征を予定している。参加する選手にはその後の財産になりうる大会だが、どういうメンバー構成になるか、気になるところだ。


2019年はこれらのプランニングに加え、日本代表としての結束力を醸成していく期間でもある。アジアカップやコパ・アメリカという厳しい戦いの中でチーム力を高め、カタールW杯予選につなげたい。


2019年は「強い日本代表」を作る年


戦術の浸透や選手起用のオプション作り、メンバー生き残りをかけた競争もある。クラブで良いパフォーマンスを見せるかが選考に直結し、U-20W杯を経験する若手や東京五輪世代からの突き上げも期待される。日本代表としてラージグループを作りながら、いかにW杯予選に向けて結束力を高められるかが、チーム作りのカギになる。


12月11日に行われた2019年のスケジュール発表会では、ビーチサッカーのラモス瑠偉監督が「日の丸に対する誇り」をチームの課題としてあげていたが、そこはサッカーの日本代表にも通じる。代表の主力を担っていく選手たちが受け継ぎ、さらに進化させることは、予選での勝負強さに直結してくるはず。すなわち、世界で日の丸を背負った経験ある選手たちと、これから背負っていく若手の「融合」だ。


2019年はチームとして経験値を高めるとともに、個人が切磋琢磨することで、強い日本代表を作っていくための年になる。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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