フレッシュな顔ぶれがアピールできず、プランニングがハマらなかったボリビア戦

COLUMN河治良幸の真・代表論 第31回

フレッシュな顔ぶれがアピールできず、プランニングがハマらなかったボリビア戦

By 河治良幸 ・ 2019.3.28

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ボリビア戦を1つの公式戦として捉えるならば、それほど悪くはない試合展開だった。前半はボールを保持しながら相手ディフェンスを揺さぶり、守備で運動量を使わせる。そして、交代で入ってきた選手が仕留めるという流れである。


できればもう1、2点加えて試合を終わらせたかったが、ボリビアも遠征2試合目ということで、韓国戦より動きが良かった。運動量を補う選手交代をしてきたことを考えれば、ロジカルな結果ではある。問題は、親善試合というテスト色の濃い中で、スタメン組に損な役回りを負わせてしまったことにある。


ボリビアはコロンビアより力が落ちるチームだが、難しい相手であることは間違いない。チーム全体で守備を固めてくる上に、攻撃時もブロックを崩すことなく、コンパクトに押し上げてくる。大型FWのアルバレスと推進力のある右サイドハーフのレオナルド・バカが仕掛け、日本の守備を押し下げる役割を担った。


アルバレスには畠中槙之輔、レオナルド・バカには安西幸輝が対応する局面が多かった。畠中はデビュー戦、安西もコロンビア戦で最後の数分間プレーしただけだったことを考えれば、攻撃だけでなく守備も周囲と連携しながら、上手くやっていたと言える。


しかし、畠中はアルバレスに起点になるプレーをさせてしまい、安西は相手を止められずに深い位置まで引きずり込まれ、そのたびに日本が押し下げられた。


チャレンジが少なかった攻撃面


日本がボールを保持する時間は長いものの、深い位置からの組み立てが目立ったのは、前線にボールを当てて、相手ディフェンスを下げながら、中盤の選手が前を向くというプロセスを出しにくかった事情もある。


1トップの鎌田大地はディフェンスを背負ってボールを受けたり、一発で裏抜けを狙うタイプではない。タイミングよく顔を出し、クサビを受けるプレーは良くやっていたが、前線で深みを作り出せなかったため、相手ブロック手前でのパス交換を増やしてしまった。


そうした状況ゆえ、先発メンバーは基本的に通る見込みのあるパスしか選択していなかった。ボリビアが4−4−2のブロックをほとんど動かさないので、相手の間で確実にボールを繋ごうとすれば、どうしてもパスカットのリスクが伴うことになる。


その中で、三浦弦太がロングボールを出したり、前線の鎌田や右サイドから前に出る宇佐美貴史にボールを当てようと試みたり、畠中が状況を見極めながら乾貴士や左の高い位置を取る安西に正確なボールを供給していたが、全体的にボリビア守備陣を揺さぶるチャレンジのパスが少なかった。


ドリブルで中盤からディフェンスを剥がそうとするのも乾ぐらいで、安全志向になってしまった。そうした中でキャプテンマークを巻いた香川真司はなんとかしようと立ち回り、右に流れたところから大きなサイドチェンジのパスを出し、左サイドの乾に仕掛けさせたシーンは、前半で最も効果的な形から生まれたチャンスだった。


チームとしてベクトルを示せなかった


個々のプレーを切り取れば、日本代表デビュー戦の選手も含めて、決して悪いパフォーマンスではなかった。全体的に”安全運転”になったのは、メンバー構成と相手チームの兼ね合いもあるが、チームとしてチャレンジするベクトルを森保監督が示せなかったこともある。


勝つことは大事だが、新しい選手が多く、連携面も手探りなメンバーに90分でのオーガナイズを求めると、前半からチャレンジはしにくくなる。それは森保監督も想定できたはずだが、前半が下ごしらえ、後半が仕上げという流れにハマってしまい、後半に出てきた主力選手が目立つ結果となった。


”三銃士”とも呼ばれる中島翔哉、南野拓実、堂安律との差が開いてしまったという報道や記事も見かけたが、筆者はそうは見ていない。仮定の話をしても仕方ないが、ボリビア戦に三銃士を先発させ、ボランチに柴崎岳がいたとしても、そう簡単に崩せてはいなかっただろう。ただし、慣れたメンバーならではのダイナミックなチャレンジはもっとあったはずで、その中から前半にゴールが生まれていた可能性はある。


とはいえ、試合後の会見で森保監督が語っていたように、後半、彼ら3人を投入するより前に、ボリビアの守備のほころびは出始めていたし、乾のパスに鎌田が抜け出したシーンがゴールになっていれば、前半からのお膳立てを自分たちで実らせる形にできた。しかしながら、森保監督は後半16分に宇佐美と乾を下げて中島と堂安、後半23分には香川と小林祐希から南野と柴崎に交代させている。


コパ・アメリカにどう繋げるか


メンバー変更後の後半30分に待望のゴールが生まれたが、チーム内での捉え方がどうであれ、世間的には主力メンバーとボリビア戦で先発したサブメンバーの間に、明確な差があるという見え方がされても仕方がない。


森保監督は前半の選手たちの働きがあってこその後半であることを強調しているが、勝負とは別に、「フレッシュな選手たちが持ち味を発揮してアピールすることで、チームを活性化させる」という当初の目的から評価するならば、プランニングが上手くいかなかったと言わざるを得ない。


アジアカップ決勝でカタールに惨敗し、親善試合とはいえホームでコロンビアに敗れたことで、試合に勝つこととフレッシュなメンバーをテストすることという、相反する目的を抱える中で、難しいかじ取りを強いられたことは間違いないのだが…。


ここから所属クラブでのパフォーマンスをチェックし、6月のキリンチャレンジカップにどのようなメンバーで臨み、コパ・アメリカに繋げて行くのか。コパ・アメリカは選手の拘束力がないだけに、キリンチャレンジカップの2試合とコパ・アメリカで異なるメンバー構成になる可能性もあるが、ここから森保監督がどうチームを作り上げて行くかは、秋から始まるW杯予選に大きく影響して行くだけに、厳しく見守って行く必要がある。(文・河治良幸)

写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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