”森保ジャパン”のパナマ戦、メキシコ戦の注目ポイント。ポジション争いのホットゾーンは?

COLUMN河治良幸の真・代表論 第68回

”森保ジャパン”のパナマ戦、メキシコ戦の注目ポイント。ポジション争いのホットゾーンは?

By 河治良幸 ・ 2020.11.13

シェアする

森保一監督率いる日本代表は、オーストリアのグラーツで11月13日に中米のパナマ、17日(日本時間18日)にメキシコと対戦する。欧州で新型コロナウイルスの感染が拡大し、開催が危ぶまれたが、来年3月にカタールW杯アジア二次予選が再開することを考えても、10月に続いて2試合できること、選手たちが合宿で意識を合わせられることは有意義であることは間違いない。


10月に引き続き、国内組の招集はできなかったが、前回は開催地オランダの入国規制で参加できなかった橋本拳人(ロストフ)と浅野拓磨(パルチザン)が招集され、コンディション不良で辞退した長友佑都も、マルセイユ移籍後は初めての参加となる。


一方で大迫勇也(ブレーメン)が同州で帰国後の隔離期間が設けられることを理由に選考から外れ、堂安律(ビーレフェルト)もノルトライン=ヴェストファーレン州での同様の事情により、クラブの意向に理解を示す形で辞退が決まった。


それにより、ザルツブルクで活躍するMF奥川雅也が追加で初招集となったが、クラブの検査で6人の陽性反応が確認されたため(再度の検査では全員が陰性だった)、すでに合流している代表選手の安全・安心を最優先して、招集は見送られることとなった。


ザルツブルクでともにプレーしていた南野拓実(リバプール)は「一緒にプレーするのを楽しみにしていたので、残念な気持ちですけど、彼はまたチームで結果を出して、ここでプレーするために、絶対に出てくる選手だと思う」と、次回以降の再会に期待を寄せた。


注目点はポジション争い


10月の2試合は、チームとして約1年ぶりの活動だった。今回は多くの選手が10月に続いての招集となっており、戦術面の共有や連携面で前進したところから、さらなる改善を図ることができるのは間違いない。


ボランチの柴崎岳(レガネス)は「ディフェンス面での収穫と、試合中の戦い、戦術などの変更で自分たちにメリットをもたらしていくことを継続して、このシリーズでも良くしていきたい。(攻撃では)チャンスクリエイトやゴールをもっともたらすという課題に着目して、質と精度、アイデアを全員で共有していく」と語った。


10月のカメルーン戦の前半は、ベースのすり合わせに苦労していた様子だったが、コートジボワール戦では相手の強度に戸惑うことなく、前からの守備、後ろからのビルドアップがスムーズにできていた。そこから1ヶ月離れていたと言っても、前回の1年ぶりの活動とは大きく違うはず。長友、橋本、浅野の三人は連続参加の選手たちより簡単ではないが、全員が久々という状況とは異なる。


注目点はポジション争いだ。2列目はタレントが多い中で、堂安が辞退、追加招集の奥川も合流できなかった状況で、4-2-3-1であれば3つのポジション、カメルーン戦の後半でテストされた3-4-2-1なら2シャドーがどのような組み合わせになるのだろうか。


ファーストチョイスは右から伊東純也(ヘンク)、南野拓実、原口元気(ハノーファー)だが、メキシコ戦にベストメンバーを組むのであれば、パナマ戦でテストしておきたい選手が優先される可能性もある。久保建英(ビジャレアル)や前回は出番のなかった三好康児(アントワープ)が、パナマ戦で先発起用されても不思議ではない。


3-4-2-1であれば伊東は右ウィングバック、原口は左ウィングバックに回るので、2シャドーは南野、鎌田大地(フランクフルト)、久保、三好の中から選ばれることが想定される。浅野もパルチザンでは前の様々なポジションで使われているので、鈴木武蔵(ベールスホット)を1トップに配置し、2シャドーに浅野が入るオプションも可能だ。


競争が激化するボランチ


ボランチは橋本拳人が加わったことにより、前回より競争が激しくなっている。遠藤航(シュトゥットガルト)、柴崎、橋本ともにクラブで出場機会を得ており、コンディション面の不安要素は少ない。FC東京から移籍後、初めての代表活動となる橋本はロストフで攻撃的なポジションを担っているが、候補がひしめく2列目で使われる可能性は低い。


橋本は「(ゴール前に入っていくところは)いいポジションを取ったり、入っていくタイミングは少しずつ掴めてきている。でも、それが一番の役割ではないので。チャンスで得点は狙っていきたい」と話す。ボランチで守備のタスクをこなしながら、攻撃面の成長をアピールしていく形になるだろう。


ボランチには、前回のカメルーン戦で柴崎と組んだ中山雄太(ズヴォレ)もいる。コートジボワール戦では左サイドバックで起用されたが、そのポジションは長友が第一人者であることは間違いない。強豪のメキシコ戦も控えている中で、中山と菅原由勢(AZ)、室屋成(ハノーファー)も左サイドバックの候補になるが、いずれにしても左のスペシャリストではないので、予想しにくいポジションではある。


センターバックは鉄板


センターバックは吉田麻也(サンプドリア)と冨安健洋(ボローニャ)が鉄板で、コートジボワール戦でセットプレーから決勝点をあげた植田直通(セルクル・ブルージュ)、さらに板倉滉(フローニンゲン)が続く。


守備の安定を考えると吉田、冨安のどちらも外しがたいが、二人のうち一人でも欠けると、機能不全になるような状況は避けたい。植田は代表経験があり、4バックに関して不安は無い。板倉はフローニンゲンでセンターバックを担うが、昨年のコパ・アメリカではボランチでプレーした。4バックの中央で起用して良い感触が掴めれば、森保監督の選択肢も広がるだろう。


3バックの人選は?


3バックの場合はサイドバックの酒井宏樹(マルセイユ)が右に入り、吉田、冨安と組む形がベースになる。板倉は東京五輪に向けたチーム(現U-23日本代表)で中央、左と経験しているので、3バックの方がチャンスはある。一方で植田は未知数な部分があり、公式戦で起用することを想定すれば、チェックしておきたいところだ。


3バックであれば、菅原を右、中山を左で起用することも可能。カメルーン戦は事前に3-4-2-1を5分しか練習していなかった状況から、ほぼぶっつけ本番でそれなりに機能したこともあり、今後の伸びしろを考えてもテストを重ねて欲しい形ではある。


一方で、来年3月の2試合でW杯アジア二次予選を突破することを優先させた場合、4-2-3-1を固めて勝ちに行き、厳しい相手や様々なタイプとの対戦が予想される最終予選に向けて、3バックを導入していくのが、現実味のあるプランだろう。


大事なのは、対戦相手のパナマ、メキシコも含めて無事に2試合を終えることだが、来年のW杯アジア予選につながる活動になることを期待している。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

シェアする
河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

このコラムの他の記事