U-20W杯に向けて、勝負の時期を迎える若武者たち。メンバー候補を徹底紹介!

COLUMN河治良幸の真・代表論 第33回

U-20W杯に向けて、勝負の時期を迎える若武者たち。メンバー候補を徹底紹介!

By 河治良幸 ・ 2019.4.25

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ポーランドで開催されるU-20W杯の開幕まで1ヶ月を切った。メンバー発表の具体的な日程は明らかにされていないが、おそらくゴールデンウィーク明けにはリストが固まり、23日の初戦(エクアドル戦)に向けて、現地で直前合宿、本番という流れになる。


4月14~16日の短期合宿では1、2歳上の年代が中心の全日本大学選抜と45分×2本のトレーニングマッチを行い、チーム事情でコンディションにバラツキがある中でも基本的な戦い方を確認しながら、それぞれのポジションで選手が刺激しあった。


「いまさら選手選考ということではなく、成熟させたいというのが強いです。ただ今回、いろんな事情で招集できなかった選手もいるので、自分はボーダーのところにいるよなというのは、僕以上に選手が感じているんじゃないかと思います」


そう語った影山雅永監督。この合宿で、中心的なメンバーである久保建英(FC東京)が外れたことが話題になったが、実際は何人かの選手がJFAとクラブとの話し合いにより、日程などの都合で招集が見送られたようだ。これまでの流れを考えれば、U-22にも選出されている齊藤未月(湘南ベルマーレ)や田川亨介(FC東京)は、その中に含まれると考えられる。


活躍している選手の起用濃厚


”影山ジャパン”の基本形は4-4-2。最終的には21人に絞られるメンバー選考において、センターバックが本職の選手が5人、GKが4人入っていたのは1つのメッセージで、センターバックは多くても4人、もしくはサイドバックとの兼任で3人になる可能性もある。GKは3人になるので、少なくとも久保、齊藤、田川といった選手を加えると、おおよそのメンバーは見えてくる。


しかしながら、影山監督はこうも言っていた。


「呼んだ選手のポジションの数で、オプションなのか競争なのかは、リストを見るとわかると思う。オプションを増やしたい一方で、できるだけ旬な選手、いま活躍して乗っている選手を選んで、ハーモニー作って行きたいと思っている。まだ時間はあるので、まだまだ視察をして練習場にも行って、彼らの乗ってる度合いを見極めたい」


メンバー発表後、国内でほとんど活動の時間を取らずに現地へ出発することが予想されるだけに、コンディション面はかなり重視する必要がある。U-20W杯のグループリーグで同組になった、南米王者のエクアドルをはじめ、前回ベスト8のメキシコ、前回3位のイタリアという強豪国を相手に、決勝トーナメント進出を果たすには、できるだけ100で大会に入っていかないと、かなり厳しい戦いになることは間違いない。


そのため、候補が絞られる中でもボーダーラインのところは、直近のJリーグやカップ戦で出場機会を得ている選手が優先される可能性が高い。


センターバックの人選は?


現在やや不安視されているのが、合宿で5人の選手が招集されたセンターバックだ。


橋岡大樹(浦和レッズ)

小林友希(ヴィッセル神戸)

三國ケネディエブス(アビスパ福岡)

角田涼太朗(筑波大学)

瀬古歩夢(セレッソ大阪)


そこから角田が怪我のため離脱し、関川郁万(鹿島アントラーズ)が追加招集された。それだけでも実質的に6人の候補がいるわけだが、U-22代表にも選ばれた橋岡がヴィッセル神戸戦で左足を負傷した。その後クラブから公式の情報はなく、軽症であれば幸いだが、場合によってはメンバー選考にも影響してくる。


三國はまだ荒削りなところもあるが、192cmのサイズはセットプレーや高さのあるFWの対策を想定しても魅力で、J2ながらクラブで出番を得続けているのはアドバンテージ。瀬古は過密日程だったこともあり、合宿のトレーニングマッチには出なかったが、24日のルヴァン杯ヴィッセル神戸戦にフル出場して、1-0の勝利に貢献している。


その対戦相手だった神戸の小林はベンチに入ったものの出場機会がなく、またセレッソと違いU-23がないため、コンディション面では厳しい立場にある。ただし、センターバックとしては貴重な左利きで、総合的にも能力の高い選手であるため、影山監督がどう見極めて選考するかが気になるところだ。一方で追加招集だった関川はACLの慶南FC戦で公式戦デビュー。前半は硬さも見られたが、徐々に持ち前の強さを発揮しており、滑り込みで最終メンバーに入る可能性はある。


マルチな選手を複数ポジションで起用


4人が合宿に招集されたGKは急成長中の大迫敬介(サンフレッチェ広島)は確定的だが、谷晃生(ガンバ大阪)、茂木秀(セレッソ大阪)、若原智哉(京都サンガ)は横一線か。ただ、怪我から復帰した谷はガンバ大阪U-23でJ3のロアッソ熊本戦に出場、茂木も前節は出場機会がなかったがここまで4試合に出ており、J3の試合を経験している。京都で経験豊富なライバルの壁に阻まれている若原は試合感の部分で不利な状況だが、合宿では精力的にアピールしており、影山監督や高橋範夫GKコーチがどう評価しているか。


サイドバックは菅原由勢(名古屋グランパス)、石原広教(アビスパ福岡)、東俊希(サンフレッチェ広島)の3人でほぼ当確か。大会を考えれば4人は必要だが、浦和で右サイドを担う橋岡がいれば有事には対応できる。ボランチの候補で、トレーニングマッチでは右サイドハーフでテストされた山田康太(横浜F・マリノス)も右サイドバックをこなすことができる。スケジュール的に合宿の招集が難しかったと見られる鈴木冬一(湘南ベルマーレ)もクラブの主力に定着しており、サイドハーフ、ボランチとのマルチで選ばれる可能性は十分にある。


ボランチはトレーニングマッチにフル出場した伊藤洋輝(名古屋グランパス)と藤本寛也(東京ヴェルディ)、さらに齊藤未月は順当で、山田もこのポジションが基本線となる。トレーニングマッチで右サイドハーフだった山田はルヴァン杯の湘南戦では4-3-3のアンカーで安定したプレーを見せており、中盤、サイドバックのマルチであると同時に、4-1-3-2や4-3-3といったオプションを用いる場合にも重要な存在になりうる。


一抹の不安は藤本がクラブで直近の試合に出られていないことだが、左利きのボランチは貴重であり、久保に続く左足のキッカーの代えはききにくい。4人を招集した上で、FWとMFのユーティリティである中島元彦(セレッソ大阪)や鈴木冬一が有事のカバーリングを担うことになるだろう。


久保、安部、斉藤など魅惑のアタッカー陣


右サイドは久保建英のメインポジションであるが、合宿には本職と言える選手が誰も招集されておらず、久保に加えて鈴木も候補であることが十分に考えられる。ただ、左の主力を争う安部裕葵(鹿島アントラーズ)と斉藤光毅(横浜FC)が2トップもこなせるように、このポジションはスペシャリストというより、複数ポジションで想定されるものと見られる。つまり、21人という限られた枠の中で、例えばFWとサイドハーフは合算で想定される可能性も高いわけだ。


合宿にはFW枠で宮代大聖(川崎フロンターレ)とU-17の代表候補でもある西川潤(桐光学園)が参加したが、前回大会も経験した田川のいるポジションであり、サイドハーフとのマルチではリーグ戦、ルヴァン杯ともに2得点の滝裕太(清水エスパルス)や24日のルヴァン杯ジュビロ磐田戦で得点をあげた中村敬斗(ガンバ大阪)など、アピールが目立つ候補もいる。FWは調子のいい選手を大会に連れて行くのが定石でもあるため、中盤とのマルチである中島も含めて、ギリギリまで影山監督が頭を悩ませるポジションだろう。


ゴールデンウィークは、候補の選手にとっては”最後のアピールの場”になる。クラブの結果はまず重要だが、その中で彼らがどれだけ出番を得て、良いパフォーマンスができるか注目したい。そしてアクシデントなく、本大会に臨めることを願っている。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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