U-24となる東京五輪のサッカー男子。メンバーの大幅な入れ替えは起こりうる?

COLUMN河治良幸の真・代表論 第58回

U-24となる東京五輪のサッカー男子。メンバーの大幅な入れ替えは起こりうる?

By 河治良幸 ・ 2020.4.9

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東京五輪の1年の延期(2021年7月23日に開幕予定)が決定し、懸案事項の1つだった『U-23問題』は、出場資格がU-24に引き上げられる形で決着した。


日本では1997年生まれの小川航基(ジュビロ磐田)や、キャプテンを務めることが多かった中山雄太(ズウォレ)、三好康児(アントワープ)、前田大然(マリティモ)などの欧州組。大卒ルーキーの田中駿太(北海道コンサドーレ札幌)や旗手怜央(川崎フロンターレ)など、これまで”ヤング森保ジャパン”に招集されてきた選手も、晴れて出場可能となる。


一方で大会の1年延期は、大幅なメンバーの入れ替わりを生むかもしれない。新型コロナウイルスの影響でW杯のアジア二次予選も延期となったが、残り4節が年内の国際Aマッチデーで消化され、来年3月から最終予選がスタートする見込みとなっている。


そうした事情もあり、A代表と五輪候補のチームを指揮してきた森保一監督の『兼任問題』も出ており、近日中の技術委員会で結論が出されるはず。選手に関して、東京五輪の日程は国際Aマッチデーにこそ被らないものの、欧州クラブからは、拘束力のない五輪代表への招集許可を得られにくくなることが想定される。


スケジュール変更により、選手招集が難航


今夏、開かれる予定だった東京五輪に向けて、A代表に名を連ねるU-23の選手たちは、一旦、五輪代表を優先するプランが既定路線になっていた。それができるのはW杯アジア二次予選の最中だからであり、U-23の選手を含めなくても突破できる見込みがあること。3月に予定されていたミャンマー戦とモンゴル戦に勝利すれば、6月の2試合が消化試合になることを見越していたはずだ。


A代表の試合スケジュールがほぼ半年ずれたことで、年末に五輪世代のベストメンバーを招集するチャンスはあるかもしれないが、基本的にA代表クラスの招集は難しくなるだろう。そして、来年の東京五輪本番に、所属クラブの招集許可が出たとしても、大会直前に合流する”助っ人”のような参戦になる可能性もある。


そうした選手が多くなった場合のリスクは、昨年11月のコロンビア戦で示された通りだ。限られた準備期間の中でベストメンバーが呼べたとしても、試合に勝てるわけではない。


そもそも、冨安健洋(ボローニャ)をはじめ、堂安律(PSV)、久保建英(マジョルカ)、板倉滉(フローニンゲン)と言ったメンバーに加えて、今年開催されずはずだった東京五輪を経験した選手から、一人でも多く、W杯アジア最終予選のメンバーに入る選手が出て来ることが期待されていた。


その前提が崩れてしまったが、来年U-24となる東京五輪世代から、フルメンバーのA代表に食い込んでくる選手はいるはず。昨年のコパ・アメリカで活躍した三好、キリンチャレンジカップの合宿に参加した大迫敬介(サンフレッチェ広島)や中山雄太も候補で、コパ・アメリカ組やEAFF E-1選手権でA代表を経験した選手の台頭もありそうだ。たとえ、来年の東京五輪に参加できない選手が出たとしても、一番にはA代表を目指して欲しいのが、いち代表記者の本音だ。


オーバーエイジの人選は?


来年開催予定の東京五輪のオーバーエイジに、A代表の主力クラスを招集できるかは不透明だ。そもそも、U-23からU-24となるベースのメンバー構成が変わってくれば、オーバーエイジの必要性にも変化が生じるだろう。


一方で、これまで未招集の選手や、五輪代表にあまり呼ばれていない選手の突き上げにも期待したいところ。特にJリーグの大卒ルーキーは”当たり年”であり、AFCチャンピオンズリーグでの活躍が目立った安部柊斗(FC東京)や、昨シーズンは特別指定ながら横浜FCのJ1昇格に大きく貢献した松尾佑介。独特な高速ドリブルで存在感を示す紺野和也(FC東京)など、面白いタレントが揃っている。


東京五輪の出場資格がU-24になることで、1997年生まれの選手が出場資格を得られることは朗報だが、98年生まれ以降の選手にとって、この1年間は逆転のチャンスでもある。


昨年のU-20W杯を戦った99年生まれ以降の世代からも、齊藤未月(湘南ベルマーレ)など、東京五輪の有力候補選手もいるが、怪我で長期離脱していた藤本寛也(東京ヴェルディ)、オランダでプレーする中村敬斗(トゥエンテ)など、タレントはまだまだいる。


さらに期待したいのが”パリ五輪世代”の飛び級招集だ。2001年生まれの久保建英も年齢的にはパリ五輪の出場資格を持つが、斉藤光毅(横浜FC)や西川潤(セレッソ大阪)、GKの鈴木彩艶(浦和レッズ)などは、来年の東京五輪のメンバーに入ってもおかしくない選手だ。


彼らは、今秋に予定されているAFC U-19アジア選手権、来年5月下旬にインドネシアで開催予定のU-20W杯にも出場可能だが、スケジュールやクラブの事情を見ながら、ベストの選択を探って行くことになるはずだ。


東京五輪の延期によるA代表との兼ね合いにより、今後の合宿などにフルメンバーを招集しにくくなるかもしれないが、フレッシュな選手にはアピールのチャンスでもある。取材する側にとっても、W杯アジア最終予選に向けて、A代表の重要性が一気に高まって行く時期ではあるが、並行して東京五輪本番に向けたプロセスにも注目して行きたい。(文・河治良幸)


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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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