浦和、3年目の柴戸海が主軸へ駆け上がる。市船、明治を通じて培った“慌てず騒がず”の哲学

浦和、3年目の柴戸海が主軸へ駆け上がる。市船、明治を通じて培った“慌てず騒がず”の哲学

2020.7.11 ・ Jリーグ

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 執拗に相手を追い回し、ボールをからめとると、素早く味方へとつなぐ。

 かと思えば、機を見るに敏。スルーパスやミドルシュートを繰り出す。


 大卒3年目。浦和レッズMF柴戸海が存在感を増している。


 今季、4-4-2のダブルボランチでプレーする柴戸はリーグ3試合すべて先発フル出場。求められる豊富な運動量は実証済み。1試合の総走行距離は1節・湘南戦12.7キロ。2節・横浜戦・13.0キロと共に両チーム最長。前節仙台戦は12.1キロと仙台MF関口訓充に0.1キロ及ばなかったものの、その数字から滅私奉公ぶりがよく分かる。


 90分間、最後まで戦う。大槻毅監督の指針通りのプレーを愚直に行なっている。そのプレースタイルは鈴木啓太をほうふつとさせる。


 加入当時から柴戸の評価は高かった。オズワルド・オリヴェイラ前監督は「柴戸は若くポテンシャルがある。どこまで伸びるか分からない未知数の選手。ただ余計な消耗は避けたい。より良い経験を積まなければならない」と成長曲線を見極めたうえで起用。それが分かるように18年のリーグ27節、ホーム神戸戦から公式戦11試合連続出場した。そのほとんどが70分以降からの出場だが、最終節FC東京戦ではプロ初得点と先発フル出場を記録した。


 翌19年5月末、指揮官が大槻監督に代わっても評価は変わらない。先発が増えるなか、途中出場では試合を落ち着かせる役割を担い、ピッチに送り込まれた。


 そして今季、チームの主軸になろうとする柴戸の成長はクラブには狙い通りだ。

 クラブが柴戸に興味を持ったのは市立船橋高校時代。スタッフによれば高校時代、センターバックだった柴戸を見て、運動量とプレーの確実性を高く評価した。しかし、クラブは高卒での獲得を考えていたものの、本人は強豪校・明治大に進学。それを知ると、「明治なら柴戸を育ててくれる」と4年間待ち、見続けた。その間、柴戸はキャプテンを務め、全日本選抜にも選ばれ、大学サッカーを代表するボランチに成長。18年、晴れて浦和に加入した。


 ただ浦和のボランチは柏木陽介、青木拓矢らのいる激戦区だ、しかし、いま彼らをさしおき、スタメンを張りつつあるのは、慌てず、騒がずという柴戸の哲学があったからこそ。これは大学時代の成功体験にある。

  当時の明治にはDF室屋成(FC東京)をはじめMF和泉竜司(鹿島)、DF山越康平(大宮)など現在、Jで活躍する多士済々のメンバーが居並んだ。このタレント揃いのなか、どうすれば試合に出られるか? 柴戸は考えた。その姿を明治大・栗田大輔監督はこう語った。


「明治ではどんなに良い選手でも1年生、2年生の時はなかなか試合に出られない。その時、何をすればよいのか。どう時間を使えばよいのか。チームが何を求めているのかを考える。これは柴戸も同じだった」

 柴戸はコンディションを見ながら、居残り練習を欠かさなかった。ほかの選手のプレーを観察し、何が足りないか、自分は何が強いかを見極めた。つまり柴戸は大学での経験をプロになり、追体験していることになる。これがレギュラーの近道だと信じている。だからこそ、やり続けた。そしてその成果がいま実を結ぼうとしている。


「試合に出たことで自信につながっている。プレースタイルが誰かのようだと言われるのではなく、柴戸海として表現されるようになれば、嬉しい」と鹿島戦に向けた会見で語った大槻監督。


 これぞ柴戸海とインパクトを与えるプレーを鹿島戦でも見せる。


取材・文●佐藤亮太(レッズプレス!!)

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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