2021年、東京五輪とカタールW杯最終予選に向けた、森保ジャパンのノルマとプラン

COLUMN河治良幸の真・代表論 第72回

2021年、東京五輪とカタールW杯最終予選に向けた、森保ジャパンのノルマとプラン

By 河治良幸 ・ 2021.1.14

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2021年の森保ジャパンの活動は、3月のカタールW杯アジア二次予選からスタートする。すでに4連勝を決めており、残り4試合でよほどのことがない限り敗退のリスクはないが、ノルマは3月の2試合に勝って、二次予選突破を決めきること。なぜならば、それ次第で6月の予選2試合の使い方が、大きく変わってくるからだ。


森保ジャパンは3月25日に日産スタジアムでミャンマー戦を行った後、モンゴルとのアウェーゲームに臨む。首都ウランバートルの気温は最低マイナス5~10度になると予想されるため、最大の関門となりそうだ。


昨年10月には、オランダでアフリカ勢のカメルーンとコートジボワール。11月にはオーストリアで、北中米カリブ勢のパナマとメキシコという強度の高い相手と試合を行った。特にメキシコ戦では悔しい敗戦の中、世界基準を確認することができた。


しかしアジアの二次予選は、それらとは異なる戦いになる。その中で、確実に勝ち点3を積み重ねることがポイントであり、3月の2試合を連勝で終えることができれば、二次予選の突破を決めた状況で、6月の2試合に臨むことができる。


U-24との兼ね合いは?


2021年のカレンダーでは、6月3日と11日にキリンチャレンジカップ(対戦相手未定)が用意されており、二次予選のタジキスタン戦が7日、キルギス戦が15日といずれもホームで行われる。


一方で東京五輪を目指すU-24の活動は、3月26日と29日の国際親善試合(ホーム)が組まれており、6月は5日と12日に試合がある。6月のW杯アジア二次予選を”消化試合”にできていれば、東京五輪本番でのオーバーエイジの活用を見越して、候補になる選手をU-24に回すことも、対戦相手と合意すれば可能だろう。


6月の試合がどうなろうと、A代表は森保一監督、U-24は横内昭展コーチが引き続き代行として、現場監督を任される形になる。久保建英や冨安健洋など、すでにA代表で活動している7人のU-24選手も、クラブの了承さえ得られれば、6月の活動からU-24に回すこともできるだろう。


さらには、これまでA代表に未招集あるいはキャップ数の少ないタレントを6月に招集できれば、秋に始まるW杯アジア最終予選を前にチェックすることも可能だ。いくらクラブで実力を高く評価されていても、最終予選でぶっつけ本番の招集、起用は難しい。


6月は東京五輪に向けた重要な時期であると同時に、W杯アジア最終予選を見据えた準備の機会でもあるので、両睨みで活動していく必要がある。その意味でも、3月の二次予選は2つとも落とせないのだ。


3月の二次予選はベストメンバーで臨みたい


現在のU-24は東京五輪がU-23の大会として行われていたら、すでにU-24というカテゴリーが外れ、年齢制限の無い競争に身を投じる年齢の選手たちだ。反町康治技術委員長も森保監督もそのスタンスは意識しており、年末の五輪候補合宿に参加した選手たちにも強調したようだ。


繰り返しになるが、3月のW杯アジア二次予選は、先を見据えると絶対に落とすことのできない試合だ。そのため、これまでA代表に招集されてきた選手で構成するのがセオリーだろう。U-24の選手でも、戦力として必要ならばA代表に招集するだろうし、登録の23人から漏れれば、U-24の活動に回ることになるのではないか。


3月に二次予選突破を決めた前提で考えられる次の戦略は、6月のA代表に大量のU-24を招集し、そちらを五輪代表候補メインにするプランだ。そしてU-24のために用意されている2試合は、東京五輪のB代表、当落戦上の選手たちを集めて、最後のアピールの場にする。


これならば7月頭にメンバーを発表し、12日と17日にテストマッチを行ない、7月22日に開幕する五輪本番に向かう前に、オーバーエイジを含めた主力候補を軸にチームを固める作業と、メンバーを絞り込む作業をほぼ同時進行ですることができる。さらには、本番で指揮をとる森保監督が、主力候補を直接指導することも可能だ。


3つの活動を同時進行するプラン


しかし先ほども書いた通り、W杯アジア最終予選も見越す必要があるため、フレッシュな戦力も含めた、U-24とオーバーエイジの有力候補を除くA代表の選手を蔑ろにはできない。また、A代表の活動だけでキリンチャレンジカップ2試合とW杯アジア二次予選の2試合、合計4試合が過密日程であるので、どのみち中3日で4試合をスタメン固定することは考えにくい。


より明確な分け方をするならば、U-24とオーバーエイジを合わせた実質的な五輪代表の主力組。フレッシュな戦力を含めたその他のA代表メンバーで構成するチーム。そして東京五輪の当落戦上のメンバーで構成されたU-24という3つの活動を同時進行するのが、理にかなったプランではある。


現実問題として、現場の指揮をどう分けていくのか。結局、森保監督がA代表の2チームを並行してチェックするのか。2つのうち1つを斉藤俊秀コーチにある程度任せて、森保監督は試合の指揮だけとることも考えられる。


もしW杯アジア最終予選が今年の前期にずれ込んでいたら、もっと大変な事態になっていたが、それは避けることができた。森保監督をトップとした”ワンチーム”で複数の活動を回して行くプランを採用している以上、どこかで力技やウルトラCは必要になってくる。


東京五輪で良い結果を残すことも大事だが、W杯アジア最終予選を勝ち抜いて、2022年のカタールW杯への出場権を勝ち取ること。W杯でベスト8以上の結果を残すことを大目標に掲げている以上、過程にある困難なタスクに向き合って行くしかない。


ここに挙げたプランは、現時点では絵に描いた餅に過ぎない。何よりまずは3月のW杯アジア二次予選を勝ち切ることだ。(文・河治良幸)

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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