久保&安部が不在もU-20W杯で飛躍が期待される”影山ジャパン”のエース候補たち

COLUMN河治良幸の真・代表論 第34回

久保&安部が不在もU-20W杯で飛躍が期待される”影山ジャパン”のエース候補たち

By 河治良幸 ・ 2019.5.10

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U-20日本代表の影山雅永監督は、5月23日にポーランドで開幕するU-20W杯に臨む21人のメンバーを発表した。


コパ・アメリカ招集が噂されるFW久保建英(FC東京)、MF安部裕葵(鹿島アントラーズ)、GK大迫敬介(サンフレッチェ広島)に加えて、負傷中のDF橋岡大樹(浦和レッズ)、GK谷晃生(ガンバ大阪)が外れた。


23人で戦い、世界行きを勝ち取った昨年のU-19アジア選手権からは15人が残り、茂木秀(セレッソ大阪)、鈴木彩艶(浦和レッズユース)、鈴木冬一(湘南ベルマーレ)、喜田陽(アビスパ福岡)、西川 潤(桐光学園)、中村敬斗(ガンバ大阪)の6人が加わった。


U-20W杯メンバー

【GK】

1若原智哉(京都サンガ)

12茂木秀(セレッソ大阪)

21鈴木彩艶(浦和レッズユース)


【DF】

2東俊希(サンフレッチェ広島)

3小林友希(ヴィッセル神戸)

4瀬古歩夢(セレッソ大阪)

5菅原由勢(名古屋グランパス)

15鈴木冬一(湘南ベルマーレ)

17三國ケネディエブス(アビスパ福岡)

19喜田陽(アビスパ福岡)


【MF】

6郷家友太(ヴィッセル神戸)

7伊藤洋輝(名古屋グランパス)

8藤本寛也(東京ヴェルディ)

9斉藤光毅(横浜FC)

10齊藤未月(湘南ベルマーレ)

16山田康太(横浜F・マリノス)

18滝裕太(清水エスパルス)


【FW】

11田川 亨介(FC東京)

13宮代 大聖(川崎フロンターレ)

14西川 潤(桐光学園)

20中村 敬斗(ガンバ大阪)


影山監督は「責任を持って21人を選んだ。この選手たちがポーランドに行って、代表として戦う。この選手たちで最高の成績を出せるように準備して行きたい」と語る。可能ならば、従来の主力だった選手たちを連れてポーランドに渡りたかったのが本音のはずだが、育成年代のチームの指揮官として、最終的に選んだメンバーでベストを尽くす覚悟が見て取れた。


ただ、実際問題として、久保と安部がいない攻撃陣で世界に挑むのは心もとない部分はある。前回大会を経験した田川を筆頭に可能性を秘めたタレントばかりだが、現時点でエース格の選手が見えていないことも確かだ。その分、誰が攻撃の中心を担い、チームを躍進に導くのか楽しみではある。


期待の17歳 斉藤光毅


システムは[4-4-2]がベースで、2トップと両サイドハーフが攻撃的なポジションとなる。従来は左サイドハーフに安部、右サイドハーフに久保が入り、久保が2トップの一角に上がる場合は183cmのMF郷家か、ボランチがメインの左利きMF藤本が回っていた。今回のメンバーでは左に2001生まれの17歳MF斉藤、右は郷家という組み合わせがファーストセットになると見られる。


9番を背負う斉藤はJ2の横浜FCで三浦和良との”35歳差コンビ”が話題を集め、今季2得点をあげるブレイク中のアタッカーで、鋭いドリブルや意外性のあるラストパスなど、J2で抜群の存在感を放っている。昨年のU-19アジア選手権でも3得点をあげてU-20W杯の出場権獲得に貢献しており、影山監督もかなりの信頼を置いているはずだ。


郷家は青森山田高で身体能力抜群のMFとして、高校サッカー選手権と高円宮杯プレミアリーグの二冠を制するなど活躍。ヴィッセル神戸では技術にも磨きをかけ、イニエスタからも多くのものを学んでいるようだ。もっとも今季、リージョ前監督のもとではリーグ戦の出番を失っていたが、監督交代を機に継続的な出場機会を得ている。


推進力のあるアタッカー 中村敬斗


斉藤が主力候補と見られる左サイドは滝もいる。清水エスパルスで今季リーグ戦2得点、ルヴァン杯2得点を記録しており、局面の打開力に加えてゴール前の勝負強さが目に付く。斉藤がスタメンを争うライバルになるが、斉藤が2トップの一角に上がれば併用も可能だ。その場合は個人の仕掛けと細かいコンビネーションを織り交ぜた左からの攻撃が見られそうだ。


清水では右サイドで起用されるケースもあり、滝を右サイドにしてサイドからの突破力を生かすプランも考えられる。メンバー発表ではFW枠に入った中村もガンバ大阪では左サイドハーフの起用が多く、縦の推進力はメンバー随一。好不調の波は気になるものの、世界を相手に個人で違いを生み出せるポテンシャルはナンバーワンかもしれない。


右サイドハーフの候補としては左利きの藤本、パスセンスの高い山田がボランチとのマルチで考えられるが、組み立て能力に優れる藤本に関しては”左足の第一キッカー”という重要な役割があり、スタメンから外しにくい。ただ、中盤のボール奪取力を重視する場合はキャプテン候補の齊藤未月と188cmの伊藤洋輝というボランチのコンビがベストであるため、藤本を右サイドハーフで起用するプランが有力になってくる。


2トップは宮代と田川が濃厚


さらに、抜群の運動量とスピードを併せ持つDF鈴木冬一も右サイドハーフができ、2002年生まれのFW西川潤も創造的に幅広く絡んでいくタイプで、攻撃重視なら彼をサイドで起用するのは有効だ。左サイドは斉藤、滝、中村に加えて左サイドバックのスタメン候補である東も中盤でプレーできるが、今大会では有事のオプションと考えておくべき。むしろU-19アジア選手権のインドネシア戦で日本を世界に導くゴールを決めたような、タイミングの良い攻撃参加に期待したい。


2トップは実績を考えれば、宮代と田川がファーストチョイスになる。「止めて蹴るというのは川崎のユース、ジュニアからやってきたので、その積み重ねで世界でも通用する自信はある」と語る宮代は178cmながら、抜群のポストプレーと高いシュート技術が持ち味で、一昨年のU-17W杯を主力の一人として経験しており、ラウンド16では優勝したイングランドに敗れる悔しさを味わった。


U-19アジア選手権では4得点を記録するなど、ストライカーとしての信頼度はすでに”影山ジャパン”のエース級と評しても大げさではないが、Jリーグ二連覇中の川崎ではベンチ入りこそしたものの公式戦に出場しておらず、世界の舞台で実力を証明することが、日本のファンに名を知らしめることにもなる。


高いポテンシャルを秘めた若武者たち


スケール感抜群の田川は東京五輪を見据えるU-22代表にも名を連ねるなど、今回のメンバーで”別格”の存在であるべきだが、Jリーグの首位を走るFC東京ではディエゴ・オリヴェイラ、永井謙佑という強力な2トップの分厚い壁に阻まれ、J3のY.S.C.C.横浜戦であげた1得点に止まっている。181cmのサイズだが、ディフェンスを背負ったポストプレーより、前を向いての仕掛けや非凡な身体能力を生かしたアクロバティックなフィニッシュを得意としている。その意味では宮代との相性も良く、大会で爆発的な活躍ができれば良いアピールにもなる。


個人の突破力に優れる中村と攻撃センスの高い西川は、2トップとサイドハーフの両方でオプションとなる。また、固定的に[4-4-2]を採用している影山監督が”世界仕様”で[4-1-3-2]や[4-3-3]といった形を用いる場合は、中村のウィングや西川のトップ下という、彼らがより持ち味を発揮できそうなポジションでの起用もあるかもしれない。


現時点では未知数な部分も多いメンバー構成となったが、ポテンシャルから考えられるパフォーマンスの最大値はかなり高いと見ている。グループリーグは南米王者のエクアドル、大会上位の常連メキシコ、前回3位のイタリアという厳しい組だが、まずは良い準備と競争でチーム力を高めて、ポーランドに飛び立つことがテーマとなる。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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