五輪イヤーのJリーグが開幕。“森保ジャパン”入りに期待がかかる代表候補たち

COLUMN河治良幸の真・代表論 第55回

五輪イヤーのJリーグが開幕。“森保ジャパン”入りに期待がかかる代表候補たち

By 河治良幸 ・ 2020.2.21

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2020シーズンのJリーグが開幕した。注目が集まるのは、東京五輪世代のU-23の選手たちだ。昨年末のEAFF E-1選手権や1月のAFC U-23選手権に出場した選手をはじめ、所属クラブで出場が期待される大卒ルーキーたちが、オーバーエイジを含めて18人という限られた枠に食いこむために、”アピール合戦”を展開することは間違いない。


欧州視察から帰国した森保一監督は、A代表から引退した長谷部誠を含むオーバーエイジ候補に協力を要請したという。実際にオーバーエイジを合流させるのは6月であり、3月のU-23の活動では、東京五輪世代の見極めが行われる。そして、五輪代表とA代表を兼任する森保監督は、3月に関してはA代表のW杯二次予選を優先することを示唆している。


目論見としては、3月の2試合でW杯二次予選突破を決めてしまい、6月の2試合は”消化試合”ということで、オーバーエイジをU-23の活動に帯同させ、日程が重なれば、森保監督はU-23を優先することも可能になる。その意味でも、3月のミャンマー戦とアウェーのモンゴル戦に連勝することが重要だ。


Jリーグでのアピール次第でA代表招集も


3月のW杯二次予選は直前に親善試合が無く、いきなり公式戦となる。そのため、フレッシュなメンバーを招集する可能性は限りなく低いと見られる。ただし、ここまでもっぱらA代表で活動している冨安健洋(ボローニャ)をはじめ、久保建英(マジョルカ)、堂安律(PSV)、板倉滉(フローニンゲン)らを、東京五輪までU-23の活動を優先させるのであれば、Jリーグでのアピール次第で、3月のA代表に割り込む余地はありそうだ。


昨年12月のEAFF E-1選手権はU-23世代を大量に選んだため、それ以外でJリーグで活躍が目立つ未招集選手からは、2019年JリーグMVPの仲川輝人(横浜F・マリノス)しか呼べなかった。シンプルにベストメンバーを選べば、小野瀬康介(ガンバ大阪)などもテストできていた可能性もあり、改めて選考の対象になってくるかもしれない。


昨年、J2で圧倒的な強さを見せつけて優勝した柏レイソルの選手たちも、J1の舞台で能力を証明することができれば、森保監督の評価を大きく高める可能性がある。オルンガなど強力な外国人選手が目を引きやすいが、FW瀬川祐輔やMF江坂任など、ポテンシャル的にはA代表候補になりうる選手が揃っている。


また、昨年11月のベネズエラ戦で初招集された古橋亨梧(ヴィッセル神戸)やオナイウ阿道(横浜F・マリノス)が公式戦で選出されるかどうかも注目ポイントだ。


注目の大卒ルーキー


東京五輪に向けたU-23日本代表で注目したいのが、大卒ルーキーの選手たち。大学所属ながら、若き”森保ジャパン”に招集された経験のある選手も少なくないが、ここから半年間の伸びしろを考えると、序列を覆す可能性を秘めている。


AFC U-23選手権で、グループリーグ敗退という厳しい経験をした旗手怜央(川崎フロンターレ)は、開幕から活躍が期待される一人だ。沖縄合宿から高い意識が見られ、復権を目指して4-3-3をベースとした新たなスタイルを掲げるチームでスケールアップを印象付けることができれば、欧州組がひしめく攻撃的なポジションで生き残る可能性も高まってくる。


旗手と同じ川崎フロンターレの三笘薫も、左サイドからの鋭いドリブルやカットインで強烈なインパクトを残し、生き残りにアピールしたいところ。また、U-23代表に継続招集されている田中駿太(北海道コンサドーレ札幌)も、大卒ルーキーとしてプロの舞台に挑む。これまでボランチとセンターバックの両方でテストされているが、オーバーエイジの参加が濃厚なポジションだけに、田中の評価が森保監督の選択に影響を与える可能性がある。まずは札幌でどう起用されるのか。注目したい。


評価を高める、FC東京の新星


”森保ジャパン”未招集ながら、評価を高めているのが安部柊斗(FC東京)だ。昨年は特別指定選手としてリーグ戦1試合、ルヴァン杯1試合を経験。今年はJ開幕に先立って行われたAFCチャンピオンズリーグのプレーオフ、さらにはグループリーグの2試合でスタメン出場し、中盤のインサイドハーフとして存在感を示した。


もともとの主力である東慶悟の怪我という理由もあるが、昨シーズン2位のFC東京でスタメンにふさわしい活躍を見せていることは、確かなアピール材料になる。U-23代表の基本システムである3-4-2-1の場合、2シャドーとボランチが選択肢になってくるが、守備の強度を出しながら、中盤から攻撃のバリエーションを作っていけるタレントはあまりいないタイプなので、森保監督としても検討の必要はありそうだ。


ジョーカー的な位置付けなら、同じFC東京のMF紺野和也も面白い。ACLのパース・グローリー戦では後半途中の出場ながら、こう着状態を打開するドリブルや機動力、左足の鋭いキックで攻撃を活性化させ、終盤の決勝ゴールにつなげた。U-23代表は2列目にタレントが多いが、相手を驚かせるような特徴を持った選手を加える余地はある。


おすすめは横浜FCの松尾佑介


そういう視点も含めて、筆者がイチ押ししたいのは横浜FCの松尾佑介だ。左サイドをメインとする快速ドリブラーで、昨シーズンは特別指定ながらJ2で21試合に出場し、6得点5アシストを記録した。縦へのスピードがあるだけでなく、独特のリズムを持っており、ディフェンスがとらえどころを見出しにくい選手だ。3-4-2-1なら、ウィングバックのプレーも可能だろう。


大枠のタイプとしては相馬勇紀(名古屋グランパス)や遠藤渓太(横浜F・マリノス)と重なる部分もあるが、欧州の屈強なDFがいかにも嫌がりそうな特徴を備えており、森保監督が新たなオプションを探しているのであれば、ぜひ注目してほしいタレントの一人だ。


いずれにしても3月の活動が終われば、オーバーエイジも含めて東京五輪に向けた最後の絞り込みに入るため、新戦力が割り込む余地はほぼ無くなる。東京五輪まで残り半年といっても、クラブでの最後のアピール期間となる開幕4~5試合で、誰が強烈なインパクトを与え、森保監督にアピールできるのか注目だ。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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