なでしこジャパン、グループ最大の敵イギリスにどう戦う?

COLUMN河治良幸の真・代表論 第87回

なでしこジャパン、グループ最大の敵イギリスにどう戦う?

By 河治良幸 ・ 2021.7.23

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東京五輪初戦でカナダに1-1で引き分けた”なでしこジャパン”は、24日にイギリスと対戦する。ノルウェー人のヘゲ・リーセ監督が率いるイギリスは、2年前のW杯グループリーグで日本に勝利し、ベスト4に進出したメンバーを中心に、スコットランドからキム・リトルとキャロライン・ウィア、ウェールズからソフィー・イングルを加えて構成されている。


イギリスは初戦でチリに2-0で勝利し、E組の首位に立った。チリ戦では序盤から主導権を握り、シュートのこぼれ球に詰めたエレン・ホワイトのゴールがオフサイドで無効となったが、右サイドのブロンズのクロスを左のヘンプが折り返し、最後はホワイトが流し込んで、前半の早い時間帯に先制。


その後も優勢に試合を進めると、再びブロンズのクロスにホワイトが見事なボレーで合わせて勝負を決した。スコットランドのリトルとウィアは中盤でスタメンに名を連ね、ウェールズのイングルも69分からMFウォルシュに代わって投入されて、試合をクローズ。イギリスの重要な戦力として、チームに貢献できることを示した。


イギリスは日本が初戦で対戦したカナダ以上に、中盤でのパスの正確性に目を引く。それだけに、より高い位置からプレッシャーをかけていけないと苦しい戦いになるだろう。


カナダ以上の強敵


日本は昨年、アメリカで行われたシービリーブズ杯で、イギリスに0-1で敗れている。テクニック、スピード、パワーを兼ね備える相手にどこまで戦えるか。もっとも危険な選手は、チリ戦で2得点したホワイト。マンチェスター・シティに在籍するストライカーには、2年前のW杯でも2ゴールを許している。


170cmと飛び抜けて高さがあるわけではないが、一瞬の動き出しと勝負強さは世界屈指だ。そのエースに絶好のパスを供給するヘンプ、チリ戦で再三の好クロスを繰り出した右サイドバックのブロンズも厄介なタレントだ。


ブロンズとマッチアップするのは左サイドハーフの長谷川唯か。カナダ戦では数少ないチャンスを生み出したが、イギリスの攻撃に厚みをもたらすブロンズを封じる役割も担うことになる。


サイドバックの出来に注目


左サイドから起点になると想定されるヘンプには、右サイドバックの清水梨紗が対応することになる。清水も本来は攻撃的なキャラクターであり、カナダ戦からパフォーマンスを上げるべき選手の一人だ。


イギリスのブロンズか、日本の清水か。直接マッチアップするわけではないが、両チームの右サイドバックの出来が、勝負を左右するポイントと見る。


いずれにしてもエースのホワイトをいかに抑えるかは、日本の至上命題だ。キャプテンの熊谷紗希は頼りになるが、その相棒が南萌華になるのか、あるいは宝田沙織がチャンスを得るのか。


イギリスは4-1-4-1で、ホワイトを1トップに配置する可能性が高い。その場合、熊谷と南あるいは宝田でホワイトをチェックする構図になるが、イギリス側がボールを持つ時間帯には、ヘンプやスタンウェーなどがどんどんボックス内に入ってくる。


その際には、ボランチの三浦成美と中島依美の柔軟なフィルタリングが鍵になる。さらには、アンカーに入ると見られるウォルシュをFWの岩渕真奈がケアする必要性も出てくるだろう。


スタメンの変更は?


高倉麻子監督としては、相手のシステムとの噛み合わせを考えて、4-2-3-1を採用するかもしれない。日本で注目したいのは、カナダ戦のスタメンからメンバー変更があるかどうか。


中2日ということでコンディションの見極めも大事だが、初戦独特の固さを差し引いても、カナダ戦の前半は各駅停車のパスが多く、合宿から意識していた一人飛ばすパスやサイドチェンジ、積極的にスペースを狙う動きなど、ダイナミックさを欠くところがあった。


初戦の反省を生かして改善できれば良いが、メンバーチェンジも有効だろう。


センターバックでは、アタッカー出身で後方からのキックや持ち上がりに自信を持つ宝田沙織。カナダ戦の終盤に投入されて攻撃を活性化した杉田妃和などを、スタメンで抜擢する選択肢もあるかもしれない。


いずれにしても、守勢になりっぱなしの状況では、ホワイトを中心としたイギリスのアタッカー陣にゴールをこじ開けられてしまう危険性が高い。前からプレッシャーに行くことはノーリスクではないが、日本がこの2年間、特に強化をしてきた部分でもあり、恐れずにチャレンジしていくことが求められる。


互いのジョーカーがどう輝けるか


好勝負に持ち込める前提で終盤に気をつけたいのが、ジョーカーのFWニキータ・パリスだ。熊谷のリヨン時代のチームメートであり、一瞬でディフェンスを切り裂くスピードがある。


ホワイトを前線に残したままパリスを入れる形が、イギリスの強力なオプションになってくる。日本は遠藤純の爆発に期待したい。カナダ戦では不発に終わってしまったが、日本では個人で欧米に勝負できる希少なタレントだ。


縦の突破はもちろん、左足のシュートで日本に勝利をもたらせれば、チームは大きく勢いに乗ることができるだろう。(文・河治良幸)



写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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