3月の代表戦は国内組中心? J開幕からアピールが期待される代表候補たち

COLUMN河治良幸の真・代表論 第74回

3月の代表戦は国内組中心? J開幕からアピールが期待される代表候補たち

By 河治良幸 ・ 2021.2.14

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日本サッカー協会は3月30日にアウェーで予定されていた、カタールW杯アジア二次予選のモンゴル戦が、新型コロナウイルスの感染対策で日本開催(千葉県のフクダ電子アリーナ)になったことを発表した。AFC(アジアサッカー連盟)の直近の大会が軒並み中止になるなど厳しい情勢下ではあるが、現状は3月の国際AマッチデーにW杯予選が行われそうだ。


ただし欧州組を招集した場合、出入国のハードルがある。入国規制や帰国後の自主隔離期間がある国は、すぐにクラブに復帰できないため、代表チーム側に選手の拘束力があると言っても、クラブ側が難色を示すのは明白だ。そのため、3月25日に日産スタジアムで予定されているミャンマー戦と併せて、国内組が主体になる可能性がある。


相手がミャンマー、モンゴルとは言え、代表未招集の選手を呼ぶのはリスクではあるが、国内組中心の場合は背に腹を変えられない事情もある。そうしたことも踏まえながら、招集候補になりそうなタレントをピックアップしたい。


同時期には、東京五輪に向けたU-24代表の国際親善試合(3月26日、29日)がカレンダーに組み込まれているが、「あくまでA代表の活動を優先する」という森保一監督の方針に則り、U-24でもA代表の資質がありそうな選手は対象に入れた。


期待したい、小野瀬の初招集


まずは2020シーズンのJ1と天皇杯を制した川崎フロンターレから。代表候補の実力者が多く、招集経験のあるFW小林悠やMF大島僚太、DF谷口彰悟らはもちろんのこと、湘南からの移籍1年目でブレイクした右サイドバックの山根視来も、森保一監督が熱心にチェックしていると見られる。年齢的にはU-24の三笘薫も切れ味鋭いドリブルにゴール前の嗅覚、正確なシュートなど、実力的にはA代表の資質十分だ。


リーグ2位のガンバ大阪は、昨シーズンの終盤に負傷離脱した井手口陽介のコンディションが気になるところだが、守護神の東口順昭を筆頭に三浦弦太、昌子源、倉田秋、宇佐美貴史などの代表経験者は候補になるだろう。


期待したいのは小野瀬康介の初招集だ。筆者としては2019年12月のEAFF E-1選手権にぜひ招集して欲しかったが、東京五輪を見据えた若手主体のメンバーに選ばれなかった。運動量が豊富で、攻守の状況判断に優れる小野瀬にとっては格好の機会になるか。


2020シーズンのJ1最少失点だった名古屋グランパスには、丸山祐市、中谷進之介というリーグ屈指のセンターバックコンビがいる。広島から名古屋に移籍し、大きな成長を遂げた稲垣祥、ドリブル能力が高く、前線でも勝負できる前田直輝はフィッカデンティ監督のもとで機動力をさらに高めており、国内組が主体のチームならアピールする余地はあるだろう。


左サイドバックの吉田豊は運動量や攻守の判断能力など、Jリーグの左サイドバックでは一、二を争う実力者だが、代表経験や今月31歳を迎える年齢面を森保監督がどう判断するか。


清武の復帰は?


セレッソ大阪では、清武弘嗣の存在感が目を見張る。代表経験は申し分なく、宮崎合宿を取材に行ったが、コンディションも良さそうだ。昨シーズンは左サイドで戦術的なタスクも多かったが、セカンドトップ的な位置付けで、改めて日本屈指の技術とインスピレーションを発揮しそうだ。


センターバックの柱として期待される瀬古歩夢は、昨年末の五輪代表候補合宿に招集されたが、三笘薫と同じくU-24という枠を超えて、A代表に招集されてもおかしくない。


24歳の坂元達裕も、昨年から代表入りが叫ばれる一人だ。ロティーナ前監督のもとでは右サイドハーフで幅を取りながら、タイミングを見て効果的な仕掛けや飛び出しを繰り出していた。今季は攻撃面で戦術的な制約の少ないクルピ監督に代わり、同ポジションながら中央に流れてゴールを狙うプレーが増えている。サイドバックが高く上がり、サイドハーフが中に絞る傾向が強い森保監督のスタイルに合っている。


ロティーナ前監督にFWで起用された奥埜博亮はボランチに復帰。坂元と違い、個人で特別なプレーをするタイプではないが、類まれな判断能力とセンスがあり、改めて”スーパーマルチ”として評価を高めそうだ。


その他のチームに目を移すと、フルメンバーのA代表でも十分候補になるFC東京の永井謙佑が、右肩の負傷で開幕に間に合わなそうなのは痛いところ。FC東京は橋本拳人、室屋成が昨夏に欧州へ移籍してしまったが、五輪代表候補の安部柊斗や渡辺剛、中村帆高など、さらなる成長が期待できる選手がいる。五輪代表候補の波多野豪と経験豊富な林彰洋による正GK争いも、代表選考に影響しそうだ。


横浜FM、鹿島の注目選手は?


横浜F・マリノスは、2019年11月のベネズエラ戦で招集されたFWオナイウ阿道が昨年のACLで存在感を見せたこともあり、序盤戦の輝き次第では再招集の可能性がある。DF畠中槙之輔と昨年は怪我がちだった仲川輝人も、開幕後のパフォーマンスが良ければ、当然候補になるだろう。


2019年J1王者の横浜F・マリノスに関しては、ここで名前を羅列するのは差し控えるが、ポテンシャルという意味では代表招集されてもおかしくないタレントは多くいる。序盤戦のスタートダッシュが、チームにとっても個人にとっても鍵になりそうだ。


ザーゴ監督の2年目で、タイトル奪還を目指す鹿島アントラーズにも、A代表の資格十分な実力者は多くいる。”ハリルジャパン”の常連だったMF三竿健斗は、昨年初期は新しいスタイルの適応に苦しんだが、すっかり克服して進化した姿を見せている。土居聖真も「良い意味で期待を裏切りたい」とチームの約束事は前提に、個のアイデアを生かした新たなトライに意欲的だ。


左サイドバックの面白い存在が永戸勝也だ。ウィングバックにも適応する攻撃的な選手で、鋭いクロスと判断スピードの速さが持ち味。杉岡大暉とのポジション争いは続くが、鹿島の開幕ダッシュと共に、個人としても存在感を示していくことを主張していた。代表は未招集だが、現在の”森保ジャパン”でもっとも層が薄い左サイドバックだけに、アピール次第で招集の可能性はある。


GK権田は当確か


Jリーグに復帰し、清水エスパルスに加入したGK権田修一はほぼ当確だろう。2019年に代表入りしたヴィッセル神戸の古橋亨梧、実績抜群の山口蛍は当然ながら有力候補だが、三浦淳寛監督2年目となる神戸が、開幕からチームとして結果を積み上げられるかどうかも選考に影響してくるかもしれない。


”サプライズ”として期待したいのが、サンフレッチェ広島の青山敏弘。2018年のロシアW杯は怪我のため直前で断念となったが、長く苦しんだ右膝の怪我を克服して、恩師でもある森保監督のもとでの代表復帰に意欲を示している。


実際のところ3月の2試合がどうなるのか、欧州組がどれだけ呼べるのかも不透明だが、何より2021シーズンのJリーグが2月26日の川崎フロンターレvs横浜F・マリノスから無事に開幕し、選手たちが溌剌とした姿を見せてくれるのを楽しみにしている。


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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