【鳥栖】豊田陽平と梁勇基、ふたりのベテランが引き寄せた主導権。ゴール欠乏症から抜け出す道筋は見えている

【鳥栖】豊田陽平と梁勇基、ふたりのベテランが引き寄せた主導権。ゴール欠乏症から抜け出す道筋は見えている

2020.7.13 ・ Jリーグ

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[J1リーグ4節]鳥栖0-0広島/7月12日(日)/駅前不動産スタジアム


 前節・神戸戦を終えて今季のリーグ戦4試合すべてで無得点となっている鳥栖。金明輝監督が初めてシーズン最初からチームを率い、攻撃的なサッカーを掲げて臨んだが、まだ目指すサッカーでの結果を示せていない。4節・広島戦も無得点で終わり、今季の公式戦連続無得点はルヴァン杯を含め5試合に伸びた。しかし、今節のスコアレスドローの内容は決して悲観するものではなく、収穫もあった。


 鳥栖は神戸戦から先発4人を変更してこの試合に臨んだ。なかでもFW豊田陽平とMF梁勇基は今シーズン初先発。ベテランの彼らがチームに良い流れを呼び寄せた。豊田は攻撃面でこそ見せ場は少なかったが、前線からの迫力あるプレッシング、それも1度で終わるのではなく2度追いするなど、守備面で大いに貢献した。


 ただ、それ以上に貢献したのが梁だった。アンカーでプレーし、持ち前のテクニックとパスセンスで鳥栖の攻撃に緩急と落ち着きを与えた。試合開始直後に見せた、梁が出したパスにインサイドハーフの松岡が相手の背後を突くという形は、金監督が目指しているひとつの形。梁は85分で交代するまで、ゲームの組み立てをはじめとするチームマネジメントという与えられた仕事をきっちりとやってのけた。

  試合後、金監督は梁のプレーについて「落ち着きというか技術が高いのでチーム全体をマネジメント、コントロール。特に攻撃ではしてほしいというところで十二分にやってくれました」と絶賛。梁自身は「自分たちがボールを保持する時間も多かったなかでチャンスも作れていた」とチームの出来には一定の手応えを掴んだ様子だった。


「75分まではプラン通りのゲーム運びができたかなと思っております」と金監督が振り返ったように、鳥栖の目指すサッカーを体現できるようになってきている。あとは金監督と梁、豊田も話したラストパスの質や最後に仕留めるところ、さらにはゴール前でのひと工夫やテンポを上げることが必要。チームとして、これらのことができるようになれば、自ずととシュートの機会は増え、いずれはゴールにも繋がる。


 今は点を取れていないことでプレッシャーもあり、シュートチャンスでパスを選択する場面もあるが、目指すサッカーでチャンスを作れているので、あとは自分たちのサッカーを信じてシュートを打つだけ。梁が言った「チャンスがないわけではないので継続して、自分たちがやっていることを信じてやっていくしかないかなと思います」の言葉が、連続無得点から脱出する唯一の方法だ。この夜のスコアレスドローは、その言葉に期待を抱かせるだけの内容があった。


取材・文●荒木英喜(フリーライター)



記事提供:サッカーダイジェストWEB

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