U-20W杯メンバー入りに向け、熾烈な争いが勃発。タレント揃いの陣容で生き残るのは誰だ?

COLUMN河治良幸の真・代表論 第32回

U-20W杯メンバー入りに向け、熾烈な争いが勃発。タレント揃いの陣容で生き残るのは誰だ?

By 河治良幸 ・ 2019.4.12

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影山雅永監督が率いるU-20日本代表は5月24日(日本時間)に初戦を迎えるU-20W杯に向け、4月14日から16日まで千葉県で合宿を行い、日本大学選抜とのトレーニングマッチを行う。


今回は例年に増してJリーグで出場機会を得ている選手が多く、合宿メンバーを見ても、その週の金曜日にJリーグの試合を控えるFC東京や湘南ベルマーレの候補選手が外れた一方で、AFCチャンピオンズリーグに参加している鹿島アントラーズの安部裕葵や、日程的には最もタイトなサンフレッチェ広島の正GK大迫敬介、継続的に出場機会を得ている東俊希が選ばれるなど、日程的な”配慮”に不公平感が出ているのではないかというファン・サポーターの声も多い。


ただ、少なくとも最終メンバーを選考するにあたり、影山監督やスタッフが直接チェックできる最後の機会であり、招集された選手には最終メンバー入りの大きなチャンスであることは間違いない。


高校生の西川潤が招集


前回のU-20W杯に久保建英とともに”飛び級”参戦した田川亨介や”影山ジャパン”の常連である原大智(ともにFC東京)が外れたFWは、セレッソ大阪に加入が内定している西川潤(桐光学園)が、高校選抜での欧州遠征を辞退して合宿に参加する予定。ここでアピールに成功できれば、2001年生まれの久保や斉藤光毅(横浜FC)より、さらに遅い2002年2月生まれの選手がU-20W杯のメンバー入りを果たす。


同じくFWで選出の宮代大聖は昨年のU-19アジア選手権でU-20W杯の出場権獲得に大きく貢献したものの、今年正式にトップ昇格した川崎フロンターレではJリーグ王者の厚い選手層、ACLを戦うチームの中でベンチ入りすらできていない。同世代のライバルが次々とリーグ戦やカップ戦に出場し、得点も記録する状況で、今回の合宿はあらためて実力を示す格好のチャンスとなる。


中島元彦(セレッソ大阪)も2トップの候補だが、ボランチとのマルチな起用も可能だ。中盤から鋭い攻め上がりで得点をもたらせる選手であり、これまでのチームにはいないタイプなので、戦術的なオプションとしての価値は非常に高い。立場的には”当落線上”と見られるが、今回の合宿でアピールに成功し、本大会のメンバーに入れば面白い存在になる。


タレントひしめく中盤の争い


4-4-2の基本フォーメーションを敷く”影山ジャパン”の中盤4枚は、右から久保、齊藤未月(湘南)、伊藤洋輝(名古屋グランパス)、安部裕葵が主力と想定される。藤本寛也(東京ヴェルディ)も主力候補だが、U-19アジア選手権で試合中に負傷交代し、昨シーズンの終盤戦を棒に振った。今季のJ2開幕戦からスタメン出場し、3月の欧州遠征にも参加したが、帰国後は十分に出番を得られていない。13日にFC琉球戦があるが、今回の合宿でアピールするべき立場にある。


横浜F・マリノスの”プリンス”こと山田康太もクラブでは複数のポジションで起用されているが、”影山ジャパン”ではボランチとして構想されている。V・ファーレン長崎と対戦したルヴァン杯ではインサイドハーフでフル出場したが、ボランチとして実践感覚を掴みながら、本大会に向けてアピールしたい。ボランチは過密日程の大会で消耗が激しくなるポジションなので、早い段階からスタメンを入れ替えていく可能性は高い。


久保が主力候補と想定される右サイドハーフは郷家友太(ヴィッセル神戸)も有力候補で、飛躍が期待されている。183cmと上背があり、ロングスローも投げられる高い身体能力を備え、”バルサ化”を目指すクラブで技術面にも磨きをかけている。ただ、”VIP”(ビジャ、イニエスタ、ポドルスキ)を擁する攻撃陣にあって、ここまでリーグ戦の出場機会が無く、ルヴァン杯ではC組で首位に立つチームの勝利に貢献する活躍を見せているものの、リーグ戦で主力として活躍する、同世代のライバルに負けないアピールをしたいところだ。


左サイドはチームの中心的な存在でもある安部が招集された。久保や齊藤が外れた一方で、ACLなど過密日程にある安部の招集に疑問の声が上がるのは理解できるが、割り切って考えれば、クラブでジョーカー的な起用が多い安部が、主力として立ち位置を確認できる機会でもある。このポジションは滝裕太(清水エスパルス)や松岡大起(サガン鳥栖)など、今回の合宿で招集外となったタレントは多いが、2トップの有力候補である17歳の斉藤光毅もマルチロールとして構想されているだろう。


最終ラインの人材は豊富


代表では左サイドバックが本職となる東も、広島では攻撃的なポジションでも起用されており、より堅守速攻が求められる試合では安部を2トップ、東を左サイドハーフに上げるプランもあるかもしれない。一方の右サイドは昨年末にA代表のトレーニングパートナーも経験した菅原由勢(名古屋グランパス)、湘南からJ2のアビスパ福岡に期限付きで移籍している石原広教が競争する。


センターバックもこなせる菅原は名古屋の選手らしく、サイドから攻撃を組み立てるセンスが高く、ボールを受けながら相手のプレッシャーを引き付けて、周囲の選手に前を向かせることができる選手だ。エレガントな攻撃とは裏腹に守備は闘争心に溢れ、激しいコンタクトプレーを辞さない。スピードとマーキング能力に優れる石原は、よりサイドのスペシャリストの色合いが強い選手だ。左サイドバックもこなせるため、決勝まで最大7試合を戦う大会を想定した場合に、左でのテストもプランニングされているかもしれない。


左右のサイドバックをこなすマルチとしては、今回は選外となった鈴木冬一(湘南ベルマーレ)や中村拓海(FC東京)といったライバルがおり、左サイドのスペシャリストとしては萩原拓也(浦和レッズ)もいる。場合によっては橋岡大樹(浦和レッズ)もサイドに回すことができるため、福岡で途中出場が多い石原としては、今回の合宿で指揮官の評価を上げておきたい。


競争が激化するセンターバック


センターバックの候補は5人となっており、今回の合宿でも競争が激しくなるポジションだ。U-22代表にも選ばれている橋岡は、クラブでは右ウィングバックや右サイドバックで起用されているが、”影山ジャパン”ではセンターバックの主軸として重要な役割を担ってきた。機動力と対人能力を併せ持つ橋岡は攻撃力の高い相手に対し、守り切る試合展開になれば、5バックの右ストッパーとしても頼りになる。


センターバックには、橋岡のほかにも、195cmでセットプレーの得点力もある三國ケネディエブス(アビスパ福岡)、ムードメーカーでもある瀬古歩夢(セレッソ大阪)、ボランチもこなせるパス能力と戦術眼を備える小林友希(ヴィッセル神戸)、大学から唯一選出された角田涼太朗(筑波大)とタレントが揃う。そこから3~4人に絞らなければならない。影山監督にとっても良い意味で悩ましい状況だろうが、このポジションは有力候補が今回の合宿に揃っており、はっきりと評価しやすいのはメリットだ。


GKはU-19アジア選手権で世界行きを決めたインドネシア戦のゴールを守った谷晃生(ガンバ大阪)が開幕前の練習中に左肩を負傷し、長期離脱を余儀なくされた。さらに正GK候補の一人である若原智哉(京都サンガ)が、クラブで経験豊富なGKの壁に阻まれて公式戦に出られない状況で、大迫がJ1の首位を走る広島でブレイクしており、そのまま評価されればU-20W杯でも正GKを担う資質は十分だ。


ただし、代表チームでのライバル関係は継続されているはずで、その見極めもあって影山監督は広島の過密日程を承知でGK4人という大所帯の一人に大迫を入れたのだろう。J3で着実に経験を積む茂木秀(セレッソ大阪)も、U-19アジア選手権のメンバーだった3人に割って入るだけのポテンシャルはあり、195cmの大型GKは日本サッカーの将来を考えても大事に育てたいタレントの一人だ。


多士済々の前線や中盤に目が行きやすいが、世界での戦いを見据えればセンターバック とGKの選考は”影山ジャパン”の生命線であるとともに、来年の東京五輪やA代表にも影響しうるポイントなので、ぜひ注目して欲しい。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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