マンUに“ズタズタ”にされたR・ソシエダ。それでも胸を張っていい“確固たるポリシー”【小宮良之の日本サッカー兵法書】

マンUに“ズタズタ”にされたR・ソシエダ。それでも胸を張っていい“確固たるポリシー”【小宮良之の日本サッカー兵法書】

2021.2.25 ・ Jリーグ

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 ヨーロッパリーグ(EL)、ラウンド・オブ32。スペインのレアル・ソシエダは、マンチェスター・ユナイテッドとの第1レグで0-4と大敗を喫した。


「ハリケーンにズタズタにされた」


 スペイン大手スポーツ紙『アス』はそう表現している。第2レグは残すが、勝ち上がれる可能性はほぼないだろう。


 マンUはスピード、パワー、高さで確実に上回っていた。プレミアリーグのビッグクラブは破格。とりわけ、“勝負の際””でタフネスを見せた。わずかなところでゴールを割らせない、わずかなところで前に出て、慌てずにシュートを打ち込む。すべて高い技術・体力なのだが、それを支えるメンタル面の強さを感じさせ、プレー全体が分厚かった。バックラインの裏へのパスと走り込む選手のインテンシティだけでも、差を見せつけた。


 しかし、R・ソシエダはマンUに敗れたことを恥じる必要はない。年間予算から換算した戦力で言えば、約5倍の相手。チャンピオンズ・リーグ優勝を争うチームに真っ向からぶつかったのだ。


 R・ソシエダの選手たちは果敢に戦い、いくつもチャンスを作り出している。1点でも返せていたら、流れは変えられていただろう。守備も終盤は消耗と失望でパワーダウンしていたが、高いラインを保って対抗。突き破られはしたが、腰は引けていなかった。


 GKアレックス・レミロは4失点を喫したが、何度もセービングを見せていた。積極的に前に出ることで広いエリアをカバー。足技の高さも見せ、最後まで勝負をあきらめなかった。


「信じられない相手だった。真のチャンピオンだ」


 レアル・ソシエダを率いるイマノル・アルグアシル監督は率直な感想を語る一方、自軍の健闘に胸を張った。


「我々は対等に戦った。いつもと同じようにね。相手の守備、攻撃レベルを考えたら、こうなることは十分に想定できた。しかし、この戦いを選んだ。我々の選手は若く、この敗北が前に進む力になるだろう」



  R・ソシエダは、マンU戦の出場選手の半数以上が下部組織「スビエタ」出身の選手だった。欧州のトップレベルで、彼らほど下部組織出身選手が多いチームはないだろう。限りある戦力を大事に、一つのチームとして強くなってきた。その流れを変える必要など何もない。大敗は選手の誇りを傷つけたはずだが、それは強さになるはずだ。


 23歳で主将を務めるミケル・オジャルサバルは今後、欧州を代表する選手になってもおかしくはない。この日は控えだったMFマルティン・スビメンディ、ロベルト・ロペスも期待の新鋭たちだ。彼らには未来がある。


 大敗を喫すると、何を変えるべき、という議論がしばしば巻き起こる。しかし、強大なものには太刀打ちできないことはある。正しい立ち位置をつかみ、じっくり成長すべきだろう。バタバタがチームに損害を及ぼすことも少なくない。


「雨の日も、晴れの日も、どんな日も、自分たちは選手を同じように育成するだけだ」


 レアル・ソシエダの育成部長が語っていた言葉である。


文●小宮良之


【著者プロフィール】

こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

 

記事提供:サッカーダイジェストWEB

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