3月のW杯予選で勝ち点を落とすと緊急事態に。森保監督を悩ます、A代表と五輪代表の掛け持ちスケジュール

COLUMN河治良幸の真・代表論 第54回

3月のW杯予選で勝ち点を落とすと緊急事態に。森保監督を悩ます、A代表と五輪代表の掛け持ちスケジュール

By 河治良幸 ・ 2020.2.9

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いよいよJリーグが新シーズンを迎える。森保一監督率いる日本代表にとっては、カタールW杯アジア二次予選突破に向けて、3月26日のミャンマー戦、31日のモンゴル戦に臨むメンバーを見極める期間になるが、その前に代表ウィークにおける行動を決める必要がある。


W杯アジア二次予選の日本は、4連勝で勝ち点12。2位のキルギス、3位のタジキスタンはそれぞれ勝ち点7で並び、日本よりも1試合多く消化している。そのため、日本は残りの4試合で2勝すれば、グループ突破が決まる状況だ。しかもホームゲームを3つ残しているため、二次予選の突破は間違いないと見ていいだろう。


しかしながら、3月の2試合で連勝し、グループ突破を決めなければ、6月に行われる二次予選の2試合に大きな影響を被る可能性があるのだ。


森保監督はどちらで指揮を執る?


東京五輪に向けて強化を続けているU-23日本代表は、3月27日に京都で南アフリカ戦、30日に福岡でコートジボワール戦を行う。国際Aマッチデーに欧州組を招集したい意図があり、対戦相手にできるだけベストメンバーで来日してもらうことを考えれば当然だが、A代表と日程が丸かぶりであることが、いくつかのハードルを生んでいる。


1つは森保監督がどちらのチームで指揮を執るのかということ。昨年末の年間スケジュール発表では、A代表とU-23日本代表の日程が重なった場合は、A代表を優先することを表明していたが、先月タイで行われたAFC U-23選手権で惨敗を喫し、去就問題も話題に上がっている。技術委員会は森保監督の継続を表明したが、東京五輪での金メダル獲得という目標に向けて、妥協のない強化をして行く必要に迫られている。


A代表と違い、U-23代表に招集の拘束力はないが、国際Aマッチデーであればクラブの承諾を得やすいため、堂安律、冨安健洋、久保建英、板倉滉らは、おそらくU-23代表に専念することになるはずだ。


さらには、オーバーエイジ候補となる選手を、どちらのチームに割り当てるかという問題も出てくる。W杯二次予選の突破が決まっていない状況で、五輪代表の活動を優先して良いのかどうか? 一般的に見れば、ホームのミャンマー戦は勝ち点3獲得の可能性が高いが、アウェーのモンゴル戦が簡単な試合にならないことは、キルギスやタジキスタンの、彼の地での戦いを見ても明らかだ。それに3月末は気温が氷点下になり、過酷な環境での試合が予想されている。


大きな意味を持つ、3月の2試合


3月の連戦で勝ち点を落とし、二次予選の突破が6月に持ち越された場合、東京五輪に向けた、大事なメンバー選考前の活動に森保監督が帯同できない可能性が出てくる。あるいは五輪代表を優先する場合、W杯予選に監督が不在という状況になりかねないのだ。


一方で、3月の2試合で勝ち点6を得て、予選突破を決めさえすれば、二次予選の残り2試合はA代表の公式戦ではあるものの、U-23代表+オーバーエイジの有力候補を組ませるようなプランも立てることができる。


A代表の活動を東京五輪に利用することへの疑問はあるものの、コパ・アメリカやE-1選手権でも実行しているわけで、今さら遠慮しても仕方がない。


様々な選択肢が考えられるが、森保監督がA代表と五輪代表を兼任する以上、東京五輪を目前に控えた6月の活動は、U-23代表を優先するプランを採りたいはずだ。


昨年は、二足のわらじで混乱を招いた


理想的なのは、3月の代表ウィークで森保監督がU-23代表を優先し、U-23世代のA代表選手やオーバーエイジ候補をU-23代表に招集すること。そして、残るA代表のメンバーを斉藤俊秀コーチ、もしくは関塚隆技術委員長などが監督代行として率い、ミャンマーとモンゴルに勝利し、二次予選の突破を決めてしまうことだ。しかし、そのプランが吉と出るのはうまく行った場合であって、失敗のリスクは少なからずある。


もう1つは森保監督が代表ウィーク中に”二足のわらじ”を履くプランだ。3月26日に豊田で二次予選のミャンマー戦があり、27日に京都でU-23南アフリカ戦。さらに30日に福岡でU-23コートジボワール戦。そして31日にアウェーのモンゴル戦という日程のため、無理をすれば全ての試合に帯同することも可能だ。ただし、それだけ森保監督の意識も分散されてしまい、選手の混乱を生みかねない。


実際に昨年11月の活動期間では、14日にキルギスで二次予選を戦ったあと、当時のU-22代表が合宿を行なっていた広島に前日入りし、17日にU-22コロンビア代表とのキリンチャレンジカップを戦ったが、0-2で完敗。そこから当日のうちに大阪に移動して、A代表に合流。19日にベネズエラとのキリンチャレンジカップの臨んだが、1-4で大敗した。敗因が森保監督の掛け持ちだけとは言い切れないが、少なからず影響した可能性は否定できない。


日本サッカーの大目標はW杯での躍進


昨年11月同様、今年3月の代表ウィークにおいては、30日のU-23コートジボワール戦と31日のアウェーのモンゴル戦を掛け持つのは無理がある。そう考えると、26日のA代表のミャンマー戦(豊田)、27日のU-23南アフリカ戦(京都)は森保監督が率い、30日のU-23コートジボワール戦(福岡)を横内コーチに任せ、森保監督は31日に行われる、A代表のモンゴル戦に向かう”折衷案”が現実的かもしれない。


筆者は前々から、森保監督の兼任には無理があることを指摘してきたが、技術委員会が決断した以上は覆ることはないだろう。ただし、3月のW杯二次予選で万が一にも勝ち点を取りこぼし、二次予選の突破が6月に先送りされた場合は、深刻な問題が生じてくることも想定しておかなければいけない。


国民行事とも言える東京五輪での成功はもちろん大切だが、日本サッカーの大目標はA代表でW杯の本大会に出場し、躍進することだということを忘れてはならない。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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