W杯出場権を賭けた、運命の2連戦。様々な状況を想定した準備を!

COLUMN河治良幸の真・代表論 第106回

W杯出場権を賭けた、運命の2連戦。様々な状況を想定した準備を!

By 河治良幸 ・ 2022.3.18

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16日、森保一監督はカタールW杯アジア最終予選のオーストラリア戦、ベトナム戦に向けたメンバーを発表した。コロナ禍や合流が遅くなる選手のコンディションも考え、27人を招集したが、いわゆる”サプライズ招集”はなく、最終局面を勝ち抜くために信頼するメンバーで臨む形だ。


主力センターバックの冨安健洋は前回に続き怪我で外れたが、キャプテンの吉田麻也が復帰。裂傷で危ぶまれた大迫勇也も、直前のACLプレーオフで2得点と結果を出している。


ただ、試合後の回復状況など読めない部分はあり、コンディションに関しては細心の注意を払いながら、大一番となるアウェーのオーストラリア戦に、どのような布陣で臨むかを考えることになりそうだ。


直前合流の選手たち


オーストラリアへの到着日程としては、3月20日(日)に国内組と浅野拓磨、三笘薫、中山雄太。21日に板倉滉、田中碧、遠藤航、原口元気、前田大然、旗手怜央、守田英正、植田直通。そして22日に吉田麻也、久保建英、伊東純也、川島永嗣、南野拓実、柴崎岳、シュミット・ダニエルとなる。


問題なのは、22日に到着するメンバーだ。遅い時間に到着する選手もおり、24日のオーストラリア戦に向けて、1日しか練習ができない。そうした選手はリカバリーを経て前日練習に臨むはずだが、それにしてもリスクはある。


そのようなことも考えながら、オーストラリア戦に臨む必要はあるが、勝ち点差3の3位にいるオーストラリアに対して、日本は有意な立場にいる。


最終戦で戦うベトナムとの力の差を考えれば、仮にアウェーで勝ち点1に終わったとしても、ベトナムに負けなければW杯出場が決まるので、極端な話、そのようなケースも想定しておく必要はある。


ただし、最初から引き分けを狙い、計算通りの結果を得ることに慣れた文化は日本に無い。基本的に勝ち点3を狙いながら、ラスト10分でどう戦うかといったゲームコントロールを事前に話し合っておけばいいだろう。


ベースは4-3-3


森保監督は「前回、埼玉スタジアムで戦った時と、オーストラリアの戦い方も変わっています。そして我々のことを分析し、より多くのオプションを持って試合に臨んでくると思っています」と想定する。


その上で「我々のベースである戦い方はもちろんやっていかなければいけない」と前置きし、「オプションとして、戦い方を準備しておく必要がある」と語っている。


もちろん5人のメンバー交代も関係してくることだが、前半から戦い方がはまらなかった場合などは、選手がピッチ上で解決する部分とベンチから明確な指示を出す部分、両面での準備が必要になるだろう。


システムは、前回のオーストラリア戦で導入した4-3-3がベースになっている。森保監督は、中盤の遠藤航、田中碧、守田英正の3人について「コンビネーションやバランスで、いいものを見せてくれている」と信頼を置きつつ、「彼らだけでチームが構成されているわけではない」と補足する。


「途中出場であっても、力を発揮してくれる選手はいると思います。前回の中国戦では、途中で形を変えたりもしています。そこは選手のコンディションを見て、柔軟に考えるところと、オーストラリア戦の準備として、どういう形で、どういう選手起用でいけばいいのかを、集合した後に見極めて最終決断をしたい」


オーストラリアの戦い方に注目


ホームのオーストラリアは死に物ぐるいで戦ってくることを考えると、様々な状況を想定しておく必要がある。


前回の試合、オーストラリアは4-3-1-2で、長身MFロギッチをトップ下に配置しながら、後ろから丁寧に組み立てようとしてきたが、日本は3トップのハイプレスと3ハーフの強度の高い守備から、伊東純也のスピードを生かしたサイド攻撃を中心にオーストラリアのディフェンスを切り裂いた。


とはいえ、90分ずっと日本が優勢だったわけでは無く、立ち位置でうまく間を取れた時はオーストラリアの攻撃も危険だった。


彼らのホームでは、日本と対戦した感覚も含めて、日本のプレスをうまく外してきたり、状況が状況だけに、オーストラリアらしく、早いタイミングで前線にボールを付ける攻め方をしてくる可能性もある。


「ワールドカップの出場権を、オーストラリアが与えてくれるわけではありません。我々がアグレッシブに勝ち取りにいく、勝利を掴み取りにいく気持ちを持って、試合の入りから受けずに、アグレッシブに戦えるようにしたい」


そう語る森保監督は”日本人が持っている賢さ”をキーワードとしてあげた。


戦術的な対応もそうだが、試合終盤を同点で迎えた時などに、確実に勝ち点1を取りに行きながら、相手が勝ち点3を取りに来る裏返しで、ゴールを仕留めるような戦い方も含まれる。


オーストラリアに引き分けでも問題はない


実際、現在の日本は4-3-3をベースとしながらも、久保建英を4-2-3-1のトップ下にする形や伊東純也に加えて前田大然、浅野拓磨を3トップに並べるなどのオプションもある。


相手の出方が分からない以上、前回と同じ4-3-3でスタートしながら、噛み合わないところがあれば吉田麻也や遠藤航を中心に、ピッチ内である程度対応し、どこかのタイミングで形を変えるなど、二段構えで行く方が有効かもしれない。


森保監督は「勝ち点3を掴み取りにいくことを考えながら、試合の状況が我々の理想通りにいくかどうかわかりません。理想通りにいかないことも想定しながら、そうなった時には最後、勝ち点1をしっかりと持ち帰ってくることも必要になる」と語る。


とにかく大事なのは、予選を突破することだ。初戦のホームゲームでオマーンに敗れ、3試合目にはアウェーでサウジアラビアに負けたところから巻き返し、何とかここまで来た。


こうなったら、オーストラリア戦での出場権獲得に執着するよりも、勝ち点1を持って帰り、ホームのベトナム戦で決めるシナリオでも問題はない。


繰り返しになるが、まずは勝ち点3を取るため、ベストの布陣、戦い方を考えて臨むべきだが、試合中に起こりうる空間的、時間的な問の両面を想定して準備しておくことが求められる。(文・河治良幸)


写真提供:getty images

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河治良幸

河治良幸

サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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