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河治良幸の真・代表論 第131回

基準は誰がやるかではなく、何をやるか。”森保ジャパン”継続でも、アップデートは必要

2022/12/10 河治 良幸 河治 良幸
基準は誰がやるかではなく、何をやるか。”森保ジャパン”継続でも、アップデートは必要

森保一監督の継続が濃厚とも言われる日本代表だが、ここで区切りをつけることも英断だと考えている。

ただ、監督が誰であるか以前に、日本代表がここからどういう未来像を描くのか。そのビジョンに従って、監督の人選を絞り込んでいくべきだ。

格上の相手にどう挑んで打ち負かすかという基準では、カタール大会での”森保ジャパン”は、1つの回答を示してくれた。

ドイツ戦などは10に1つの勝利を得たようにも言われるが、しっかりと狙いを持って勝機を掴み取ったもので、実際は10に1つより勝利の可能性は高かったはずだ。

今後、さらにチームとしてレベルアップするには、個人が成長することも重要だが、いままで以上に継続的なベースを作った上で、選手の個性を組み合わせ、コンビネーションを上乗せすることで、相手に読まれにくいチームになるのではないか。

その観点からすると、この4年半で森保監督が示した戦術面のエビデンスは、低いと言わざるを得ない。

選択肢における粗さが、ミスの多さに影響


確かなのは、スペイン代表を率いたルイス・エンリケのように、状況に応じた細かい立ち位置まで求めすぎると、選手のダイナミズムが失われるリスクがあり、フレッシュな戦力が後から入ってきにくくなるということ。

継続的なプレーモデルを作ることは、大舞台で短期的な結果を出す意味では、ハイリスクな部分もある。今大会のように、対戦相手に応じてガラッと戦い方を変えられる余地を残していた方が、臨機応変にプランを立てられる。

今回も、それぞれのプランに対して成熟させることができればベストだったが、完成度はともかく相手を驚かせて、混乱を引き起こす方法としては素晴らしかった。

ただ、1つ1つの選択肢における粗さが、ミスの多さに影響していたように思う。ミスというと、技術ミスやその時に要求される強度の中で起きるミスがイメージされやすいが、チーム内の共通理解が進んでいないことで起こるミスもある。

3バックにしても、森保監督の中では明確なメカニズムがあったかもしれないが、準備であまりやっていないことをやるというのは、相手の分析にハマりにくい意味での効果はあるが、選手間の連携面でラグが起こりやすい。

理想はポルトガル代表


今後、森保監督が継続するのなら、今大会の選手がメインになる前提で、ベースを残しながら積み上げて行くことができる。

ただ、「縦に素早く」や「高い位置でボールを奪う」といった、現代サッカーに当たり前にある原理原則だけでなく、もう少し踏み込んだ戦術的なコンセプトを設計して、そこに選手の個性やオプションを組み上げて行くようにしないと、ここから上に行く要素が、選手の個の力や所属クラブでの経験値頼みになってしまう。

筆者が理想として描いているのが、フェルナンド・サントス監督率いるポルトガル代表だ。サントス監督は、2014年のブラジル大会でギリシャを率いた指揮官で、当時の筆者が、日本代表の次期監督として推していた一人だった。

その後、母国ポルトガルを率いて2016年のEUROで優勝し、長期政権を築くことになるのだが、戦術的なベースを植え付けながら、突き詰めすぎずに選手の個性を活かしている。

ポルトガルはクリスティアーノ・ロナウドという大エースを擁するチームということもあるが、スター選手のマネジメントも含めて、非常に手練れている。

カタール大会では、37歳になったクリスティアーノ・ロナウドと21歳の新鋭ゴンサロ・ラモスの使い分けが見事だった。フェルナンド・サントス監督は68歳という高齢なので、仮にポルトガルの代表監督を勇退する場合でもリスクはあるが……。

兼任できないことの弊害


森保監督が続ける場合、さらにベースとなる戦術を植え付けながら、選手の個性やアイデアを上乗せして行くプランニングを期待したい。

堂安律や冨安健洋など、次の代表でも主力を担っていきそうな選手たちは、今大会よりもさらに、ボールを握る時間、主導権を握る時間を長くしたいと考えているようだ。

堂安はフライブルクのシュトライヒ監督、冨安はアーセナルのアルテタ監督のもとで、高度な戦術に馴染んでいる。

代表チームでそのまま取り入れるのは難しいが、ベースのところでは、ボールを握るなら握るで、握り方の共通の型はもっと作っていき、プラスアルファのところを”余白”にしておきたい。そうすることで、チームがガチガチに固まるのを防ぐことができる。

もう1つ、森保監督継続の不安要素が、五輪代表との兼任ができないこと。東京五輪は自国開催のため、予選がなかった。2024年にパリ五輪はあるが、厳しいアジア予選もあり、これまでのような”1チーム2カテゴリー”を踏襲するのは難しい。

現在、五輪代表は元鹿島の大岩剛監督が率いており、A代表にも大なり小なり関わることになるはずだが、早い段階から何人かがA代表に組み込まれるとしても、森保監督が五輪代表を兼任していた状況とは違ってくる。

カタール大会での東京五輪組の活躍を見ても、4年後はパリ五輪世代がかなりの割合を占めることが想定されるが、初期はあくまで現在の主力がベースになるはずなので、経験値はかなり残った状態でスタートすることができる。

しかし、そのリソースが次第に薄れていく可能性があることを踏まえると、共通で描けるものはもっと明確にしてもらいたい。

監督からのメッセージ


代表チームが世間の目に触れにくい中で、監督からのメッセージは非常に重要になる。

森保監督は最後の1年を除くと、そこをおろそかにしすぎたように思う。これは森保監督だけの責任ではないが、あまりにも不透明すぎた。

勝負のために外に見せないところはあっても良いが、ファン・サポーターがプロセスのところで代表チームに興味関心を持ってもらえるように、分かりやすいキャッチフレーズもそうだが、監督がメディアを通して露出することも大事になる。

チームが成長していくため、やりたいことを周りに発信していくためにも、具体的な戦術的な落とし込みも、これまでの4年半よりは踏み込んで、ベースを構築してほしい。

そうすることで、試合で見えるエビデンスからも、やりたいことが伝わりやすくなるはずだ。

進化に期待


これからは、日本代表の継続的な強化を見据えると、欧州での活動が増えるかもしれない。森保監督の拠点を欧州にするのもありだろう。

代表チームの活動にしても、例えばドイツのデュッセルドルフで多くの観客を動員できるのなら、1つのビジネスモデルにもなる。国内での試合が減る可能性はあるが、それでもチームのコンセプトが明確になり、国内のファン・サポーターにも共有することができれば、さらなる興味関心を持ってもらえるはずだ。

「代表チームはFIFAワールドカップの予選を通過し、本大会で結果を残せば良い」という考えだけでは、人気の面からも通用しない時期に来ている。もっと開かれた日本代表になるために、監督も含めて努力していってほしい。それがチームの成長とリンクすることが理想的だ。

筆者としては、過去4年半の森保ジャパンがそのまま繰り返されるなら、継続には反対だ。しかし、スタッフ周りの改革も含めて、進化を伴ったものであるならば、興味深く見届けたいと考えている。(文・河治良幸)

写真提供:getty images

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サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書に『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)、『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)。

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