コロナ禍の恐怖に直面した長谷川監督が鳥栖戦後に訴え。「安心を担保できない中で試合をやらせるのは…」

コロナ禍の恐怖に直面した長谷川監督が鳥栖戦後に訴え。「安心を担保できない中で試合をやらせるのは…」

2020.8.2 ・ Jリーグ

シェアする

「こんなことを監督が皆さんに言うことではないかもしれませんが、これだけは皆さんに分かっていただきたくて、あえて話をしました」(長谷川監督)


 2020年8月1日、味の素スタジアムで鳥栖に2-3と敗れたあと、オンラインで囲み取材に応じた長谷川監督は「もう情けないです」と言うと、続けて“ある事実”を口にした。


「選手たちを少し庇うのであれば、もちろん負けた言い訳にはならないと思いますが、今日試合前、当日の午後になって、鳥栖の選手が熱発したという話を聞きました。PCR、抗原検査を受けたいという話がクラブに来て、そんな状況の中でその選手は結局メンバーに入らなかったんですが、濃厚接触者がいるか、いないか分からない状況の中で今日やらせなければいけなかった」


 寝耳に水である。長谷川監督は言葉を継ぐ。


「選手たちには試合をやる前に『もし今日不安があるならゲームをやらなくていい』と。社長に話をして、Jリーグにも話をしてもらいましたが、結局Jリーグのほうで試合をやると、そういうことに決まり、選手たちにもそういう話をして、『もしやりたくないのであれば今日はやらなくていい』と」


 長谷川監督の苦悩が感じ取れる。「選手の生活、健康を預かっている監督としては強引にやらせるのは苦しい選択」だったという。


「こういう状況の中でもしっかりやれるという選手だけメンバーに入れるという話をしましたが、結局選手全員がもちろんホームでサポーターの前で戦う姿勢を見せるということでピッチに立ってくれたというふうに思っています。もちろんそれがすべての言い訳にはなりませんけど、前半なかなか良い形でファイトできなかったのは心理的な要因があるのではないかと、万が一ということが当然ありますので、選手の生活、健康を預かっている監督としては強引にやらせるのは苦しい選択でありました」

  そんななか、一旦は1-3とリードを広げられながら、終盤に1点を返して2-3とした。同点に追いつけなかったものの、その戦いぶりについては「最後のほうは気持ちを見せてくれた。そういう意味では今日、選手たちはよく戦ってくれました」と長谷川監督は振り返っている。そして、冒頭のコメントへと続くのだ。


「こんなことを監督が皆さんに言うことではないかもしれませんが、これだけは皆さんに分かっていただきたくて、あえて話をしました」


 コロナ禍の恐怖はこういう形でも現れると、改めて認識させられた。誰が悪いというわけではなく、発熱が引き起こすある意味の混乱を物語る事象ではないのか。そして、同じようなことは今後も起こり得る。だからこそ、長谷川監督は「改めて監督としてJリーグ等に対してどんな対応を訴えたいか?」と訊かれた時、即座に「やらないべきだと思います」と答えたのだろう。


「そういう選手がいて、濃厚接触者と特定はされなかったということですが、昨日の夜に熱を出した選手がいるなかで、そんなことは分かるわけがないわけですし、そういう選手が一緒に同行したとなれば、その時点で全員PCRをやる。それで陰性なら安心して選手たちはプレーできますが、安心を担保できない中で試合をやらせるのは、これからちょっと考えてもらいたいと思いましたので、あえてこういう話をさせてもらいました」


 この訴えがどう響くのか。今後の成り行きを見守りたい。


取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

記事提供:サッカーダイジェストWEB

シェアする

最新記事