日本代表、森保監督が信頼するメンバーでW杯アジア最終予選へ

COLUMN河治良幸の真・代表論 第93回

日本代表、森保監督が信頼するメンバーでW杯アジア最終予選へ

By 河治良幸 ・ 2021.8.28

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26日、日本代表の森保一監督は、カタールW杯アジア最終予選のオマーン戦と中国戦に向けた、24人のメンバーを発表した。


東京五輪が終わり、最初のA代表となるだけに、五輪世代から誰が招集されるかに注目が集まっていたが、選ばれたのは久保建英、堂安律、板倉滉、中山雄太、冨安健洋、谷晃生の6人。初招集は谷のみだった。


森保監督は「東京五輪を振り返ったときに、入ってもおかしくない選手も、選ぼうかと思った選手もいる」と説明しており、コンディションなど、何らかの理由で招集できなかった選手もいるかもしれないが、”代わり映えのしないメンバー”ととられても仕方がない構成だ。


理由として考えられるのが、今回の2試合が最終予選のスタートであること。二次予選のスタートだった2019年9月にも、森保監督は「考えられるベストメンバー」と語る構成で臨んでいる。


まして今回は親善試合も無く、いきなり9月2日のオマーン戦(大阪)、カタールのドーハで行われる7日の中国戦と2試合続くため、A代表でテストできないという事情がある。


柴崎岳が復帰


そうした中で、柴崎岳が10ヶ月ぶりに招集されたことはトピックとなった。柴崎は森保監督がコーチとして支えていたロシアW杯で中盤の主力を担い、キャプテンの吉田麻也や大迫勇也と並び、センターラインの軸として信頼していた。


森保監督によれば「今年の3月、6月にも招集しようと考えていた」そうだが、3月はチーム事情、6月はメンバー発表前の試合で怪我をしたことが、招集断念の理由になったと考えられる。


柴崎のスペシャリティは試合の流れを読みながら、柔軟に攻撃方向やリズムを変えられるゲームコントロール力にある。中盤で盤石の地位を築きつつある遠藤航とも、良好な関係が期待できそうだ。


そこに3月、6月の代表活動で存在感が増した守田英正、東京五輪で経験を積んだ板倉滉がどう絡んでいくのか。板倉はセンターバックとのマルチになるが、五輪代表と同じく4バックを通すのか、それとも3バックを使うかで変わってきそうだ。


2列目は久保と堂安が五輪代表から戻ってきた以外の入れ替わりはない。気になるのは本職のFWが二人しかいないこと。


神戸に加入した大迫勇也とセルティックでゴールを量産している古橋亨梧の二人だが、日本からカタールへの長い移動を挟む中4日の日程で、5人交代制を考えれば、もう一人入っても良かったのではないか。


ただし、南野拓実や堂安は1トップもできるので、有事には彼らがカバーすることになるはずだ。


3バックの併用も視野に


最終ラインは右サイドバックが酒井宏樹、室屋成、山根視来。センターバックが吉田、冨安、植田直通。左サイドバックが長友佑都、佐々木翔、中山雄太となっている。


長友は現時点で所属クラブが無い「フリー」の状態だが、森保監督は「代表スタッフが常に連絡を取りながら、所属先もある程度道筋を聞いている」と話し、経験豊富な選手だけに、問題なく起用できると考えているようだ。


センターバックは東京五輪でもファーストセットだった吉田と冨安に、植田が挑む構図は変わらないが、ボランチを兼任する板倉にもチャンスはある。


一方でサイドバックの多さは気になるところだ。中山も板倉と同じくボランチもできるが、単純計算でサイドバック6人は多い。


ただし、3-4-2-1を想定するなら、バランスは良くなる。3バックの採用を考える場合、右サイドバックの中では室屋がウィングバックのスペシャリスト、酒井と山根は3バックの右も考えられる。


左サイドは長友が左ウィングバック、佐々木が3バックの左、中山は両ポジションで想定できる。ウィングバックは右が伊東純也、左は原口元気も候補になり、3バックの中でも左右のウィングバックで起用する選手によって、攻守のバランス関係などが変わってくる。


難敵オマーンとの初戦


4バックと3バックを併用するメリットとして、相手に応じた守備のはめ方や、攻撃のビルドアップにおいて、相手の守備にはめさせない立ち位置を明確にしやすいことがある。


理想は4-2-3-1のまま、相手との関係で立ち位置や距離感を調整して、主導権を握って行くこと。森保監督もそうした戦い方を理想にしているようだが、4-2-3-1と3-4-2-1では、守備のはめやすさ、攻撃のずらしやすさが異なる。


これまでの試合を観る限り、オマーンは中盤ダイヤモンド型の4-4-2、中国は中盤ボックス型の4-4-2が想定されるが、日本を相手に異なるシステムを使用する可能性も考えられる。


クロアチア人のイバンコビッチ監督率いるオマーンは、欧州で1ヶ月間の事前合宿を行なっているという情報があり、日本対策を仕込んでいることは間違いない。


帰化選手を揃えた中国


カタールに先乗りし、オーストラリアと初戦を戦う中国は、エース候補のエウケソンをはじめ、ザルツブルクなどで活躍したアラン、ブラジルのグレミオやサンパウロでプレーしたアロイジオ、イギリス出身のセンターバック・ブラウニングといった帰化選手がメンバー入りした。唯一の欧州組である、俊足FWウー・レイ(エスパニョール)もいる。


二次予選の途中にリッピ監督から引き継いだ李鉄監督が、彼らの個人能力を存分に発揮できるシステムやメカニズムを構築しているかもしれない。


日本は攻守の強度で優位に立ち続けられれば良いが、苦しくなる時間帯での柔軟性も問われてくる。それには選手がピッチ上で解決するべき領域と、森保監督が変更を加えるべき領域がある。


そうした状況も想定すると、森保監督がA代表のレベルで信頼する選手がメインになるのは、致し方ない部分もある。


無論、来年の3月まで半年間、10試合を戦う中で、東京五輪組を含めたフレッシュな選手たちが割り込んでくることにも期待しつつ、今回の2試合は森保監督が今のベストと信頼するメンバーをいかに起用して、連勝スタートを飾れるかに注目したい。(文・河治良幸)

写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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