【札幌】理想、現実、戦略性――。3つをバランスよく織り交ぜて戦う2020年版“ペトロヴィッチスタイル”に注目だ!

【札幌】理想、現実、戦略性――。3つをバランスよく織り交ぜて戦う2020年版“ペトロヴィッチスタイル”に注目だ!

2020.7.27 ・ Jリーグ

シェアする

[J1リーグ7節]札幌3-1横浜/7月26日/札幌ドーム


 7月26日の横浜戦を3-1のスコアで勝利。新型コロナウイルスの影響でリーグ戦が延期になっていたこともあり、今季のホーム初白星。終了時には盛大な拍手が札幌ドームに鳴り響いた。


 そして、この勝利でリーグ戦再開後の無敗は6に。順位こそ現時点で8位だが、着実に勝点を積んでおり今後の浮上が期待できる。


 戦いぶりを見ていると、クラブ史上最高の4位でフィニッシュした2018年シーズンを彷彿とさせる。当時はロシア・ワールドカップによる中断期間が夏場にあったため、今シーズンに似た過密スケジュールとなっていた。


 この年から就任したペトロヴィッチ監督は「超攻撃的サッカー」を標榜し、特徴でもある可変システムや怖がらずにパスを繋ぐスタイルを植え付けていった。ただ実際には、中2~3日でリーグ戦やカップ戦が次々とやってくる日程のなかで、戦術的な落とし込みをする時間は十分ではなかった。

  札幌の選手たちがもともと持っていた運動量とハードワークの部分をより強調し、そこに自身のポゼッションスタイルをバランスよく織り交ぜていくことで、現実的に勝点を積み重ねていったのだ。それにより同年の4~5月には9戦負けなしという時期があった。


 一方で今季は7月4日にリーグ戦再開となったわけだが、近隣にJクラブがない札幌は中断期間中に十分な練習試合を行なえず、主に紅白戦で実戦感覚を養った。再開初戦となった横浜FC戦後には「ゲーム勘とゲーム体力」が課題であると指揮官は指摘し、「(取り戻すまでに)3~4試合は必要かもしれない」としていた。


 その横浜FC戦も、「ビルドアップがうまくいかなかったので、途中からは5-4-1で守備ブロックを作り、シンプルに前方のスペースに蹴るやり方で戦った」とチャナティップが振り返る。


 続く鹿島戦や湘南戦でもハードワークをベースとし、疲労が見えたポジションにはフレッシュな選手を投入。とくに湘南戦では運動量の部分で物足りなさこそあったものの、交代枠をフル活用して勝点1をゲット。最終的に過酷なアウェー4連戦を無敗で乗り切ってみせた。


 様々な差異はあれど、目指すサッカーと現実とのバランスを厳密に見極めながら勝点を得ているプロセスは、2018年とどこか似ているように思うし、ゆえに同様の躍進も期待してしまう。


 そして今回の横浜戦だが、相手の特徴に合わせた戦略が見事に機能した。横浜は3トップの両翼がサイドに張り出し、センターバックとウイングバックの中間でポジションを取ってくるため、札幌としても守備時に3バックを4バック気味に変えて対応することが多かった。


 加えて、この試合では内側にグッと絞って位置的優位を得ようとする左右のサイドバックや、流動的に位置を変える中盤インサイドの選手にも、マンツーマンディフェンスで対応。相手が位置的優位を作ろうとしてもマンマークにしてしまえば優位性は消滅するわけで、前節に横浜FCも採用していた戦略をうまく落とし込んで封じたのだ。

  そして前線にはいわゆる「9番スタイル」のストライカーは配置せず、機動力のある選手を並べて横浜のパスワークをけん制。それと同時にこうした選手たちを、高くラインを設定する横浜DF陣の背後へ走らせ決定機を窺った。オフサイド回数が8だったことからも、この日の攻撃面での狙いが見て取れる。


 攻撃的サッカーという理想と、日程面などを考慮しての現実。そして相手の特徴を消し、逆手にとる戦略性。その3つをバランスよく織り交ぜて戦う2020年版の“ペトロヴィッチスタイル”。今後の戦いぶりにさらに注目が集まりそうだ。


取材・文●斉藤宏則(フリーライター)



記事提供:サッカーダイジェストWEB

シェアする

最新記事