3月のW杯アジア二次予選は開催微妙に。”森保ジャパン”の競争は、クラブでのアピール合戦へ

COLUMN河治良幸の真・代表論 第73回

3月のW杯アジア二次予選は開催微妙に。”森保ジャパン”の競争は、クラブでのアピール合戦へ

By 河治良幸 ・ 2021.1.27

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新年最初の月も終わろうとしている。欧州リーグはシーズンの真っ只中にあるが、Jリーグは2020シーズン後のオフが明け、本格的に新チームが活動を開始。すでに沖縄などでキャンプを行ってるクラブもある。


新型コロナウイルスが国際的に収束しない状況を受けて、昨年末にU-17とU-20のW杯が中止になったのに続き、AFCの主要大会も中止が発表された。そして公式のリリースは無いものの、3月の国際Aマッチデーに予定されている、カタールW杯アジア二次予選の2試合についても、催行の見通しが厳しいと考えられる。もし延期となった場合、現実的に考えられるのは、6月のインターナショナルマッチデーにセントラル開催で残り4試合を行う形式か。


そうなると東京五輪に向けた準備が圧迫されるだけでなく、3月の2試合で連勝することを条件に、6月のタジキスタン戦とキルギス戦を事実上のテストマッチとして使うプランも崩れてしまう。6月にフルメンバーでセントラル開催の4試合に臨むというのは、五輪を含めた日本代表の強化を考えると痛手だが、いかなる状況にも柔軟に対応できるように備えて行く必要がある。


昨年11月の招集メンバー


そうした状況を踏まえながら、現時点で想定できる日本代表メンバーを考えてみたい。欧州組のみで行われた昨年11月のオーストリア遠征では24人を招集したが、堂安律がクラブ事情のため辞退となり、追加招集された奥川雅也も所属クラブ(ザルツブルク)で新型コロナウイルスの陽性者が出たため招集が見送られ、23人となった。


メンバーをおさらいすると・・・。


GK 川島永嗣、権田修一、シュミット・ダニエル

DF 植田直通、室屋成、長友佑都、冨安健洋、酒井宏樹、板倉滉、吉田麻也、菅原由勢

MF 中山雄太、遠藤航、柴崎岳、原口元気、鎌田大地、南野拓実、橋本拳人、伊東純也、久保建英、三好康児

FW 鈴木武蔵、浅野拓磨


このメンバーに加えて、前回は招集辞退となった堂安律、右膝の状態を配慮して外したと見られる大迫勇也も引き続きFWの主力候補だ。


さらに、森保一監督は招集こそしなかったものの、リストアップはしたという数名の国内組も有力メンバーになっていると考えられる。W杯アジア予選の中断から1年以上が経過しており、特定はできないが、仮に3月の予選がないとすれば、JリーグやACLでアピールできるチャンスは大きくなる。


特に川崎フロンターレ、ガンバ大阪、名古屋グランパス、そしてプレーオフを突破した場合のセレッソ大阪は4月21日から5月7日までACL一次ラウンドがあり、4チームの選手たちはアジアの戦いで良いパフォーマンスを見せれば、大きなアピールになる。


欧州で研鑽を積む選手たち


上記のメンバーで大きく状況が変わっている一人が、ポルティモネンセから清水エスパルスに期限付き移籍した権田修一だ。いわゆる”国内組”に戻った形だが、加入会見で「Jリーグの選手でも(代表に)呼ばれるというものを作り上げないといけない」と語っており、引き続き有力候補だろう。


それと入れ替わるように、中村航輔が柏レイソルからポルティモネンセに移籍した。まだ出場こそないものの、2試合続けてベンチ入りはしており、1つしかないGKのポジションを奪えるか注目される。


植田直通はベルギーのセルクル・ブルージュから、フランス1部ニームに期限付き移籍を果たし、いよいよ”5大リーグ”での挑戦となる。現在は吉田麻也と冨安健洋が盤石のレギュラーとなっているセンターバックにおいて、植田はかなり差のある3番手と言わざるを得ない。昨年10月のコートジボワール戦では、終了間際のゴールでヒーローとなったが、スタメン争いに割って入る意味でも、大きな転機となる可能性が高そうだ。


11月の代表戦で不発だった久保建英も、この数ヶ月でプラスの変化が期待できる一人だ。レアル・マドリーからのレンタルで武者修行している状況は同じだが、所属クラブをビジャレアルからヘタフェに変え、出場機会はもちろん戦術的にもやりやすい環境の中で、早速、持ち味を発揮している。ヘタフェは徹底した堅守速攻で、右サイドハーフの久保にも守備の献身を強く求められるが、攻撃に転じれば広いスペースを生かし、個人技、仲間とのコンビネーション両面で存在感を示している。


ポルトガルリーグに挑戦する守田


ロシアのロストフに所属する橋本拳人もコンディション面で心配されたが、W杯アジア二次予選が6月に延期となれば、十分にコンディションを整えられるだろう。加入してから素早くチームにフィットしたと見られた橋本だが、11月の代表活動から復帰した直後の試合で負傷交代してしまい、年内の残り試合を欠場した。SNSの動画ではロシア語で「私はサムライです」とメッセージを出し、前向きな姿勢を主張していたが、再開後のパフォーマンスが注目される。


そのほかの”欧州組”では、川崎フロンターレからポルトガル1部のサンタ・クララに加入した守田英正が注目の一人だ。現地25日に行われたリオ・アヴェ戦では4-4-2のボランチで起用され、89分に豪快な決勝ゴールを決めてMOMにも選ばれた。ダニエル・ラモス監督もそのパフォーマンスを絶賛しており、ここから主力としてアピールを続ければ、負傷離脱したアジア杯以来、約2年ぶりの代表復帰は射程圏内だろう。


10月のメンバーで11月の招集から外れた安西幸輝も、ポルティモネンセの左サイドバックとして、ほとんどの試合にフル出場している。また、シント=トロイデンのFW鈴木優磨も絶好調をアピール。リーグ戦で12得点を記録しており、ベルギーリーグ全体でも3位タイに付けている。得点ランキング上位の選手がビッグリーグにステップアップする傾向が強いベルギーにおいて、この成績は好材料だ。


注目が集まる武藤、香川、中島


イングランドのニューカッスルからスペインのエイバルに環境を変えて、継続的に出場している武藤嘉紀は、代表復帰の可能性が十分に考えられる。リーグ戦での得点は、11月末のレアル・ベティス戦であげた1得点のみだが、国王杯で2試合連続ゴールを決めるなど、チーム内の信頼を高めている様子だ。


1月24日のセルタ戦では、絶妙な左足のラストパスで同点ゴールをアシストした。これまでの力強さに加えて技巧的なプレーも披露しており、改めて森保監督にアピールできているかもしれない。


香川真司もようやくギリシャの名門PAOKに加入が決定的となった。2019年3月のボリビア戦でキャプテンマークを巻いたのを最後に、代表から遠ざかってはいるが、環境の変化が輝きを取り戻すきっかけになるか、注目だ。


また、中断前まで”森保ジャパン”の主力を担っていた中島翔哉もUAEのアル・アインに加入。アジアカップに出場したDF塩谷司の同僚となった中島が好調をアピールできれば、残りのW杯アジア二次予選、さらに最終予選と戦っていく上での重要戦力として再認識させることは可能だろう。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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